中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問3 (経済学・経済政策 問3)

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問題

中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問3(経済学・経済政策 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

次の仮設例①~③に基づく記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

① 果実農家が中間投入を行わずに500万円の果実を収穫した。そのうち、100万円分を消費者に販売し、残り400万円分を飲料メーカーに販売した。
② 飲料メーカーは仕入れた400万円の果実のみを使って600万円のジュースを生産し、そのすべてを流通業者に販売した。
③ 流通業者は仕入れたジュースすべてを800万円で消費者に販売した。
  • 最終生産物の合計は800万円になる。
  • 投入された中間生産物の合計は900万円になる。
  • 付加価値の合計は900万円になる。
  • 流通業者が生み出した付加価値は800万円になる。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題では、仮説例に基づいて「付加価値」と「最終生産物の価格」を正しく理解することが重要です。経済における「三面等価の原則」では、生産面、支出面、分配面の合計は一致します。すなわち、最終生産物の価格と付加価値の合計が等しくなる必要があります。問題の各段階における付加価値を正しく計算することが鍵です。

【付加価値の計算】

 果実農家

  500万円の果実を収穫しました。100万円分は消費者に直接販売し、残り400万円分を飲料メーカーに販売しています。

  果実農家の付加価値:500万円(収穫した果実の価値)

 飲料メーカー

  飲料メーカーは、果実農家から400万円分の果実を購入し、それを使って600万円分のジュースを生産・販売しています。

  飲料メーカーの付加価値:600万円(販売価格) - 400万円(仕入れ価格) = 200万円

 流通業者

  流通業者は、飲料メーカーから600万円分のジュースを仕入れ、それを800万円で消費者に販売しています。

  流通業者の付加価値:800万円(販売価格) - 600万円(仕入れ価格) = 200万円

 この3つのステップを通して、最終的な付加価値の合計は 900万円 となります。

  果実農家の付加価値:500万円

  飲料メーカーの付加価値:200万円

  流通業者の付加価値:200万円

  合計:500万円 + 200万円 + 200万円 = 900万円

選択肢1. 最終生産物の合計は800万円になる。

この選択肢は誤りです。「三面等価の原則」に基づき、付加価値の合計と最終生産物の価格は一致しなければなりません。ここでは、付加価値の合計が900万円であるため、最終生産物の価格も900万円でなければならず、800万円は誤りです。

選択肢2. 投入された中間生産物の合計は900万円になる。

この選択肢も誤りです。中間生産物の価格が累積するわけではなく、それぞれの段階での取引があり、最終的には最終生産物の価格が確定します。中間生産物の価値が900万円になるというのは誤解です。

選択肢3. 付加価値の合計は900万円になる。

この選択肢は正しいです。果実農家、飲料メーカー、流通業者のそれぞれが生み出した付加価値の合計は900万円です。

選択肢4. 流通業者が生み出した付加価値は800万円になる。

この選択肢も誤りです。流通業者の付加価値は、800万円で販売した商品の仕入れ価格600万円との差額である200万円です。800万円というのは誤りです。

まとめ

付加価値の概念と三面等価の原則を正確に理解することが重要です。各生産・流通段階で生み出される価値がどのように積み上がるかを把握することで、類似の問題にも対応できるようになります。

参考になった数25

02

三面等価の原則と付加価値の知識が問われる問題です。正しく理解して計算すれば、そこまで難しくはないでしょう。

順番で計算しておくと簡単です。

①果実農家が500万円売り上げた内訳である。うち100万円は消費者に販売した。

②飲料メーカーの仕入れ400万円に対して、200万円の付加価値を付けた。流通業者の仕入れは600万円であることがわかる。

③流通業者は600万円で仕入れたものを800万円で消費者に販売した。

ポイントは1番の消費者に販売した部分であることが自然と見えてきます。生産面、支出面、分配面の合計は一致すれば正解です。

選択肢1. 最終生産物の合計は800万円になる。

最終生産物は付加価値合計と等しくなければいけません。

800万円+100万円であることがわかりますので間違いです。

 

選択肢2. 投入された中間生産物の合計は900万円になる。

中間生産物の合計額は仕入れが相当します。

今回の仕入れは飲料メーカーが400万円。

流通業者は600万円でした。

仕入れの合計は1000万円になるため、間違いです。

 

 

選択肢3. 付加価値の合計は900万円になる。

最終消費者の消費金額は、流通業者からの800万円。

果実農家が直接販売した100万円。

合計額は900万円です。

選択肢4. 流通業者が生み出した付加価値は800万円になる。

流通業者の仕入れは600万円であり、付加価値200万円を付けて800万円で販売したことがわかっていますので間違いです。

まとめ

ポイントは出題を分解して、何が起こっているのか、その時の状況を把握することです。

図に書いてしまうのも方法ですが、隠れている数字を引き出すようにしなければいけません。

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03

三面等価の原則を問う問題です。「最終生産物の合計=付加価値合計」という知識があれば、正答することは十分に可能です。

 

解説のまとめで述べている、本問でのサプライチェーン及び一部直販の流れを押さえておくことがポイントです。

(問題用紙の余白に、サプライチェーンの過程で生み出された付加価値を書き出しておくと混乱せずに済みます)

選択肢1. 最終生産物の合計は800万円になる。

最終生産物とは、生産活動の最終段階でそれ以上加工や再利用をされない製品やサービスのことです。

本問では、消費者に販売した生産物(果実とジュース)を指します。

 

果実農家が果実100万円分を、流通業者がジュース800万円分をそれぞれ消費者に販売しているため、最終生産物の合計は900万円になり不適切な選択肢です。

選択肢2. 投入された中間生産物の合計は900万円になる。

中間生産物とは、最終的な製品を生産するために他の企業や組織へ引き渡される原材料や半製品、部品などの生産物のことです。

本問では、果実農家が飲料メーカーに販売した果実400万円分と、飲料メーカーが流通業者に販売したジュース600万円分を指します。

 

以上から、投入された中間生産物の合計は1,000万円になるため不適切な選択肢です。

 

※飲料メーカーが生産したジュースと流通業者が消費者に販売したジュースは同じものであり、流通業者が仕入れたジュースに何か新たに加工を施したわけではありませんが、飲料メーカーは消費者にジュースを販売しておらず、飲料メーカーが生産したジュースは中間生産物であり最終生産物ではありません。

選択肢3. 付加価値の合計は900万円になる。

別の選択肢の解説にあるように、最終生産物の合計が900万円であり、付加価値の合計と最終生産物の合計は等しくなることから正解の選択肢となります。

選択肢4. 流通業者が生み出した付加価値は800万円になる。

流通業者はジュースを600万円で仕入れて800万円で消費者に販売しているため、流通業者が生み出した付加価値は200万円になり不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

「最終生産物」や「中間生産物」という概念が分かりにくい場合は、モノやサービスの流れ(サプライチェーン)を頭に思い浮かべてください。

 

本問の設定では、果実農家→飲料メーカー→流通業者→消費者というサプライチェーンが形成されています。(一部、果実農家→消費者という直販もあります)

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