問題
アルミニウムの結晶は、室温・大気圧下において面心立方構造を持っている。その一つの単位胞は( ア )個の原子を含み、配位数が( イ )である。単位胞となる立方体の一辺の長さをa[cm]、アルミニウム原子の半径をR[cm]とすると、( ウ )の関係が成り立つ。
化学技術の考え方の基盤となる、結晶構造に関する問題ですね。技術士試験ではよく取り扱われますので、解法をきちんと押さえておきましょう。
穴埋めを正しく行ったあと、正しい組み合わせを選択するところでも間違えないようにしましょう。
面心立方構造の場合の単位胞(単位格子)には4個の原子が含まれます。
ちなみに、単位胞に2個の原子を含むのは体心立方構造です。
面心立方構造の配位数(近接する原子の数)は12です。
ちなみに、配位数が8なのは体心立方構造です。
面心立方構造では、単位胞である立方体の一つの面となる正方形の中心に1つ、対角に各1つずつ、アルミニウム原子が隙間なく並んでいることになりますので、正方形の対角線の長さは、R+2R+R=4Rとなります。
立方体の一辺の長さ(=正方形の一辺の長さ)を用いて三平方の定理により、
a^2+a^2=(4R)^2と表わせます。
これを整理すると、
2a^2=16R^2
a^2=8R^2
a=2√2R
となります。
以上を正しく並べて、正解選択肢は5. となります。
正解は5です。
まず、面心立方構造について考えます。
目がすべて1のさいころをルービックキューブ状(3x3x3)に重ねたものをイメージしてください。目の部分とカドに原子がついていると考えてみてください。
そのとき外から見えない真ん中のさいころについて検討します。
ア:一つの単位胞は〇個の原子を含み
まず面が6個ありますね。ただし、隣接するサイコロの面と合わせて1個の原子です。サイコロに面は6つですので、1つのさいころに含まれる面の原子は2/6=3個ということになります。
つぎにカドの原子について考えます。角は自分を含めて8個のさいころに接しています。ということは、一つのカドの原子は1/8個です。そしてサイコロ1つにカドは8つありますので1/8×8=1個分です。
面とカドの原子は合わせて3+1=4個となります。
イ:配位数が〇である。
配位数とはある1つの原子から見て、取り囲んでいる原子の数のことです。
サイコロを2つくっつけて、くっついている面の原子を中心に考えてみます。
するとこの原子を囲っている原子は
・上部には面に2つ、カドに2つ、
・同じ高さに面が4つ
・下部には面に2つ、カドに2つ
あるので合計12個原子があります。
ウ:単位胞となる立方体の一辺の長さをa[cm]、アルミニウム原子の半径をR[cm]とすると…
今度はサイコロの1つの面について考えます。
サイコロの一辺がa [cm]です。カド(頂点)にある原子と面にある原子は接しています。
なので対角線の長さは半径の4倍となるので4Rです。
あとは三平方の定理により
a2+a2=(4R)2
2a2=(4R)2
√2 a=4R
a=4R/√2
有理化して
a=2√2 R
となります。