中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問46 (財務・会計 問19)

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問題

中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問46(財務・会計 問19) (訂正依頼・報告はこちら)

モジリアーニ・ミラー理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、株式市場は完全で、取引コストは存在しないものとする。
  • 法人税が存在するとき、負債の利用度が高まるほど、株主資本コストは低下する。
  • 法人税が存在するとき、負債の利用度が高まるほど、全社的加重平均資本コストは低下する。
  • 法人税がないとき、負債の利用度が高まるほど、株主資本コストは低下する。
  • 法人税がないとき、負債の利用度が高まるほど、全社的加重平均資本コストは低下する。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、モジリアーニ・ミラー理論(MM理論)の基本概念とその拡張について理解することがポイントです。MM理論は、企業の資本構成(負債と株主資本の比率)が企業価値や資本コストに与える影響を分析する理論です。

MM理論には、法人税が存在しない場合(MM理論命題I・II)と法人税が存在する場合の2つのケースがあります。特に、法人税が存在する場合には、負債により税の節約効果(節税効果)が生じ、企業の全体的な資本コストが低下する可能性があります。

選択肢1. 法人税が存在するとき、負債の利用度が高まるほど、株主資本コストは低下する。

法人税が存在する場合、負債の利用度が高まると、負債が企業全体のリスクを上昇させるため、株主は高いリターン(株主資本コスト)を求めるようになります。したがって、株主資本コストは上昇します。

選択肢2. 法人税が存在するとき、負債の利用度が高まるほど、全社的加重平均資本コストは低下する。

法人税が存在する場合、負債を利用することで利息による節税効果が得られ、企業の全体的な資本コスト(加重平均資本コスト)が低下します。これは、負債が節税効果をもたらし、企業価値を高める結果を導くためです。

選択肢3. 法人税がないとき、負債の利用度が高まるほど、株主資本コストは低下する。

法人税がない場合、負債の利用度が高まると、株主は負債により増加するリスクを考慮し、より高いリターンを求めます。したがって、株主資本コストは上昇します。

選択肢4. 法人税がないとき、負債の利用度が高まるほど、全社的加重平均資本コストは低下する。

法人税がない場合、MM理論命題Iに基づき、負債比率が変わっても全社的な加重平均資本コスト(WACC)は変わりません。法人税がない場合には、企業価値は資本構成に影響されないため、負債比率の変化がWACCに影響を与えることはありません。

まとめ

MM理論命題I(法人税なし)では、負債比率が変わっても企業の価値は変わらず、加重平均資本コスト(WACC)も一定です。

MM理論命題II(法人税なし)では、負債比率が高まると株主資本コストは上昇しますが、全体のWACCは変わりません。

法人税ありのMM理論では、負債を利用することで利息の節税効果が生じ、企業全体の資本コスト(WACC)が低下します。

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02

モジリアーニ・ミラー理論(MM理論)に関する問題です。

 

MM理論の知識を、以下に整理します。

第1命題:法人税が存在しない場合、資本構成(株主資本と負債の組み合わせ)は企業価値に影響を与えない。

修正命題:法人税が存在する場合、負債による節税効果の現在価値分だけ企業価値が高まり、加重平均資本コスト(WACC)は低下する。

選択肢1. 法人税が存在するとき、負債の利用度が高まるほど、株主資本コストは低下する。

冒頭の解説(修正命題)より、法人税が存在するとき、負債の利用度が高まるほど、加重平均資本コストは低下します。

 

法人税が存在するとき、株主資本コストは変わらないため不適切な選択肢です。

選択肢2. 法人税が存在するとき、負債の利用度が高まるほど、全社的加重平均資本コストは低下する。

冒頭の解説(修正命題)より、法人税が存在するとき、負債の利用度が高まるほど、全社的加重平均資本コストは低下するため正解の選択肢となります。

選択肢3. 法人税がないとき、負債の利用度が高まるほど、株主資本コストは低下する。

冒頭の解説(第1命題)より、法人税がないとき、負債の利用度が高まるほど、資本構成(株主資本と負債の組み合わせ)は企業価値に影響を与えないため株主資本コストは低下しません

 

したがって、不適切な選択肢です。

選択肢4. 法人税がないとき、負債の利用度が高まるほど、全社的加重平均資本コストは低下する。

冒頭の解説(第1命題)より、法人税がないとき、負債の利用度が高まるほど、資本構成(株主資本と負債の組み合わせ)は企業価値に影響を与えないため全社的加重平均資本コストは低下しません

 

したがって、不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

令和5年度1次試験第15問設問2において、MM理論を用いた計算問題が出題されています。

 

MM理論は文章だけで理解しようとすると「?」となるため、実際に計算問題を解いた方が理解が進むと思います。

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