中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問111 (運営管理 問19)

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問題

中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問111(運営管理 問19) (訂正依頼・報告はこちら)

ある設備の加工速度を向上させるために設備改良を行った。改良後、100個加工を行って1個当たりの平均速度を求めると9.75、標準偏差1.0であった。改良前の平均速度は10、標準偏差1.0であったとき、加工速度が向上したかどうかを統計的に検定する際の記述として、最も適切なものはどれか。
  • 帰無仮説:μ=9.75、対立仮説:μ≠9.75として、t検定を用いる。
  • 帰無仮説:μ=9.75、対立仮説:μ≠9.75として、z検定を用いる。
  • 帰無仮説:μ=10、対立仮説:μ<10として、χ2検定を用いる。
  • 帰無仮説:μ=10、対立仮説:μ<10として、z検定を用いる。

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この過去問の解説 (2件)

01

検定に関する問題です。

 

各選択肢で述べられている「帰無仮説」「対立仮説」について解説します。

・帰無仮説:検定を行うために立てる仮説のことで、この仮説に沿って検定を行ない結論を導きます。

(改良前の平均速度は10、標準偏差1.0であったとき、改良したことによって加工の平均速度が向上したかどうかを統計的に検定したい)

・対立仮説:帰無仮説に対する仮説(本来証明したい仮説)のことです。

 

本問では加工数(母集団)が100と多いため、z検定を用います。母集団が多い場合(一般的に30以上)にはz検定を用いることを知っているだけでも、選択肢を2つに絞り込むことができます。

選択肢1. 帰無仮説:μ=9.75、対立仮説:μ≠9.75として、t検定を用いる。

冒頭の解説より「改良前の平均速度は10、標準偏差1.0であったとき、改良したことによって加工の平均速度が向上したかどうかを統計的に検定したい」ため、改良前の平均速度10が用いられます。

 

また、 本問では加工数(母集団)が100と多いためz検定を用います。

 

t検定は母分散が未知(分かっていない)の正規分布に従う場合に利用する検定手法であるため不適切な選択肢です。(今回、母集団の標準偏差が1.0と判明しています)

選択肢2. 帰無仮説:μ=9.75、対立仮説:μ≠9.75として、z検定を用いる。

冒頭の解説より「改良前の平均速度は10、標準偏差1.0であったとき、改良したことによって加工の平均速度が向上したかどうかを統計的に検定したい」ため、改良前の平均速度10が用いられます。

 

したがって、不適切な選択肢です。

選択肢3. 帰無仮説:μ=10、対立仮説:μ<10として、χ2検定を用いる。

本問では加工数(母集団)が100と多いため、z検定を用います。したがって、不適切な選択肢です。

選択肢4. 帰無仮説:μ=10、対立仮説:μ<10として、z検定を用いる。

帰無仮説:μ=10、対立仮説:μ<10としてz検定を用いることは、加工速度が向上したかどうかを統計的に検定する際の記述として適切であり、正解の選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

・z検定について

2つのサンプル(標本)の平均が、有意に異なるのかどうか(本当に差があるのか、誤差の範囲内なのか)を検定する方法の一つです。下にイメージ図を示します。

参考になった数1

02

検定の問題です。
本番では時間の制約があるため、ある程度、問題ごとに優先順位をつけながら解いていくことをお勧めします。
この問題は、比較的優先順位が低い問題です。

この問題に時間を掛けて、簡単に解ける問題や、必ず正解すべき問題を落とすくらいなら、この問題は後回しにする方が良い問題です。

 

平均値の検定の問題です。

とくに、「加工速度が向上したかどうか」なので、片側検定だと読み取れます。
(※仮に、「加工速度が変化したかどうか」であれば、両側検定になります。)

 

帰無仮説と対立仮説を設定することになりますが、

帰無仮説は、そうであって欲しくない姿を意味しますので、今回であれば、改良後も改良前の平均速度と変わらない状態になり、それは、「μ=10」ということになります。

対立仮説は、そうであって欲しい姿を意味しますので、今回であれば、改良後は改良前の平均速度より速くなっている状態になり、それは、「μ<10」ということになります。

 

また、改良前の標準偏差が与えられている為、標準偏差が既知の場合の検定だということも読み取れます。

よって、検定の種類としては、「z検定」ということになります。

 

選択肢1. 帰無仮説:μ=9.75、対立仮説:μ≠9.75として、t検定を用いる。

冒頭の解説より、本選択肢は誤りです。

選択肢2. 帰無仮説:μ=9.75、対立仮説:μ≠9.75として、z検定を用いる。

冒頭の解説より、本選択肢は誤りです。

選択肢3. 帰無仮説:μ=10、対立仮説:μ<10として、χ2検定を用いる。

冒頭の解説より、本選択肢は誤りです。

選択肢4. 帰無仮説:μ=10、対立仮説:μ<10として、z検定を用いる。

正解です。

まとめ

比較的、後回しにしても良い問題です。必ず押さえるべき論点を押さえた後、余裕があれば取り組むことをお勧めします。

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