技術士の過去問
平成28年度(2016年)
適性科目 問35
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問題
技術士 第一次試験 平成28年度(2016年) 適性科目 問35 (訂正依頼・報告はこちら)
国土交通省は、横浜市のマンションに端を発した基礎ぐい工事の問題発生を受けて有識者による「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」を設置し、2015年12月に中間とりまとめ報告を発表した。その中で建築物の安全性、データ流用等の問題について、5つの論点と基本的な考え方を整理している。5つの論点とは、「安全・安心と信頼」「業界の風潮・風士、個人の意識」「責任体制」「設計と施工、その連携」「ハードウェア」である。再発防止策に関する次の( ア )~( オ )の記述について、正しいものは〇、誤っているものは×として、最も滴切な組合せはどれか。
ア データ流用が判明した物件の安全性確認は迅速かつ確実に実施する必要がある。しかし、データ流用があったことのみをもって建築物の安全性に必ず問題があると断定することはできず、技術者はデータ流用の問題と安全性の問題を分けて考えることも必要である。国民の信頼回復のため、関係者は問題意識を共有し再発防止に取り組むことが重要である。
イ データ流用を許容する業界の風潮、企業の風土、施エデータによる施工状況の作成記録・確認・保管を軽視する個人の意識が変わることが必要である。企業経営者はコンプライアンスを重視し、現場におけるルールの遵守について啓発・周知することが重要である。
ウ 建設工事の施工は、元請のもと重層化した下請構造においてなされるため、元請が統括的な役割を果たすことが重要であり、そのもとで下請が専門工事を適切に実施する体制を構築することが不可欠である。
エ 基礎ぐい工事では設計者のみに高度な技術力と専門性が求められるため、施工者は実際の現場での地盤条件の確認よりも、設計者、工事監理者の考えを最優先に設計図に忠実な施工をすることが重要である。
オ データ流用の背景には、現場で偶発的に生じる機器の不具合に原因があるため、再発防止を図るためには、エラーの芽を末然に摘むためのハードウェアの高度化やIT技術の活用が効果的であり、ヒューマンエラーを前提にしたルール等の策定は必要でない。
ア データ流用が判明した物件の安全性確認は迅速かつ確実に実施する必要がある。しかし、データ流用があったことのみをもって建築物の安全性に必ず問題があると断定することはできず、技術者はデータ流用の問題と安全性の問題を分けて考えることも必要である。国民の信頼回復のため、関係者は問題意識を共有し再発防止に取り組むことが重要である。
イ データ流用を許容する業界の風潮、企業の風土、施エデータによる施工状況の作成記録・確認・保管を軽視する個人の意識が変わることが必要である。企業経営者はコンプライアンスを重視し、現場におけるルールの遵守について啓発・周知することが重要である。
ウ 建設工事の施工は、元請のもと重層化した下請構造においてなされるため、元請が統括的な役割を果たすことが重要であり、そのもとで下請が専門工事を適切に実施する体制を構築することが不可欠である。
エ 基礎ぐい工事では設計者のみに高度な技術力と専門性が求められるため、施工者は実際の現場での地盤条件の確認よりも、設計者、工事監理者の考えを最優先に設計図に忠実な施工をすることが重要である。
オ データ流用の背景には、現場で偶発的に生じる機器の不具合に原因があるため、再発防止を図るためには、エラーの芽を末然に摘むためのハードウェアの高度化やIT技術の活用が効果的であり、ヒューマンエラーを前提にしたルール等の策定は必要でない。
- ア:〇 イ:〇 ウ:〇 エ:〇 オ:×
- ア:〇 イ:× ウ:〇 エ:× オ:×
- ア:× イ:〇 ウ:〇 エ:× オ:〇
- ア:〇 イ:〇 ウ:〇 エ:× オ:×
- ア:× イ:〇 ウ:× エ:〇 オ:〇
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この過去問の解説 (3件)
01
横浜市の基礎ぐい工事の問題を受け発足した「基礎ぐい工事間題に関する対策委員会」の報告内容を元に、各選択肢の正誤を解答します。
それぞれの正誤は以下の通りです。
ア:〇
データ流用があったからといって、必ずしもその建築物の安全性に問題があるわけではないことから、建物の安全性とデータ流用は切り離して考えなければなりません。
イ:〇
データ流用は、業界の風潮・企業の風土や関係者の意識に起因する根の深い問題であり、企業経営者がリーダーシップをもって問題意識を提起していく必要があります。
ウ:〇
建設工事は、元請のもと重層化した下請構造においてなされることから、責任を明確化する必要があります。
元請は統括的な役割を果たし、下請は専門工事を適切に実施できるよう、体制を構築する必要があります。
エ:×
設計は、地盤の特性に応じて行わなければなりません。
オ:×
ヒューマンエラーは必ず起こりうるという前提に立って、エラーが発生した場合のルールを明確化する必要があります。
よって、ア:〇、イ:〇、ウ:〇、エ:×、オ:× となることから、
4が正解です。
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02
各内容については以下の通りです。
ア 正しいです。
まずは物件の安全性確認を迅速、確実に行い、
安全性に問題があるのかどうかを明確にする必要があります。
そして、データ流用によって失った信頼を回復するため、
経緯を調査し、原因を解明したのち、
再びデータ流用が起こらないよう、対策を講じる必要があります。
イ 正しいです。
データ流用などの不正をさせない風土づくり非常に大切になります。
ウ 正しいです。
責任の所在を明確にし、元請けは不正をさせない統括的な役割を果たし、
下請けもそれに従い、不正無く施工する体制を構築することが重要です。
エ 誤りです。
施工者は現場に即した対応を行うべきです。
実際に現物に触れるのは施工者であり、
設計図ではなく、現実を重視しなければなりません。
オ 誤りです。
ハードウェアの高度化、IT技術の活用だけで再発防止を行ってしまうと、
何らかの要因で、そのシステムをくぐり抜けてしまった場合、再発してしまいます。
操作を行う以上、必ずミスが発生します。ミスが発生した際に、
正しい手順で復帰出来るようにルール等を策定すること、
誤った操作をすると、重大な問題が発生することを正しく教育する必要があります。
したがって、ア:〇、イ:〇、ウ:〇、エ:×、オ:× となるので、4が正解です。
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03
<正解>4
[解説]
「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」でまとめられた建築物の安全性、データ流用等に関する正誤の組み合わせの問題です。
アからオの記述内容の正否は以下のとおりとなります。
ア 正しい内容です。
データ流用が判明した物件については、
迅速かつ確実に安全性確認を行う必要があります。
しかしながら、データ流用の問題と安全性の問題とは分けて考えることが必要です。
また、関係者は、国民の信頼回復のために、
問題意識を共有し、
再発防止に取り組むことが重要です。
よって、正しい内容です。
イ 正しい内容です。 風上→風土
データ流用の背景には、1)業界の風潮2)企業の風土3)個人の意識のそれぞれの領域での変化が必要です。
そのためには、企業経営者は、コンプライアンスを重視し、
現場におけるルールの遵守について啓発・周知することが重要となります。
よって、正しい内容です。
ウ 正しい内容です。
建設工事の施工は、重層化した下請構造においてなされるため、
元請が統括的な役割を果たすことが重要となります。
元請が下請の専門工事を適切に実施する体制を構築することが
不可欠とかんがえられます。
よって、正しい内容です。
エ 誤った内容です。
設計図に従った施工は重要となりますが、
実際の現場での地盤条件を確認し、
設計図の前提と異なっている場合には、
実際の現場での地盤条件を踏まえて設計者や工事監理者と施工について協議することが必要となります。
そのためには、設計図に忠実な施工を行う前に
実際の現場での地盤条件を確認することが必要です。
よって、誤った内容です。
オ 誤った内容です。
現場で偶発的に生じる機器の不具合のほか、
操作誤りや見間違いなどのヒューマンエラーによっても、
想定していないエラーが乗じる可能性があります。
そのため、データ流用の再発防止には、
ハードウェアの高度化やIT技術の活用に加え、
ヒューマンエラーを前提にしたルール等の策定も必要となります。
よって、誤った内容です。
1 エが〇となっているため、
不適切な組み合わせとなります。
2 イが×となっているため、
不適切な組み合わせとなります。
3 アが×、オが〇となっているため、
不適切な組み合わせとなります。
4 アからオまでの全てが合致しているため、
適切な組み合わせとなります。
5 アとウが×、エとオが〇となっているため、
不適切な組み合わせとなります。
以上のことから、4が正解となります。
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