宅地建物取引士の過去問
平成29年度(2017年)
権利関係 問7

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この過去問の解説 (3件)

01

1、正しい。請負契約が請負人の責めに帰すべき事由によって終了した場合、請負人はその施工済みの部分に相当する報酬に限ってその支払いを請求する事ができる。逆に、注文者が請負人に請求できるのは、注文者が残工事(未施工部分)を完成させるためにかかった費用のうち、請負人の未施工部分に相当する請負代金額を超える額に限られます。(判例通りです。)

2、正しい。注文者の責めに帰すべき事由によって中途で終了した場合は、請負人は、残債務を免れるとともに、注文者に請負代金全額を請求できるが、残債務を免れることによってなんらかの利益を得たときはその利益を注文者に償還しなければならない。(民法536条2)

3、誤り。請負契約の目的物に瑕疵がある場合、注文者は請負人から瑕疵の修補に代わる損害の賠償を受けていないので、報酬の支払いを拒むことが出来ます。

4、正しい。請負人が瑕疵担保責任を負わない旨の特約したときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることはでません、(民法640条)

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02

正解:3

1:正しいです。
請負人が請負人の事情によって建築を途中でやめてしまった場合、請負人は完成済みの部分に関しては注文者に支払いを請求することができます。
残りの部分を注文者が他の請負業者に施行してもらい、建物を完成した場合、注文者はその請負人に対しても支払いをしなければいけません。
当初の請負人との報酬と、新しい請負人の報酬を合わせた全額が、当初の請負人と交わした請負契約金額を上回る部分に関しては注文者は当初の請負人に請求することができます。

2:正しいです。
注文者の事情によって債務を履行することができなくなった場合には、請負人は請負代金を請求する権利を失わないとされています。
しかし、請負人が施行しなくてもよくなった部分に関しては注文者に償還する必要があります。

3:誤りです。
契約の目的物に瑕疵がある場合、注文者は請負人から瑕疵の修補に代わる賠償を受けるまでは報酬全額の支払いを拒むことができます。

4:正しいです。
請負人は瑕疵担保責任を負わない旨の特約をしたときでも、その瑕疵を知りながら告げなかった事実についてはその責任を免れることができないとされています。

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03

正解は【3】になります。

1:最高裁の判例(昭和60.05.17)より、請負においては、仕事が完成せず契約関係が終了した際、請負人が既に施工済みの部分に係る報酬に限って、その支払を請求することができる際にその発注者は、契約関係の終了が請負人の責に帰すべき事由によるものであって、その請負人において債務不履行責任を負う場合があったとしても、発注者が残工事の施工に要した費用は、未施工部分の報酬に相当する金額を超過する時に限り、超過額の賠償を請求することができるにすぎないことになっております。

2:最高裁判例(昭和52.2.22)や民法536条の債務者の危険負担等より、請負契約では、仕事が完成しない間に、発注者の責に帰すべき事由により完成が不能になった時、請負人は自己の残債務を免除されますが、発注者に代金全額を請求することができることになり、自己の債務を免れたことによる利益を発注者に償還すべき義務を負うことになっております。また、債権者の責めに帰すべき事由によって、債務を履行することができなくなった際、反対給付を受ける権利はそのまま残っており、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならないことになっております。

3:最高裁判例(平成09.2.14)より、請負の目的物に瑕疵がある際、発注者は瑕疵の程度や各契約当事者の交渉時の態度などを信義則に反すると認められる場合を除き、瑕疵の修補に代わる損害の賠償を受けるまでは、報酬全額の支払を拒むことができ、履行遅滞の責任も負わないものとされます。選択肢では、請負人から瑕疵の修補に代わる損害の賠償を受けていないのに、報酬全額を支払うとなっていて、判例と合致しないことになります。

4:民法第640条には担保責任を負わない旨の特約について定められており、そこで請負人は、担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができないことになっております。

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