中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問81 (企業経営理論 問32)

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問題

中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問81(企業経営理論 問32) (訂正依頼・報告はこちら)

財に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • サービス財のサブ・サービス(例えば、診療所の清潔さや看護師のホスピタリティ)の拡充には集中化と広範化の2つの方向性がある。一般に、経営資源が豊富な企業はサブ・サービスを集中させ、経営資源が少ない企業はサブ・サービスを広範化させることで、競合サービスとの差別化を図る。
  • スマートフォンからアクセスして視聴できる映画などのデジタル財は、在庫困難性や取引の不可逆性、生産と消費の不可分性といった財の特徴を持ち合わせている。
  • 製品を便益の束と捉えると、有形財には製品の機能やデザイン、販売後の保証や返品などの販売条件に加え、アフターサービスや販売後の顧客対応といった売り手の行為や活動も含まれる。
  • デジタル財と有形財とでは、非排他性という特徴において同じであるが、複製可能性と非空間性という特徴において違いがある。

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この過去問の解説 (3件)

01

財と呼ばれるものには多様なものがあります。

本問で出題されているものを簡単にまとめてみます。

 

財の種類特徴
デジタル財デジタルデータとして主にインターネットを通じて提供される音楽や映像などのコンテンツのことです。
サービス財無形で提供され、提供と消費が同時に行われるものを指します。
有形財物理的に存在する財のことで、商品や製品などのように見たり触れたりできるものです。

 

各選択肢をそれぞれ解説します。

 

選択肢1. サービス財のサブ・サービス(例えば、診療所の清潔さや看護師のホスピタリティ)の拡充には集中化と広範化の2つの方向性がある。一般に、経営資源が豊富な企業はサブ・サービスを集中させ、経営資源が少ない企業はサブ・サービスを広範化させることで、競合サービスとの差別化を図る。

経営資源が豊富な企業はサブ・サービスを広範化させ、経営資源が少ない企業はサブ・サービスを集中させます

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢2. スマートフォンからアクセスして視聴できる映画などのデジタル財は、在庫困難性や取引の不可逆性、生産と消費の不可分性といった財の特徴を持ち合わせている。

デジタル財には生産と消費の不可分性は該当しません

同じコンテンツであっても、世界中の人たちが同時に消費することも可能だからです。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢3. 製品を便益の束と捉えると、有形財には製品の機能やデザイン、販売後の保証や返品などの販売条件に加え、アフターサービスや販売後の顧客対応といった売り手の行為や活動も含まれる。

有形財の説明として適切です。

そのため本選択肢が正解です。

選択肢4. デジタル財と有形財とでは、非排他性という特徴において同じであるが、複製可能性と非空間性という特徴において違いがある。

有形財には非排他性ではなく、排他性を持つという特徴があります

そのため本選択肢は不正解です。

まとめ

サービス財とデジタル財には共通する箇所と、異なる箇所がそれぞれあります。

どちらも無形性の財という点は共通していますが、サービス財は在庫することができず、提供と消費が同時に行われます。

対してデジタル財は、在庫としてデータを用意しておいて、提供も時間を問わず、複数人に同時に行うことも可能です。

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02

財に関する問題です。

 

サービス材の特徴を問う内容で、複雑な記述にして時間を消費させることが目的と思われる選択肢が複数あります。

(本年度・再試験の企業経営理論問27と似た内容のものです)

 

そのため、一部の記述が間違っていると分かった時点で排除し、無駄な時間を使わないことが必要です。

(正誤判断に悩む場合は、その選択肢は一旦スキップしてください。最終的には消去法で正答できれば十分です)

 

選択肢1. サービス財のサブ・サービス(例えば、診療所の清潔さや看護師のホスピタリティ)の拡充には集中化と広範化の2つの方向性がある。一般に、経営資源が豊富な企業はサブ・サービスを集中させ、経営資源が少ない企業はサブ・サービスを広範化させることで、競合サービスとの差別化を図る。

本選択肢は、集中化と広範化の記述が逆になっています。

 

経営資源が豊富な企業はサブ・サービスを広範化させ、経営資源が少ない企業はサブ・サービスを集中させることで競合サービスとの差別化を図るため不適切な選択肢です。

 

経営資源が豊富であればサブ・サービスを拡充(広範化)させ、経営資源が少なければサブ・サービスを集約(必要なものだけに集中化)させることが一般的であることはご理解いただけると思います。

選択肢2. スマートフォンからアクセスして視聴できる映画などのデジタル財は、在庫困難性や取引の不可逆性、生産と消費の不可分性といった財の特徴を持ち合わせている。

在庫困難性や取引の不可逆性、生産と消費の不可分性といった財の特徴はサービス材の記述であるため不適切な選択肢です。

 

※本年度・再試験の企業経営理論問27でサービス材が問われています。そちらと併せて復習していただければ理解が進みます。

選択肢3. 製品を便益の束と捉えると、有形財には製品の機能やデザイン、販売後の保証や返品などの販売条件に加え、アフターサービスや販売後の顧客対応といった売り手の行為や活動も含まれる。

本選択肢は、有形財の記述として適切であるため正解の選択肢です。

 

自動車などの有形財を購入した後で車検などのアフターサービスを依頼することをイメージして頂ければ、正誤判断しやすいと思います。

(家など、特に高額な有形財の場合はアフターサービスの必要性が高まります)

選択肢4. デジタル財と有形財とでは、非排他性という特徴において同じであるが、複製可能性と非空間性という特徴において違いがある。

デジタル財には、「非排他性」「複製可能性」「非空間性」という3つの特徴があります。

 

・非排他性
動画配信では、世界中の利用者が同時に同じタイトルを視聴しても「品切れ」になることがありません。対して、DVDレンタル(有形財)では貸出中(一時的な品切れ)があり得るため、排他性が存在します。

 

・複製可能性
デジタル財では、複製するための限界費用が限りなくゼロです(デジタルコピーできるため)。有形財も複製可能ですが、限界費用は限りなくゼロではありません

 

・非空間性
デジタル財では、保管するための物理的スペースが不要です(データストレージの容量は必要)。対して、有形財は倉庫などの物理的スペースが必要です。

 

以上から、デジタル財と有形財とでは非排他性、複製可能性、非空間性という特徴において違いがあるため不適切な選択肢です。

 

※本年度・再試験の企業経営理論問27でサービス材が問われています。そちらと併せて復習していただければ理解が進みます。

まとめ

【補足】

 

デジタル財と有形財の比較は、「非排他性という特徴は同じ」「複製可能性と非空間性という特徴は違う」など内容が込み入っていて特にややこしいです。

 

冒頭の解説でも述べていますが、正誤判断に悩む場合は一旦スキップしてください。1つの選択肢だけで正誤判断しようとすると時間を消費してしまうため、消去法で構わないので全ての選択肢を俯瞰して「最も適切」な選択肢を選んでください。

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03

財に関する問題です。

選択肢1. サービス財のサブ・サービス(例えば、診療所の清潔さや看護師のホスピタリティ)の拡充には集中化と広範化の2つの方向性がある。一般に、経営資源が豊富な企業はサブ・サービスを集中させ、経営資源が少ない企業はサブ・サービスを広範化させることで、競合サービスとの差別化を図る。

経営資源が豊富な企業はサブ・サービスを広域化させ、経営資源が少ない企業はサブ・サービスを集中させます。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢2. スマートフォンからアクセスして視聴できる映画などのデジタル財は、在庫困難性や取引の不可逆性、生産と消費の不可分性といった財の特徴を持ち合わせている。

デジタル財ではなく、サービス財の説明となっています。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢3. 製品を便益の束と捉えると、有形財には製品の機能やデザイン、販売後の保証や返品などの販売条件に加え、アフターサービスや販売後の顧客対応といった売り手の行為や活動も含まれる。

有形財の正しい説明となっています。

そのため、正しい選択肢です。

選択肢4. デジタル財と有形財とでは、非排他性という特徴において同じであるが、複製可能性と非空間性という特徴において違いがある。

デジタル財は同時に複数人が消費できますが、有形財は同時に複数人が消費できません。

そのため、有形財は排他性を持っており誤った選択肢です。

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