中小企業診断士の過去問
令和5年度 再試験(2023年)
財務・会計 問8

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和5年度 再試験(2023年) 問8 (訂正依頼・報告はこちら)

無形固定資産の会計に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 自社が開発した営業秘密の製造技術などにより、同業他社に比べて継続的に高い収益性を獲得している場合であっても、これを無形固定資産に計上することはできない。
  • 自社の研究開発活動により特許権を取得した場合、過去の年度に費用処理した研究開発費を戻入れ、無形固定資産として計上しなければならない。
  • 受注に基づいて制作したソフトウェアは無形固定資産に計上され、規則的に償却される。
  • 無形固定資産に計上されるのれんは、耐用年数を確定できない場合、規則的な償却を行わない。

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この過去問の解説 (1件)

01

この問題は、無形固定資産の会計処理に関する知識を問うものです。無形固定資産とは、目に見えないが企業の経済活動に重要な価値を持つ資産であり、これに関する会計処理や償却方法について正しく理解する必要があります。

選択肢1. 自社が開発した営業秘密の製造技術などにより、同業他社に比べて継続的に高い収益性を獲得している場合であっても、これを無形固定資産に計上することはできない。

正しいです。自社が開発した営業秘密や製造技術などは、具体的な取引や法的な権利に基づくものではないため、無形固定資産として計上することはできません。会計上の無形固定資産は、特許権や商標権のように、法律や契約に基づく取得価額が明確なものに限られます。このような営業秘密による収益性は、のれんや競争優位性と関連するものですが、無形資産として計上はできません。

選択肢2. 自社の研究開発活動により特許権を取得した場合、過去の年度に費用処理した研究開発費を戻入れ、無形固定資産として計上しなければならない。

誤りです。過去に費用処理した研究開発費は、すでに費用として処理されたものであり、それを後から戻入れして資産計上することは認められていません。特許権は、新たな無形固定資産として取得価額を基に計上されますが、過去の費用化された研究開発費を無形資産として戻入れすることはできません。

選択肢3. 受注に基づいて制作したソフトウェアは無形固定資産に計上され、規則的に償却される。

誤りです。受注制作ソフトウェアは通常、販売目的のために作られたものとして、棚卸資産に計上されます。自社利用のためのソフトウェア開発費であれば無形固定資産として計上されますが、受注に基づいて制作されたソフトウェアは棚卸資産に該当します。

選択肢4. 無形固定資産に計上されるのれんは、耐用年数を確定できない場合、規則的な償却を行わない。

誤りです。のれんは、会計基準において償却を行う必要があるとされています。たとえ耐用年数を確定できない場合でも、会計基準に基づき合理的に見積もった期間(通常は20年以内)で規則的に償却を行います。したがって、「償却を行わない」という記述は誤りです。

まとめ

無形固定資産とは、特許権や商標権、のれんなど、法律や契約に基づく権利や価値を持つ資産です。営業秘密やノウハウは無形資産として計上できません。

研究開発費は、特許権取得など具体的な資産化されるまで費用として処理され、一度費用化されたものを戻入れすることはできません。

受注に基づいて制作したソフトウェアは棚卸資産に分類され、自社利用のソフトウェアのみ無形固定資産として計上されます。

のれんは、耐用年数を確定できない場合でも、合理的に見積もった期間内で規則的に償却を行う必要があります。

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