中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問154 (経営法務 問18)

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問題

中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問154(経営法務 問18) (訂正依頼・報告はこちら)

商標法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができ、その効力の発生に登録は不要である。
  • 商標権について通常使用権が許諾された後、その商標権が第三者に譲渡された場合において、通常使用権者が商標権の譲受人に対して通常使用権を対抗するためには、通常使用権の登録が必要である。
  • 商標権の通常使用権の移転については、登録が効力発生要件とされている。
  • 当事者間の契約により商標権を譲渡する場合、商標権の移転の効力は当事者の合意によって生じるが、その移転の効力を第三者に対抗するためには、登録が必要である。

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この過去問の解説 (2件)

01

商標法の使用権登録の知識を問う問題です。

選択肢1. 商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができ、その効力の発生に登録は不要である。

商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができ、その効力の発生には登録が必要です。

 

使用権の効力を生じさせるためには、専用/通常の区別なく登録が必要であるため不適切な選択肢です。

選択肢2. 商標権について通常使用権が許諾された後、その商標権が第三者に譲渡された場合において、通常使用権者が商標権の譲受人に対して通常使用権を対抗するためには、通常使用権の登録が必要である。

商標権について通常使用権が許諾された後、その商標権が第三者に譲渡された場合において、通常使用権者が商標権の譲受人に対して通常使用権を対抗するためには、通常使用権の登録が必要であることは商標法に関する記述として最も適切であり正解の選択肢となります。

選択肢3. 商標権の通常使用権の移転については、登録が効力発生要件とされている。

商標権の通常使用権の移転については、譲渡人と譲受人の双方の合意があれば足ります。

 

他の(正解の)選択肢で述べられているように、第三者に対抗するために通常使用権の登録が必要であるため不適切な選択肢です。

選択肢4. 当事者間の契約により商標権を譲渡する場合、商標権の移転の効力は当事者の合意によって生じるが、その移転の効力を第三者に対抗するためには、登録が必要である。

当事者間の契約により商標権を譲渡する場合、商標権の移転の効力は当事者の合意によって生じるが、その使用権の効力を第三者に対抗するためには登録が必要です。

 

第三者に対抗するのは「対抗要件」であり、商標権の登録が必要になります。「商標権の移転の効力」(移転効力要件)を登録するのではないため不適切な選択肢です。

 

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02

本問は商標法における使用権の登録制度に関する基本的な知識を問う問題です。商標権は知的財産権の一種であり、その権利の設定や移転において登録が大きな役割を果たしています。特に、専用使用権と通常使用権では登録の効果が異なる点を理解することが重要です。

選択肢1. 商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができ、その効力の発生に登録は不要である。

この選択肢は誤りです。商標法第30条第1項および第4項によれば、商標権者は商標権について専用使用権を設定することができますが、その効力を生じさせるためには登録が必要です。

専用使用権は、商標権者自身も使用できないような強い独占的権利であるため、効力発生には登録という公示手段が必要とされています。言い換えれば、専用使用権の設定については、登録が効力発生要件となっています。

選択肢2. 商標権について通常使用権が許諾された後、その商標権が第三者に譲渡された場合において、通常使用権者が商標権の譲受人に対して通常使用権を対抗するためには、通常使用権の登録が必要である。

この選択肢は正しいです。商標法第31条第4項によれば、通常使用権者は通常使用権を登録した場合に限り、商標権または専用使用権の譲受人に対してその通常使用権を対抗することができます。

これは、商標権が第三者に譲渡された場合、通常使用権者がその権利を新しい商標権者に対して主張するためには、通常使用権の登録が必要であることを意味しています。通常使用権の登録は対抗要件であり、登録がなければ、新しい商標権者は通常使用権の存在を認める必要がありません。

選択肢3. 商標権の通常使用権の移転については、登録が効力発生要件とされている。

この選択肢は誤りです。商標法第31条第2項によれば、通常使用権の移転は、当事者間の合意によって効力が生じ、必ずしも登録が効力発生要件ではありません。

通常使用権者が自分の権利を他者に譲渡する場合、その効力は当事者間の合意によって生じます。ただし、その通常使用権の移転を第三者に対抗するためには、登録が必要となります。これは通常使用権の登録が対抗要件であることを意味します。

選択肢4. 当事者間の契約により商標権を譲渡する場合、商標権の移転の効力は当事者の合意によって生じるが、その移転の効力を第三者に対抗するためには、登録が必要である。

この選択肢は誤りではないものの、不正確な表現があります。商標法第35条によれば、商標権の移転の効力は当事者間の合意によって生じますが、その効力を第三者に対抗するためには登録が必要です。

しかし、この選択肢では「その移転の効力を第三者に対抗するためには、登録が必要である」と述べており、これは商標権の移転そのものについては正しいですが、問題全体のコンテキストである「使用権」について述べておらず、他の選択肢と比較すると最も適切とは言えません。

まとめ

本問の正解は選択肢2です。

商標法における権利の登録制度には、効力発生要件と対抗要件の2種類があります。専用使用権については、その効力を生じさせるためには登録が必要であり(効力発生要件)、通常使用権については、契約当事者間では登録なしでも効力が生じますが、商標権の譲受人など第三者に対して権利を主張するためには登録が必要です(対抗要件)。

こうした登録制度の理解は、商標権の取引や企業間のライセンス契約において非常に重要です。特に、他者の商標を使用する権利(通常使用権)を取得した場合、将来その商標権が第三者に譲渡されても自分の権利を守るためには、通常使用権の登録を行っておくことが必要です。

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