宅地建物取引士の過去問
平成23年度(2011年)
権利関係 問12

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問題

宅建試験 平成23年度(2011年) 権利関係 問12 (訂正依頼・報告はこちら)

Aが所有する甲建物をBに対して賃貸する場合の賃貸借契約の条項に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  • AB間の賃貸借契約が借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借契約であるか否かにかかわらず、Bの造作買取請求権をあらかじめ放棄する旨の特約は有効に定めることができる。
  • AB間で公正証書等の書面によって借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借契約を契約期間を2年として締結する場合、契約の更新がなく期間満了により終了することを書面を交付してあらかじめBに説明すれば、期間満了前にAがBに改めて通知しなくても契約が終了する旨の特約を有効に定めることができる。
  • 法令によって甲建物を2年後には取り壊すことが明らかである場合、取り壊し事由を記載した書面によって契約を締結するのであれば、建物を取り壊すこととなる2年後には更新なく賃貸借契約が終了する旨の特約を有効に定めることができる。
  • AB間の賃貸借契約が一時使用目的の賃貸借契約であって、賃貸借契約の期間を定めた場合には、Bが賃貸借契約を期間内に解約することができる旨の特約を定めていなければ、Bは賃貸借契約を中途解約することはできない。

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この過去問の解説 (4件)

01

1.正
造作買取請求権は強行規定ではないため当事者間の特約で排除することが可能です。従って本肢のような特約を定めることが可能です。

2.誤
定期建物賃貸借の場合は契約の更新がなく期間の満了によって賃貸借が終了する旨を書面を交付してあらかじめ説明しなければなりません。そして期間が1年以上の賃貸借契約の場合は賃貸人は期間の満了の1年前から6ヶ月前までの間に賃借人に対して期間の満了によって賃貸借が終了する旨を通知しなければなりません。通知をしなかった場合は賃借人に対抗することができません。またこの規定は強行規定であるので、賃借人に不利なものは無効になります。従って本肢のような特約を定めることはできません。

3.正
法令又は契約により一定期間経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合は、建物の賃貸借をする際に建物を取り壊すべき事由を記載した書面によってすれば、建物を取り壊すことになるときに賃貸借が終了する旨の特約を定めることができます。

4.正
一時使用目的の賃貸借は借地借家法の適用はありません。民法の規定が適用されます。民法の規定によると、期間の定めのある賃貸借において賃貸人が賃貸借の期間内に解約することができる旨の特約を定めていなければ、賃貸人は賃貸借を途中で解約することはできません。

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02

正解は 2 です。

借地借家法第38条第4項、同条第6項参照。定期賃貸借契約の場合、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6か月前までの間に建物の賃借人に対して、期間の満了により建物の賃貸借が終了することを通知しなくてはなりません。この規定に反する特約を定めた場合には、その特約は無効とされます。

1.借地借家法第33条第1項に定める造作買取請求権は、同法第37条で定める強行規定から除外されています。したがって、造作買取請求権は特約により排除できます。

3.借地借家法第39条第1項第2項参照。建物を取り壊すべきことが明らかな場合、その事由を記載した書面による特約により、建物を取り壊した時に賃貸借契約が終了する旨を定めることができます。

4.民法の一般原則により、契約の当事者は、原則として、契約期間中は契約を解除できません。ただし、中途解約ができる特約を定めることはできます。なお、借地借家法第40条により、一時使用目的の賃貸借契約では、借地借家法第3章「借家」の規定は適用されません。

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03

【答え】2.

1. 正
(借地借家法 第37条)
第31条(建物賃貸借の対抗力等)、第34条(建物賃貸借終了の場合における転借人の保護)及び第35条(借地上の建物の賃借人の保護)の規定に反する特約で建物の賃借人又は転借人に不利なものは、無効とする。

本肢では、第38条(定期建物賃貸借)のためにこの第37条に該当しないので、造作買取請求を排除する特約は可能です。

2. 誤
(借地借家法 第38条4項)
第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。
ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。

本肢では、契約期間が2年なので、期間満了前にAがBに改めて通知しなければなりません。

3. 正
(借地借家法 第39条1項)
法令又は契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合において、建物の賃貸借をするときは、第三十条の規定にかかわらず、建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨を定めることができる。
(借地借家法 第39条2項)
前項の特約は、同項の建物を取り壊すべき事由を記載した書面によってしなければならない。

本肢では、条文通りです。

4. 正
(借地借家法 第40条)
この章の規定は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。

本肢では、民法が適用され、期間内に解約することができる旨を定めていなければ、中途解約することはできません。

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04

1.文章の通りです。造作買取請求権をあらかじめ放棄する旨の特約は有効に定めることができます。

2.1年以上の期間を定めた定期建物賃貸借契約では、期間満了前の書面による通知は1年前から6ヶ月前までの間に必要です。

3.文章の通りです。取り壊し事由を記載した書面によって契約を締結するのであれば、建物を取り壊すこととなる2年後には更新なく賃貸借契約が終了する旨の特約を有効に定めることができます。

4.文章の通りです。一時使用目的の場合、借地借家法の適用はありません。

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