技術士の過去問
令和2年度(2020年)
適性科目 問39
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問題
技術士 第一次試験 令和2年度(2020年) 適性科目 問39 (訂正依頼・報告はこちら)
企業は、災害や事故で被害を受けても、重要業務が中断しないこと、中断しても可能な限り短い期間で再開することが望まれている。事業継続は企業自らにとっても、重要業務中断に伴う顧客の他社への流出、マーケットシェアの低下、企業評価の低下などから企業を守る経営レベルの戦略的課題と位置づけられる。事業継続を追求する計画を「事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)」と呼ぶ。以下に示すBCPに関する(ア)~(エ)の記述のうち、正しいものは○、誤っているものを×として、最も適切な組合せはどれか。
(ア) 事業継続の取組みが必要なビジネスリスクには、大きく分けて、突発的に被害が発生するもの(地震、水害、テロなど)と段階的かつ長期間に渡り被害が継続するもの(感染症、水不足、電力不足など)があり、事業継続の対策は、この双方のリスクによって違ってくる。
(イ) 我が国の企業は、地震等の自然災害の経験を踏まえ、事業所の耐震化、予想被害からの復旧計画策定などの対策を進めてきており、BCPについても、中小企業を含めてほぼ全ての企業が策定している。
(ウ) 災害により何らかの被害が発生したときは、災害前の様に業務を行うことは困難となるため、すぐに着手できる業務から優先順位をつけて継続するよう検討する。
(エ) 情報システムは事業を支える重要なインフラとなっている。必要な情報のバックアップを取得し、同じ災害で同時に被災しない場所に保存する。特に重要な業務を支える情報システムについては、バックアップシステムの整備が必要となる。
(ア) 事業継続の取組みが必要なビジネスリスクには、大きく分けて、突発的に被害が発生するもの(地震、水害、テロなど)と段階的かつ長期間に渡り被害が継続するもの(感染症、水不足、電力不足など)があり、事業継続の対策は、この双方のリスクによって違ってくる。
(イ) 我が国の企業は、地震等の自然災害の経験を踏まえ、事業所の耐震化、予想被害からの復旧計画策定などの対策を進めてきており、BCPについても、中小企業を含めてほぼ全ての企業が策定している。
(ウ) 災害により何らかの被害が発生したときは、災害前の様に業務を行うことは困難となるため、すぐに着手できる業務から優先順位をつけて継続するよう検討する。
(エ) 情報システムは事業を支える重要なインフラとなっている。必要な情報のバックアップを取得し、同じ災害で同時に被災しない場所に保存する。特に重要な業務を支える情報システムについては、バックアップシステムの整備が必要となる。
- ア:× イ:○ ウ:× エ:○
- ア:× イ:× ウ:○ エ:○
- ア:○ イ:× ウ:× エ:○
- ア:○ イ:○ ウ:× エ:×
- ア:× イ:○ ウ:○ エ:×
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この過去問の解説 (3件)
01
BCPに関する正誤問題です。
(ア)記述の通り、正しい(○)です。
(イ)誤り(×)です。2020年5月に全国の1万1979社から有効回答を得た調査会社「帝国データバンク」のデータによりますと、事業継続計画(BCP)の策定率は16.6%にとどまっており、ほぼ全てとは言い難い数字です。
(ウ)誤り(×)です。優先順位としては、事業を継続する上で重要な業務が先になります。
(エ)記述の通り、正しい(○)です。
したがって、3が正解となります。
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02
我が国では地震や風水害などの自然災害が、諸外国に比べて多く発生する傾向にあります。また、昨今は新型コロナウイルスの感染拡大によって、やはり企業活動に支障をきたすケースが多くあります。そのような場合に予め備えておくための知識も、技術士としては必要になってきます。BCPについては、経済産業省が発出した「事業継続計画策定ガイドライン」(https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/docs/secgov/2005_JigyoKeizokuKeikakuSakuteiGuideline.pdf)が参考になります。
この問題形式は単なる正誤選択ではなく、「(ア)〜(エ)の正誤の組み合わせ」について、最適なものを一つ選ぶ、という形式です。このような形式の問題では、まず、(ア)〜(エ)の項目を一つずつ丁寧に読み、正しいかどうか判断し、続いて、組み合わせをきちんと書き出した上で、最も適切な選択肢を選ぶようにします。
(ア)正しい項目となります。資料のA6-4~A6-5ページなどが参考になります。
(イ)こちらは誤りになります。帝国データバンクが行った調査結果(https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p200606.html)によりますと、2020年5月現在で我が国においてBCPを策定している企業は全体の16.6%となっています。
(ウ)これは誤りです。参考として、資料のA6-13ページにも「特定した事業・業務やそれに関連するリソースのうち、その影響度を総合的に勘案した上で、 事業継続及び早期の事業再開の観点から、それぞれに優先順位を付ける。これに基づき資源配分 や事業・業務停止時の再開順序を決定する。企業にとってどの事業を優先するかは、正に経営判断であると言え」との記載があります。
(エ)こちらは正しい項目となります。資料のA6-3ページなどが参考になります。
以上、(ア)〜(エ)の正誤を正しく並べて、3.が正解選択肢となります。正誤の組み合わせを考える際にミスが起こりやすいので、気をつけましょう。
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03
<正解>3
[解説]
事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)に関する記述内容についての正誤の組み合わせ問題です。
(ア)から(エ)の記述内容の正誤は以下のとおりです。
(ア)正しい記述内容です。
突発的に被害が発生するリスク(地震、水害、テロなど)と
段階的かつ長期間にわたり被害が継続するリスク(新型インフルエンザを含む感染症、水不足、電力不足など)とでは、
BCPが異なります。
よって、正しい記述内容です。
(イ)誤った記述内容です。
帝国データバンクの2021年の調査では、
BCPの策定率は17.6%
大企業で32.0%、
中小企業で14.7%
となっています。
よって、誤った記述内容です。
(ウ)誤った記述内容です。
BCPで優先すべき業務は、すぐに着手できる業務ではなく、事業を継続する上で重要な業務となります。
よって、誤った記述内容です。
(エ)正しい記述内容です。
今日、情報システムは事業を支える重要なインフラとなっているため、
必要な情報のバックアップを取得するだけでなく、
同じ災害で同時に被災しない場所に保存するが必要となります。
また、重要な業務を支える情報システムについては、
災害等の被害を受けても稼働ができるように
バックアップのシステムを整備することが必要となります。
よって、正しい記述内容です。
これらを踏まえて、各選択肢を検討すると以下のとおりとなります。
1 (ア)が×、(イ)が〇となっているため、
不適切な組み合わせとなります。
2 (ア)が×、(ウ)が〇となっているため、
不適切な組み合わせとなります。
3 (ア)から(エ)の全てが合致しているため、
適切な組み合わせとなります。
4 (イ)が〇、(エ)が×となっているため、
不適切な組み合わせとなります。
5 (ア)から(エ)の全てが合致していないため、
不適切な組み合わせとなります。
よって、3が正解となります。
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