技術士の過去問
平成28年度(2016年)
基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問19

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

技術士 第一次試験 平成28年度(2016年) 基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問19 (訂正依頼・報告はこちら)

以下のアンモニア合成反応の熱化学方程式に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
N2( 気 )+3H2( 気 )=2NH3( 気 )+92[kj]
ただし、( 気 )は気体を意味する。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

アンモニア合成反応の熱化学方程式に関する問題です。

ルシャトリエの原理により、化学平衡状態にある反応系において何らかの変動を与えると、平衡が変化を和らげる方向に移動します。
具体的には、以下のようになります。

N₂ + 3H₂ → 2NH₃ + 92J ・・・①

(a) 熱を加えた場合
①式より、右側にいくと熱が発生する反応式なので、熱を加えると平衡が左側に移動します。
よって、温度を上げるとアンモニア生成率は低下します。
逆に温度を下げるとアンモニア生成率は向上します。

(b) 圧力を加えた場合
①式より、左辺は分子数が4、右辺は2なので、圧力は左側の方が強くなり、反応後に圧力が低下する反応式だということが分かります。
つまり、圧力を加えると、平衡は右側に移動します。
よって、圧力を上げるとアンモニア生成率は向上します。

以上より、温度を下げ、かつ圧力を上げるとアンモニア生成率が向上するため、正解は4です。

参考になった数25

02

正解は4です。

ルシャトリエの原理に関する問題なのですが、まずはこの式の意味から考えてみましょう。

N2( 気 )+3H2( 気 )=2NH3( 気 )+92[kj]

窒素と水素を反応させて、アンモニアを生成します。その際に熱が発生します。

この反応は可逆反応であって、逆の方向、つまりアンモニアと熱から、窒素と水素を生成する反応も起こります。

両方の反応が同時に起こり、反応速度が等しくなると見かけ上反応が終わったように見える状態となります。これを化学平衡状態といいます。

ルシャトリエの原理は反応が平衡状態にある場合、濃度圧力温度が変化すると、この変化による影響を打ち消す方向に平衡が移動し、新しい平衡状態になるというものです。

つまり左から右の反応か、右から左の反応のどちらかが多く起こるということです。

この場合でいえばアンモニアの生成率が上がるか(左→右)下がる(左←右)わけです。

①圧力を加えた場合

分子数は左辺が4で右辺が2です。したがって、圧力を加えると右側にいく反応が加速するので、アンモニアの生成率が上がります。

②温度を下げた場合

アンモニアを生成すると熱が発生する反応なので、温度が低下すると発熱反応の方向に平衡が移動します。したがってアンモニアの生成率は上がります。

ちなみに、

・今回問われていないが、アンモニアの濃度を上げた場合、その濃度を下げようとする反応(つまり、窒素水素になる反応(左←右)が加速します。

・触媒を加えると、平衡状態になるまでの時間は短縮されますが、平衡の移動は起こりません。

以上より、低温・高圧でアンモニアの生成率があがるので4が正解です。

参考になった数10

03

正解は4です。

ルシャトリエの原理から、平衡状態にあるアンモニア合成反応に対して
圧力を加えると、分子数が少ない方向である右辺へ平衡が移動するので、
アンモニア生成率が向上します。

また、温度条件に着目すると、右辺は発熱反応なので、
温度が下がると平衡が右辺へ移動し、アンモニア生成率が向上します。

以上から、低温・高圧での反応時にアンモニアの生成率が向上するので、
4が正解です。

参考になった数10