中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問57 (企業経営理論 問8)
問題文
D.ティースの主張する、イノベーションと補完的資産に関する記述として、最も適切なものはどれか。
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問題
中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問57(企業経営理論 問8) (訂正依頼・報告はこちら)
D.ティースの主張する、イノベーションと補完的資産に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 当該のイノベーションの成果が他のイノベーションの成否に依存しない場合では、補完的資産は必要とされない。
- 特殊性が低い補完的資産を活用するには、提携よりも所有を伴う統合が望ましい手段となる。
- 補完的資産とは、技術やノウハウといった、当該のイノベーションが直接に生み出す知的資産を指す。
- 補完的資産とは、自社の製品やサービスの価値を高めてくれる、他社である補完的生産者の有する資産のみを指す。
- 補完的資産の中には、イノベーションによって生み出された製品やサービスと互いに依存関係を持つ相互特殊資産が含まれる。
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この過去問の解説 (2件)
01
補完的資産とは、新しい技術を用いた製品を流通させるために必要な生産設備や流通網、製品の信頼度や知名度を表すブランドなどのことです。
この補完的資産が整っているかどうかが、イノベーションの成功に影響を与えると考えられています。
補完的資産がイノベーションの成否影響を与えるため、本選択肢は不正解です。
特殊性が低いならば所有にこだわる必要はないため、本選択肢は不正解です。
補完的資産についての記述として不適切であるため、本選択肢は不正解です。
補完的資産についての記述として不適切であるため、本選択肢は不正解です。
読み解きにくい内容ではありますが、例えば飛行機と空港、パソコンのOSとパソコン本体、と言うように相互依存関係にあるもののことです。
そのため本選択肢が正解です。
深い専門的な知識を必要とする難問でした。
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02
イノベーションと補完的資産に関する問題です。
「補完的資産」という用語が分かりにくいですが、生産設備、販売チャネルやサービス網といった既存資産を指します。
仮に画期的なイノベーションを生み出したとしても、補完資産がなければイノベーションを広めていくことができません。
経済学・経済政策で補完財という概念が問われますが、補完財で捉えてもいいと思います。例えば、かつてないゲーム機を生み出したのであればイノベーションになりますが、そのゲーム機で遊べるソフトが1本もなければゲーム機は宝の持ち腐れとなります。
つまり、ソフトや販売流通網(家電量販店など)は補完的資産になります。
冒頭の解説より、補完的資産は必要とされないとは言い切れないため不適切な選択肢です。(補完的資産の必要性が相対的に下がることはあり得ます)
補完的資産の特殊性が「低い」ということは一般的な補完的資産で足りるということなので、所有よりも提携を伴う統合が望ましい手段となるため不適切な選択肢です。
冒頭の解説より、補完的資産とは、技術やノウハウといった当該のイノベーションが直接に生み出す知的資産ではないため不適切な選択肢です。
むしろ、技術やノウハウといった既存の補完的資産がイノベーションを生み出すと考えられます。(ニワトリと卵ではありませんが、順番が逆です)
補完的生産者が他社であるとは限らないため、不適切な選択肢です。
また、本選択肢では「資産のみ」という限定的な表現が用いられていますが、このような表現が使われている選択肢は一般的に誤りである可能性が高いです。
本選択肢は、すんなり正しいとは思えない違和感を感じる文章のため、読んでいてもしっくりこないと思います。そのような感覚で排除できれば十分です。
冒頭のゲーム機とソフトの説明のように、イノベーションと補完的資産との間には互いに依存関係を持つ相互特殊資産が含まれるため正解の選択肢となります。
例えば、プレイステーションではSwitchのゲームソフトで遊ぶことはできません。(その逆も同様です)
そのため、プレイステーションにはプレイステーション用のソフトという互いに依存関係を持つ相互特殊資産が必要になります。
【補足】
本問のような少し込み入った問題については、優先順位を下げても構いません。
ただし、本問はイノベーションの論点であり、イノベーション自体は頻出ですので過去問題での復習は必須です。
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