宅地建物取引士の過去問
令和2年度10月実施分(2020年)
宅建業法 問30
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問題
宅建試験 令和2年度10月実施分(2020年) 宅建業法 問30 (訂正依頼・報告はこちら)
宅地建物取引業者A及び宅地建物取引業者B(ともに消費税課税事業者)が受領する報酬に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいのはどれか。なお、借賃には消費税等相当額を含まないものとする。
- Aは売主から代理の依頼を、Bは買主から媒介の依頼を、それぞれ受けて、代金5,000万円の宅地の売買契約を成立させた場合、Aは売主から343万2,000円、Bは買主から171万6,000円、合計で514万8,000円の報酬を受けることができる。
- Aが単独で行う居住用建物の貸借の媒介に関して、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、当該媒介の依頼者から報酬請求時までに承諾を得ている場合には、借賃の1.1か月分である。
- Aが単独で貸主と借主の双方から店舗用建物の貸借の媒介の依頼を受け、1か月の借賃25万円、権利金330万円(権利設定の対価として支払われるもので、返還されないものをいい、消費税等相当額を合む。)の賃貸借契約を成立させた場合、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、30万8,000円である。
- Aが単独で行う事務所用建物の貸借の媒介に関し、Aが受ける報酬の合計額が借賃の1.1か月分以内であれば、Aは依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けてもよく、また、依頼者の一方のみから報酬を受けることもできる。
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この過去問の解説 (3件)
01
以下、解説になります。
1. 誤りです。
宅地の売買は消費税の課税対象ではないので、売買代金は5,000万円として報酬額の上限を計算します。
媒介業者Bの報酬額の上限は、
(5000万円×3%+6万円)×1.1%=171万6,000円
です。
代理業者Aの報酬額の上限は、代理は媒介の場合の2倍の報酬を受領することができるので、
171万6,000円×2=343万2,000円
です。
1つの取引に複数の宅地建物取引業者が絡む場合であっても、その報酬額の合計は媒介の報酬額の2倍(代理の場合の報酬限度額)を超えることはできません。
本選択肢の場合、AとBが受け取る報酬額の合計は343万2,000円までにしなければなりません。
よって本選択肢は誤りです。
2. 誤りです。
居住用建物の貸借の媒介であれば、依頼者から受領できる報酬額の上限は、原則として賃料の「0.5か月分と消費税相当額」ですが、依頼者の承諾があれば、例外として「1か月分と消費税相当額」まで受領することができます。
ただしこの依頼者の承諾は、「媒介の依頼を受けるに当たって」得ている必要があります。
3. 誤りです。
居住用建物以外の建物の貸借の媒介では、権利金の授受がある場合にその権利金を売上代金として、報酬額を計算することができます。
権利金を基に計算した場合の報酬額の上限は、
権利金300万円(税抜き価格)×4%+2=14万円
それに消費税を加えて、
14万円×1.1%=15万4000円
が依頼者の一方から受領できる報酬の上限額となります。
賃料を基に計算した場合の報酬額の上限は、
1か月の借賃25万円×1.1%(消費税)=27万5000円
となり、これが依頼者の双方から合わせて受領できる報酬の上限額となります。
いずれの場合であっても、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は30万8,000円にはなりません。
よって本選択肢は誤りです。
4. 正しいです。
本選択肢の通りです。
居住用建物以外の事務所用建物の賃貸借を媒介する場合、依頼者の双方から受領する報酬の合計額が借賃の1.1か月分以内であれば、それがどんな割合であっても問題ありません。
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02
正解は4です。
本問で関係するのは以下の原則の部分のみですが、賃貸借の媒介報酬は少しややこしいので順を追って説明します。
①まず、賃貸借の媒介の場合、依頼者双方から合計で1か月分の借賃の1.1倍までの額を報酬として受け取れるのが原則です(つまり、借主だけから借賃1月分の1.1倍をとることも、借主と貸主から0.55倍ずつ受け取って、合計1.1倍にすることも可)。
②しかし、例外的に居住用建物の場合は、依頼者の一方から0.55倍までしかとれないという修正が入ります(貸主から0.55倍、借主から0.55倍のパターンのみ)。
③そして、例外のさらに例外として、居住用建物の場合であっても、依頼を受ける前に既に依頼者から承諾を受けている場合は、依頼者双方から合計で1か月分の借賃の1.1倍までの額を報酬として受け取れるという原則に戻ります。
選択肢4は、居住用建物ではないので、原則が適用され、依頼者双方から合計で借賃1か月分の1.1倍の報酬が受け取れることとなり、選択肢は正しいです。
1:媒介を行った宅建業者は依頼主のみから報酬を受けることができるので、Bが買主のみから媒介の依頼を受けている本件では、Bは買主から171万6000円(=(5000万×3%+6万円)×1.1)の報酬を受けることができます。
他方、代理の場合は、依頼者とその相手方の双方から合計で上記の額の2倍までの報酬を受けることができるので、Aは売主と買主またはそのどちらか一方から、343万2000円の報酬を受けることができるわけです。
とすると、この選択肢は正しそうに見えます。
しかし、本件のように複数の宅建業者が関与している場合、各宅建業者が受け取った報酬額の合計を基準に上限を超えているかいないかを考えます。
本件では、合計で514万8000円の報酬がやりとりされており、上述の343万2000円の上限を上回っていますから、選択肢1は誤りとなります。
2:選択肢4の解説で述べた通り、依頼を受ける前の承諾が必要ですので誤りです。
3:本問では2つの数字が出てくる可能性があるのですが、いずれにせよ30万8000円より安いので誤りです。
たとえば、1か月の借賃を基準に媒介報酬を計算した場合、1か月分の借賃の1.1倍が上限となるわけですから、27万5000円(=25万円×1.1倍)が上限となります。
これとは別に権利金を基準とする計算もあり得ます。
居住用建物以外の宅地・建物賃貸借において、権利金の授受がある場合は、権利金を売買代金の額と同じように計算することができますので、居住用建物以外の建物賃貸借で300万円の権利金(消費税に当たる30万円は除いて計算)が授受されている本件では、依頼者の一方から受け取れる報酬は15万4000円(=(300万×4%+2万円)×1.1倍)が上限となります。
なお、本件ではAは貸主と借主の双方から媒介の依頼を受けているため、双方から15万4000円ずつ計30万8000円の報酬を得られるように思えますが、本選択肢で問題とされているのは依頼者の一方から受けることができる報酬ですので、ひっかけにひっかからないようにしましょう。
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03
報酬に関する問題です。
正解は4です。
4 . 正しい
この選択肢で媒介されているのは、事務所用建物です。
居住用建物以外の事務所用建物の賃貸借を媒介する場合、Aが受ける報酬の合計額が借賃の1.1か月分以内であれば、その割合は関係ありません。
今回Aが受け取れる報酬の上限は11万円です。
依頼者(借主・貸主)はその払う割合を借主:貸主=11万:0とすることも借主:貸主=0:11万とすることもできます。
1 .誤り
今回の代金は5000万円です。
400万円を超える不動産の取引では、
取引額の(3%+6万円)×1.1(1.1は消費税)
という式が成り立ちます。
また、代理業者の場合、限度額が2倍となります。
売り主の代理業者Aと買主の媒介業者B、それぞれの報酬の上限はそれぞれ、
代理業者A
(5000万×3%+6万)×2×1.1
=156万×2×1.1=312万×1.1
=343万2000円
媒介業者B
(5000万×3%+6万)×1.1
=156万×1.1
=171万6000円
今回のように1つの取引に複数の宅建取引業者が絡む場合、その報酬額の合計は媒介の報酬額額の2倍・代理の場合の報酬限度額が限度となります。
よってAとBが受け取れる報酬の合計は343万2000円です。
2.誤り
居住用建物の貸借の媒介に関しての問題です。
居住用建物の貸借の媒介であれば、依頼者から受領できる報酬額の上限は、原則として賃料の「0.5か月分と消費税相当額」です。
しかし例外として、依頼者の承諾があれば1か月分と消費税相当額」までとすることができます。
3.誤り
居住用以外の建物の貸借の媒介についてです。
権利金とは土地や建物の賃借権を設定したり譲渡したりするときに、賃借人が地主・家主に支払うお金のことです。
この権利金の授受があれば、売買代金として報酬が計算されます。
この場合、
① 権利金を基にして計算した報酬 権利金×4%+2万円
② 賃料を基に計算した報酬 賃料×1.1(消費税)
の多い方が報酬額の上限となります。
権利金は消費税を除くので今回の権利金は、300万円です。
そして今回の場合、
① 14万②27万5千円となり、②がAが依頼者の一方から受け取ることのできる報酬の上限となります。
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