中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
経営法務 問22
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 令和5年度(2023年) 問22 (訂正依頼・報告はこちら)
製造物責任に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 外国から輸入した製品の欠陥により損害が発生した場合、輸入事業者は製造物責任法による損害賠償責任を負わない。
- 製造物責任法は、過失責任が原則である民法の不法行為責任(民法第709条)の特例として定められたもので、製造業者等の過失や、過失と欠陥の因果関係の証明に代えて、被害者が製品に欠陥があることと、その欠陥と損害との因果関係を証明すれば、損害賠償を請求できるようにしたものである。
- 製造物の欠陥によって、他人の財産等に損害が発生しておらず、製造物自体に損害が発生したのみであっても、製造業者は製造物責任法による損害賠償責任を負う。
- 製品の製造は行わず、製造物にその製造業者と誤認させるような氏名の表示をしただけの者は、製造物責任法による損害賠償責任を負わない。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (2件)
01
正解は、「製造物責任法は、過失責任が原則である民法の不法行為責任(民法第709条)の特例として定められたもので、製造業者等の過失や、過失と欠陥の因果関係の証明に代えて、被害者が製品に欠陥があることと、その欠陥と損害との因果関係を証明すれば、損害賠償を請求できるようにしたものである。」です。
【基礎知識】
製造物責任法(以下、PL法)の問題です。PL法は全6条のコンパクトな法律になっています。
3条に製造物責任が定められており、民法の不法行為責任の特則として位置づけされています。
(不法行為との一番の違いは不法行為責任は過失責任で、PL法は無過失責任である点です)
PL法制定までは、製造物の欠陥による被害についての過失は消費者側に立証責任がありました。消費者が証明することは困難であることから、PL法を定め、欠陥があり、欠陥が被害を引き起こすことが明らかになれば、無過失でも責任を追及できるようになりました。消費者にとっては改善しましたが、無過失責任を追及されるなど、製造業者等には厳しい法律です。
〇PL法の概要
・目的:製造物の欠陥によって生命、身体または他の財産に損害を被った場合(拡大損害)に、被害者は製造業者等に対して損害賠償を求めることができる根拠となる法律。被害者の迅速な救済が目的。
・製造物とは?
製造または加工された動産 →未加工の農産物やエネルギー、プログラム、不動産などは製造物となりません。
・欠陥とは?
製造物が通常有すべき安全性を欠いていること
・どういった場合に責任を負うか
欠陥に加え、被害が広がったときに拡大損害という概念があります。例えば固いものを食べて歯が折れたなどです。拡大損害が生じた場合に製造業者等は責任を負うことになります。
※拡大損害:製造物の欠陥により生命、身体または他の財産に損害を被ったこと
・製造責任を負う製造業者等とは?
① 製造物を業として製造・加工または輸入した者
② 製造物に氏名等の表示をした者または製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
③ その他の事情からみて製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者
誤り。製造責任を負う製造業者等には輸入したものも含まれます。
正しい。記載の通りです。
誤り。あくまでも製造物に欠陥があり、その欠陥が引き起こした被害・損害への賠償責任になります。製造物自体の損害は契約不適合責任、債務不履行責任として、販売者や製造業者が責任を負うことになります。
誤り。誤認させるような氏名の表示を行ったものも責任を負います。
参考になった数9
この解説の修正を提案する
02
製造物責任に関する問題です。
外国から輸入した製品の欠陥により損害が発生した場合、輸入事業者は製造物責任法による損害賠償責任を負います。
正解の選択肢となります。
製造業者に製造物責任法による損害賠償責任を求めるためには、製造物の欠陥によって、他人の財産等に損害が発生していることが必要となります。
製造物にその製造業者と誤認させるような氏名の表示をしている場合は、当該事業者は製造物責任法による損害賠償責任を負います。
参考になった数6
この解説の修正を提案する
前の問題(問21)へ
令和5年度(2023年)問題一覧
次の問題(問23)へ