技術士の過去問
令和2年度(2020年)
基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問22
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
技術士 第一次試験 令和2年度(2020年) 基礎科目「材料・化学・バイオに関するもの」 問22 (訂正依頼・報告はこちら)
アルミニウムの結晶構造に関する次の記述の、( )に入る数値や数式の組合せとして、最も適切なものはどれか。
アルミニウムの結晶は、室温・大気圧下において面心立方構造を持っている。その一つの単位胞は( ア )個の原子を含み、配位数が( イ )である。単位胞となる立方体の一辺の長さをa[cm]、アルミニウム原子の半径をR[cm]とすると、( ウ )の関係が成り立つ。
アルミニウムの結晶は、室温・大気圧下において面心立方構造を持っている。その一つの単位胞は( ア )個の原子を含み、配位数が( イ )である。単位胞となる立方体の一辺の長さをa[cm]、アルミニウム原子の半径をR[cm]とすると、( ウ )の関係が成り立つ。
- ア:2 イ:12 ウ:a=4R/√3
- ア:2 イ: 8 ウ:a=4R/√3
- ア:4 イ:12 ウ:a=4R/√3
- ア:4 イ: 8 ウ:a=2√2R
- ア:4 イ:12 ウ:a=2√2R
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
化学技術の考え方の基盤となる、結晶構造に関する問題ですね。技術士試験ではよく取り扱われますので、解法をきちんと押さえておきましょう。
穴埋めを正しく行ったあと、正しい組み合わせを選択するところでも間違えないようにしましょう。
面心立方構造の場合の単位胞(単位格子)には4個の原子が含まれます。
ちなみに、単位胞に2個の原子を含むのは体心立方構造です。
面心立方構造の配位数(近接する原子の数)は12です。
ちなみに、配位数が8なのは体心立方構造です。
面心立方構造では、単位胞である立方体の一つの面となる正方形の中心に1つ、対角に各1つずつ、アルミニウム原子が隙間なく並んでいることになりますので、正方形の対角線の長さは、R+2R+R=4Rとなります。
立方体の一辺の長さ(=正方形の一辺の長さ)を用いて三平方の定理により、
a^2+a^2=(4R)^2と表わせます。
これを整理すると、
2a^2=16R^2
a^2=8R^2
a=2√2R
となります。
以上を正しく並べて、正解選択肢は5. となります。
参考になった数29
この解説の修正を提案する
02
面心立法構造は8つの頂点で構成した1つの立方体(単位胞)において、原子は8つの頂点と6つの面の中心に、計14個の原子から構成した構造です。
球体をなす原子は、隣り合わせの単位胞とも体積を共有していますので、単位胞に占める原子の数について下記の通りとなります。
8つの頂点に配置した原子:1つの原子に対し、8つの単位胞が共有しているので、1つの単位胞に占める原子の数は8÷8=1になります。
6つの面の中心に配置した原子:1つの原子に対し、2つの単位胞が共有しているので、1つの単位胞に占める原子の数は6÷2=3になります。
以上より、単位胞に占める原子の総数は4個になります。
配位数とは1つの原子に最も近い原子の数を指します。
面心立法構造の場合、2つの単位胞をつなげて考えます。
配位数は12になります。
単位胞となる立法体の面の中心に存在するアルミニウムの原子と、立法体の面の頂点に存在するアルミニウムの原子が隙間なく配列していますので、立方体の面の対角線長さは4Rになります。
立方体の一辺の長さをaとすると三平方の定理からa^2+a^2=(4R)^2が成り立ちます。
aで整理すると
a=2√2R
したがって、5が正解となります。
参考になった数7
この解説の修正を提案する
03
正解は5です。
まず、面心立方構造について考えます。
目がすべて1のさいころをルービックキューブ状(3x3x3)に重ねたものをイメージしてください。目の部分とカドに原子がついていると考えてみてください。
そのとき外から見えない真ん中のさいころについて検討します。
ア:一つの単位胞は〇個の原子を含み
まず面が6個ありますね。ただし、隣接するサイコロの面と合わせて1個の原子です。サイコロに面は6つですので、1つのさいころに含まれる面の原子は2/6=3個ということになります。
つぎにカドの原子について考えます。角は自分を含めて8個のさいころに接しています。ということは、一つのカドの原子は1/8個です。そしてサイコロ1つにカドは8つありますので1/8×8=1個分です。
面とカドの原子は合わせて3+1=4個となります。
イ:配位数が〇である。
配位数とはある1つの原子から見て、取り囲んでいる原子の数のことです。
サイコロを2つくっつけて、くっついている面の原子を中心に考えてみます。
するとこの原子を囲っている原子は
・上部には面に2つ、カドに2つ、
・同じ高さに面が4つ
・下部には面に2つ、カドに2つ
あるので合計12個原子があります。
ウ:単位胞となる立方体の一辺の長さをa[cm]、アルミニウム原子の半径をR[cm]とすると…
今度はサイコロの1つの面について考えます。
サイコロの一辺がa [cm]です。カド(頂点)にある原子と面にある原子は接しています。
なので対角線の長さは半径の4倍となるので4Rです。
あとは三平方の定理により
a2+a2=(4R)2
2a2=(4R)2
√2 a=4R
a=4R/√2
有理化して
a=2√2 R
となります。
参考になった数4
この解説の修正を提案する
前の問題(問21)へ
令和2年度(2020年)問題一覧
次の問題(問23)へ