中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問206 (中小企業経営・中小企業政策 問16)

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問題

中小企業診断士試験 令和6年度(2024年) 問206(中小企業経営・中小企業政策 問16) (訂正依頼・報告はこちら)

財務省「法人企業統計年報」、「法人企業統計季報」に基づき、1980年度と2020年度について、中小企業と大企業・中堅企業の総資本営業利益率を比較した場合の記述として、最も適切なものはどれか。
なお、ここでは、大企業・中堅企業は資本金1億円以上、中小企業は資本金1,000万円以上1億円未満の企業とする。
  • 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は上昇し、中小企業の総資本営業利益率は低下している。
  • 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は上昇し、中小企業の総資本営業利益率も上昇している。
  • 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は上昇し、中小企業の総資本営業利益率はほぼ横ばいである。
  • 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は低下し、中小企業の総資本営業利益率は上昇している。
  • 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は低下し、中小企業の総資本営業利益率も低下している。

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この過去問の解説 (3件)

01

財務省「法人企業統計年報」、「法人企業統計季報」から、中小企業と大企業・中堅企業の総資本営業利益率を1980年度と2020年度での比較が問われています。

 

本問は、中小企業白書および小規模企業白書からの出題ではなく、事前の予習は困難であると思われます。

 

与件文にある法人企業統計年報に、全産業と製造業・非製造業の総資本営業利益率の推移を示した図がありましたので以下に示します。

出所:財務省 財務総合政策研究所「法人企業統計からみえる企業の財務指標」より、(1)企業の収益性 ①総資本営業利益率の図を一部加工(https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/zaimu/index.htm

 

中堅企業を含む中小企業が企業総数の99.7%を占めることから、全産業の推移を見ることで出題の主旨には沿うものと考えます。

 

上図から、総資本営業利益率を1980年度と2020年度で比較した場合、1980年度の全産業の総資本営業利益率は6.0%、2020年度の全産業の総資本営業利益率は2.5%程度、40年間の推移を見ても右肩下がりとなっています。

 

そのため、大企業・中堅企業の総資本営業利益率は低下し、中小企業の総資本営業利益率も低下していると考えられます。

選択肢1. 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は上昇し、中小企業の総資本営業利益率は低下している。

冒頭の解説より、大企業・中堅企業の総資本営業利益率は低下し、中小企業の総資本営業利益率も低下しているため不適切な選択肢です。

選択肢2. 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は上昇し、中小企業の総資本営業利益率も上昇している。

冒頭の解説より、大企業・中堅企業の総資本営業利益率は低下し、中小企業の総資本営業利益率も低下しているため不適切な選択肢です。

選択肢3. 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は上昇し、中小企業の総資本営業利益率はほぼ横ばいである。

冒頭の解説より、大企業・中堅企業の総資本営業利益率は低下し、中小企業の総資本営業利益率も低下しているため不適切な選択肢です。

選択肢4. 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は低下し、中小企業の総資本営業利益率は上昇している。

冒頭の解説より、大企業・中堅企業の総資本営業利益率は低下し、中小企業の総資本営業利益率も低下しているため不適切な選択肢です。

選択肢5. 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は低下し、中小企業の総資本営業利益率も低下している。

冒頭の解説より、大企業・中堅企業の総資本営業利益率は低下し、中小企業の総資本営業利益率も低下しているため正解の選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

本問は白書からの出題ではなく事前に備えることは難しいですが、1980年と2020年の時代背景をイメージすることで正誤判断したいところです。以下に、1980年と2020年の時代背景の一例を挙げます。

 

・1980年は昭和55年で、バブル経済よりも昔である

・1991年にバブル経済が崩壊して以降、(諸説あるものの)日本経済は長期的に低迷して「失われた30年」などと呼ばれている

・2020年には新型コロナの感染拡大により、多数の産業が大打撃を受けている

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02

この問題では、1980年度と2020年度の総資本営業利益率の変化について、大企業・中堅企業と中小企業の比較を行います。

 

 

総資本営業利益率の変化

 

1. 大企業・中堅企業の動向

1980年度と比較すると、2020年度の総資本営業利益率は低下しています。

理由として、バブル崩壊後の低成長経済やグローバル競争の激化が挙げられます。

近年はデジタル化や海外展開が進んでいますが、それ以前の低成長時期の影響が大きく、全体としては低下しています。

 

 

2. 中小企業の動向

中小企業も総資本営業利益率が低下しています。

人手不足や価格競争の影響を受け、大企業ほどの規模のメリットを活かせず、コスト削減や生産性向上が難しい状況が続いています。

特に、資本力が限られているため、事業投資や設備更新の余裕が少なく、大企業以上に厳しい状況に置かれています。

 

 

このため、最も適切な選択肢は
「大企業・中堅企業の総資本営業利益率は低下し、中小企業の総資本営業利益率も低下している。」 です。

選択肢1. 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は上昇し、中小企業の総資本営業利益率は低下している。

誤りです。

選択肢2. 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は上昇し、中小企業の総資本営業利益率も上昇している。

誤りです。

選択肢3. 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は上昇し、中小企業の総資本営業利益率はほぼ横ばいである。

誤りです。

選択肢4. 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は低下し、中小企業の総資本営業利益率は上昇している。

誤りです。

選択肢5. 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は低下し、中小企業の総資本営業利益率も低下している。

正しいです。

まとめ

1980年度と比較すると、大企業・中堅企業、中小企業ともに総資本営業利益率は低下しています。これは、長期的な経済低迷や競争の激化、コスト負担の増加が影響しているためです。

参考になった数6

03

中小企業等の統計データに関する出題です。

本問では、中小企業と大企業・中堅企業における

1980年度と2020年度の

総資本営業利益率の比較について問われています。

本問で問われている点については下記のとおりです。

 

・大企業・中堅企業の総資本営業利益率は低下

・中小企業の総資本営業利益率も低下

選択肢1. 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は上昇し、中小企業の総資本営業利益率は低下している。

不適切

冒頭の解説より不適切です。

選択肢2. 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は上昇し、中小企業の総資本営業利益率も上昇している。

不適切

冒頭の解説より不適切です。

選択肢3. 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は上昇し、中小企業の総資本営業利益率はほぼ横ばいである。

不適切

冒頭の解説より不適切です。

選択肢4. 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は低下し、中小企業の総資本営業利益率は上昇している。

不適切

冒頭の解説より不適切です。

選択肢5. 大企業・中堅企業の総資本営業利益率は低下し、中小企業の総資本営業利益率も低下している。

適切

冒頭の解説より適切です。

まとめ

「法人企業統計からみえる企業の財務指標」(財務省)

によれば、全産業ベースの総資本営業利益率は

1980年度から2020年度で低下しています。

一方、全産業ベースの売上高営業利益率は

1980年度から2020年度でほぼ同等です。

総資本営業利益率は、

売上高営業利益率と総資本回転率で分解できることから、

総資本回転率、すなわち資産の運用効率性が低下したと

考えられます。

 

 

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