中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問56 (企業経営理論 問7)
問題文
イノベーションは企業の知識や競争の在り方に影響をもたらす。R.ヘンダーソンとK.クラークが提唱するイノベーションの類型に関する記述として、最も適切なものはどれか。
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問題
中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問56(企業経営理論 問7) (訂正依頼・報告はこちら)
イノベーションは企業の知識や競争の在り方に影響をもたらす。R.ヘンダーソンとK.クラークが提唱するイノベーションの類型に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- アーキテクチャ・イノベーションは、製品やシステムを構成するコンポーネントについての深い技術的知識を生み出す。
- インクリメンタル・イノベーションは、当該分野で実績のある大企業の競争力を破壊し、新規参入企業の競争力を強化する。
- 当該分野で実績のある企業が、特定のイノベーションをアーキテクチャ・イノベーションだと認識するには、ラディカル・イノベーションと比較して長い時間がかかる。
- ラディカル・イノベーションは、アーキテクチャの安定化をもたらし、新興企業の市場参入を困難にする。
- ラディカル・イノベーションは、既存のコンポーネントに関する知識や技術、経験が重要になるため、アーキテクチャ・イノベーションと比較して、他社の模倣や追従が困難になる。
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この過去問の解説 (3件)
01
本問で問われているイノベーションの類型について簡単にまとめます。
アーキテクチャ・イノベーション
製品などを構成するコンポーネントそのものは変えずに、組み合わせを変化させてイノベーションを実現する手法です。
インクリメンタル・イノベーション
既存の製品などを少しずつ改良・改善していく、漸進的なイノベーションのことです。
ラディカル・イノベーション
既存の枠組みにとらわれない大胆なイノベーションのことで、破壊的イノベーションとも呼ばれるものです。
各選択肢をそれぞれ解説します。
アーキテクチャ・イノベーションは組み合わせを変えるものであるため、本選択肢は不正解です。
インクリメンタル・イノベーションは、漸進的イノベーションと呼ばれるものであり、大企業の競争力の破壊や新規参入を招くものではないため、本選択肢は不正解です。
アーキテクチャ・イノベーションは、構成要素をそのものが変わる大きなイノベーションではないため、破壊的なラディカル・イノベーションと比較すると、イノベーションが起きていることを認識するのに時間がかかると考えられます。
そのため本選択肢が正解です。
ラディカル・イノベーションは、既存のものにとらわれないイノベーションであるため、新興企業によってもたらされることが少なくありません。
そのため本選択肢は不正解です。
ラディカル・イノベーションは、非連続的なイノベーションであるため、既存のコンポーネントに関する知識や技術、経験が重要とはなりません。
そのため本選択肢は不正解です。
正解である選択肢の内容を理解するのが困難であったので、難問と言える問題でした。
学習している知識や選択肢の記述を参考に正解を絞り込んでいく方法で対処しましょう。
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02
イノベーションの類型に関する問題です。本問で挙げられている、イノベーションの類型を以下に整理します。
・アーキテクチャ・イノベーション
製品やシステムなど既存のコンポーネントの組み合わせ方を変えることで、構造的な変化を促して新たな価値を生み出します。例としては、自動車の自動運転システム、コンピュータの高性能化などです。
・インクリメンタル・イノベーション
既存の技術や製品、サービスなどを少しずつ改良・改善していくことで、革新を積み重ねていくことです。「連続型イノベーション」ともいいます。例としては、家電製品の省エネ化、バッテリー駆動時間の長時間化、ソフトウェアのバージョンアップなど日常生活で多く見られます。対義語はラディカル・イノベーションです。
・ラディカル・イノベーション
既存の市場や技術を根底から変革する「ゲームチェンジャー」的なイノベーションです。「非連続型イノベーション」「破壊的イノベーション」ともいいます。例としては、スマートフォンやモノの所有から利用など(具体的には、レンタルビデオから動画配信へのシフト)です。対義語はインクリメンタル・イノベーションです。
冒頭の解説より、アーキテクチャ・イノベーションは既存のコンポーネントの組み合わせ方を変えることであり、深い技術的知識を生み出すわけではなく不適切な選択肢です。
冒頭の解説より、本選択肢はラディカル・イノベーションの記述であるため不適切な選択肢です。
冒頭の解説より、正解の選択肢となります。
アーキテクチャ・イノベーションはパッと見は姿や形が大きく変わらないため気づきにくく、ラディカル・イノベーションと比較すると認識するまでに長い時間がかかります。
また、当該分野で実績のある企業は既存技術で大きな収益を上げているため、アーキテクチャ・イノベーションに対抗する組織的な動きにも時間がかかります。(現状を維持する方が楽なので、成功体験を変えようとすると時として抵抗や反発が生じます)
冒頭の解説より、ラディカル・イノベーションはアーキテクチャの不安定化をもたらし、新興企業の市場参入を容易にします。
今までにない製品やサービスが市場に投入されることがラディカル・イノベーションであり、既存のアーキテクチャでは対応できない場合があるため不適切な選択肢です。
冒頭の解説より、ラディカル・イノベーションは「非連続型イノベーション」「破壊的イノベーション」であるため、既存のコンポーネントに関する知識や技術、経験はむしろ役に立ちません。
既存のコンポーネントに関する知識や技術、経験の延長線上に、ラディカル・イノベーションが生まれるのではないため不適切な選択肢です。
【補足】
本問で挙げられているイノベーションの類型が理解できていないと、横文字だらけのため対応は難しいと思います。
過去問題としては復習しがいのある内容のため、是非取り組んでみてください。
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03
イノベーションの類型に関する問題です。
アーキテクチャ・イノベーション:既存の技術や構成要素を組み合わせることで既存の製品やサービスを大幅に向上させるイノベーション
インクリメンタル・イノベーション:改善活動のような製品やサービスをより良くすることを目指すことで起こるイノベーション
ラディカル・イノベーション:大きな変化や不連続的な変化によって起こるイノベーション
インクリメンタル・イノベーションに関する説明となっています。
そのため、誤った選択肢です。
アーキテクチャ・イノベーションに関する説明となっています。
そのため、誤った選択肢です。
アーキテクチャ・イノベーションは、既存の技術や構成要素を組み合わせることで引き起こされるため、ラディカル・イノベーションと比較して認識に長い時間がかかります。
そのため、正しい選択肢です。
ラディカル・イノベーションにより、アーキテクチャは不安定となり、新興企業が市場参入しやすくなります。
そのため、誤った選択肢です。
既存のコンポーネントに関する知識や技術、経験が重要になるのはアーキテクチャ・イノベーションです。
そのため、誤った選択肢です。
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