中小企業診断士の過去問 令和5年度(2023年) 経営法務 問24
この過去問の解説 (2件)
共有に関する問題です。
意匠権の各共有者が、その登録意匠をその持分に応じて実施をすることができるのは、契約によって別段の定めを設けた場合となります。
日本語の表現がややこしいですが、
別段の定めを設けた場合→その持分に応じた実施が必要
別段の定めを設けていない場合→その持分に応じた実施は不要
本選択肢では、「その持分に応じて実施」という記述があるため「別段の定め」が必要になりますが、「別段の定め」の記述がありません。
商標権の各共有者は、その持分を譲渡する場合には他の共有者の同意が必要です。
正解の選択肢となります。
不動産の各共有者は、共有物の全部について、自己の持分に関係なく使用をすることができるわけではありません。
正解は、「著作権の各共有者は、自ら複製等の著作権の利用をする場合でも、他の共有者全員の同意が必要である。」です。
【基礎知識】
共有に関する問題です。
共有とは権利等を複数者間で保有しあうことを言います。産業財産権を共有した場合にどういった制限があるのかを見ていきます。
〇意匠権における共有(契約の定めがない場合)
① 登録意匠の実施
共有者の同意なく自由に実施可(意匠法36条、特許法73条2項)
② 持分の譲渡・質権の設定、専用実施権・通常実施権の設定
共有者の同意がなければできない(意匠法36条、特許法73条1項・3項)
〇商標権における共有(契約の定めがない場合)
① 質権設定・持ち分譲渡
他の共有者の同意を得なければ、その持分を目的として質権を設定できない、譲渡できない
② 使用
他の共有者の同意を得ないでその登録商標を使用できる
③ 使用許諾
他の共有者の同意を得なければ、その商標権について専用実施権・通常実施権を許諾できない
〇著作権における共有
原則、著作権者全員の同意が必要(ただし、権利侵害の差し止め請求・損害賠償などは単独でも可)
(著作者人格権、譲渡・質権設定、権利行使など)
〇不動産における共有
原則、持ち分に応じた使用が可能。
誤り。意匠権の実施は持ち分に関係なく、共有者の同意なく可能です。
誤り。商標権の譲渡については持ち分だけだとしても共有者の同意が必要です。
正しい。著作権の行使は原則共有者の同意が必要です。
誤り。不動産については共有持ち分に応じて使用することができます。
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