技術士の過去問 令和元年度(2019年) 基礎科目「環境・エネルギー・技術に関するもの」 問26
この過去問の解説 (3件)
環境保全、環境管理についての問題は技術士試験では頻出です。また、環境に関する技術や法令などは常に新しくなっていきますので、最新の情報にもしっかりアンテナを張って対策していきましょう。
1.の「二国間オフセット・クレジット制度」については、外務省が発出している以下のリンクでの説明がわかりやすいかと思います。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000122.html
「途上国への優れた脱炭素技術等の普及を通じ、地球規模での温暖化対策に貢献するとともに、日本からの温室効果ガス排出削減等への貢献を適切に評価し、我が国の削減目標の達成に活用します」という、問題文とほぼ同じ記載がありますので、1.は適切ということになります。
2. の「適応策」ですが、国立環境研究所の以下のリンクが詳しいです。
https://www.cger.nies.go.jp/cgernews/201406/283002.html
「地球温暖化の対策には、その原因物質である温室効果ガスの排出量を削減する(または植林などによって吸収量を増加させる)「緩和策(mitigation)」と、気候変化に対して自然生態系や社会・経済システムを調整することにより温暖化の悪影響を軽減する(または温暖化の好影響を増長させる)「適応策(adaptation)」とに大別できる。」とあり、問題文の記述は「緩和策」に該当することがわかりますので、2.は不適切、ということになります。
3.の「カーボンフットプリント」については、経済産業省の以下のリンクで詳しく説明されています。
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sangi/carbon_neutral/pdf/001_04_01.pdf
「商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組みである。」と記載されていますので、3.は適切ということになります。
4.の「ライフサイクルアセスメント」は、国立環境研究所の以下のリンクで説明されています。
https://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=57
「ある製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル)又はその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法である。」と説明されていますので、4.についても適切ということになります。
5.の環境基本法に基づく環境基準、については、環境基本法の条文
第三節 環境基準 第十六条 政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。
にある通りです。したがって、5.も適切な選択肢です。
以上、本問題の正解選択肢は2.になります。
2 内容から判断して適応策ではなく,緩和策の説明であるため,不適切です。
適応策は,地球温暖化による気候変動の影響によって起こりつつある災害への対策,備えのことをいいます。
3 正しい
4 正しい
5 正しい
<正解>2
[解説]
環境保全、環境管理に関する問題です。
各選択肢の記述内容の正誤は、以下のとおりです。
1.適切な記述です。
二国間クレジット制度は、
途上国と協力して温室効果ガスの削減に取り組み、
削減の成果を両国で分け合う制度です。
具体的には、途上国への優れた低炭素技術等の普及や対策実施を通じて
実現した温室効果ガスの排出削減・吸収成果に対して
我が国の貢献を定量的に評価し、我が国の削減目標の達成に活用する制度です。
よって、適切な記述です。
2.不適切な記述です。
地球温暖化防止に向けた対策は大きく緩和策と適応策に分けられます。
緩和策とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を削減して
地球温暖化の進行を食い止め、
大気中の温室効果ガス濃度を安定させる対策のことをいいます。
適応策とは、気候変化に対して自然生態系や
社会・経済システムを調整することにより
温暖化の悪影響を軽減する(または温暖化の好影響を増長させる)対策のことをいいます。
よって、不適切な記述です。
3.適切な記述です。
カーボンフットプリントとは、
食品や日用品などの商品やサービスについて、
原材料調達から製造・流通・販売・使用・廃棄のライフサイクル全体を通じて排出される
温室効果ガスの排出量を二酸化炭素に換算し、
商品やサービスに分かりやすく表示する仕組みをいいます。
よって、適切な記述です。
4.適切な記述です。
製品に関するライフサイクルアセスメントとは、
資源の採取から製造・使用・廃棄・輸送など全ての段階
又は特定の段階における
環境負荷を定量的、客観的に評価する手法をいいます。
よって、適切な記述です。
5.適切な記述です。
環境基本法に基づく環境基準とは、第16条において「大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、
それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準」とされています。
よって、適切な記述です。
したがって、不適切な記述は2となり、2が正解となります。
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