宅地建物取引士の過去問
令和2年度10月実施分(2020年)
宅建業法 問32
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
宅建試験 令和2年度10月実施分(2020年) 宅建業法 問32 (訂正依頼・報告はこちら)
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で建物の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
- AB間の建物の売買契約において、Bが当該契約の履行に着手した後においては、Aは、契約の締結に際してBから受領した手付金の倍額をBに現実に提供したとしても、契約を解除することはできない。
- AB間の建物の売買契約における「法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除の際に、当該契約の締結に際しAがBから受領した手付金は返還しない」旨の特約は有効である。
- AB間の建物の割賦販売の契約において、Bからの賦払金が当初設定していた支払期日までに支払われなかった場合、Aは直ちに賦払金の支払の遅滞を理由として当該契約を解除することができる。
- AB間で工事の完了前に当該工事に係る建物(代金5,000万円)の売買契約を締結する場合、Aは、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じた後でなければ、Bから200万円の手付金を受領してはならない。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
以下、解説になります。
1. 正しいです。
手付による契約の解除ができるのは、「相手方が契約の履行に着手するまで」です。
Bが当該契約の履行に着手した後なので、手付による契約の解除はできません。
2. 誤りです。
クーリング・オフによる契約解除があった場合、売主の宅建業者は買受けの申込みや契約締結の際に受領した手付金等を速やかに返還しなければなりません。
クーリング・オフの際に受領した手付金は返還しない旨の特約は、買主に不利なものなので無効とされます。
3. 誤りです。
賦払金が当初設定していた支払期日までに支払われなかった場合、売主の宅建業者は「30日以上の相当の期間」を定めて支払を「書面で催告」し、その期間内にその義務が履行されないときに、契約の解除や残額の一括請求をすることができます。
4. 誤りです。
工事完了前の物件の場合、手付金等の額が代金の5%または1,000万円を超えると保全措置が必要になります。
建物代金5000万円の5%は250万円なので、200万円の手付金は手付金等の保全措置なしで受領することができます。
参考になった数26
この解説の修正を提案する
02
売買契約に関する問題です。
売り主は地建物取引業者A、買主はBです。
正解は1です。
1. 正しい
買主が当該契約の履行に着手後、売り主が手付の倍を払って契約を解除できるのか?という問題です。
手付とは簡単に言うと「物件を抑えておくために払う、契約の証拠となるお金」のことです。
ではこの手付けを払った後に売り主は解約できるのでしょうか?
買主が売り手に手付を交付したとき、相手が契約の履行に着手するまでは契約の解除を行うことができます。
ここで注意したいのが、買手と売手で額が異なることです。
買い手:手付を放棄で契約解除
売り手:倍額を償還
例えば買い手が売り手に100万払った場合、買い手は払った100万をあきらめれば解約できます。
一方、売り手は受け取った100万に加えて100万を払う必要があります。
お互い負担は100万ずつですが、額面だけ見ると売手の額の方が大きく見えますね。
2.誤り
クーリングオフとは「一定の契約に限り、一定期間、説明不要の無条件で申し込みの撤回または契約を解除できる法制度」のことです。
一度結んだ契約を解除できますが、何でも契約解除できるわけではないので注意が必要です。
今回はAB間の建物の売買契約で、クーリング・オフによる契約の解除の際に、当該契約の締結に際しAがBから受領した手付金は返還しないという特約は有効か?という問題です。
クーリングオフが行われたら、速やかに手付金を変換しなくてはなりません。
というわけで、手付金を返還しないと言う特約は無効です。
3.誤り
「割賦販売」の割賦(かっぷ)という言葉が聞きなれない人もいるでしょう。
割賦とはお金を何回かに分けて払う、分割払いで買うことです。
今回は割賦販売したのに買手が期日までに払わなかった、売手はこれを理由に契約を「直ちに」解除できるの?という問題です。
この場合、売主は、
① 30日以上の相当の期間を定めて支払いを書面で催告
② それでも買主が義務を果たされない
というステップを踏まなければ、契約を解除することができません。
4.誤り
工事完了前の建物の売買契約に関する問題です。
工事完了前の物件で保全措置が必要となるのは、以下のどちらかの場合です。
① 手付金等の額が代金の5%を超える
② 手付金等の額が1,000万円を超えるとき
今回建物の代金は5,000万円で①の場合、手付金は250万円となります。
今回Bが払うと言う手付金は200万円で①にも②にも該当しません。
よってこの選択肢は誤りです。
参考になった数7
この解説の修正を提案する
03
正解は1です。
手付というのは履行の着手前の解除の場面で問題となるものです(宅建業法39条2項)。
よって、この選択肢は正しいです。
2:クーリングオフが行われた場合は、速やかに手付金を返還しなくてはならないので(宅建業法37条の2第3項)、誤りです。
3:宅地建物取引は多額の金銭のやりとりがなされるものですから、わずかな支払い遅延等でいちいち期限の利益を失わせたり、契約を解除してしまっては、いくら自分に落ち度があったとはいえ買主は多大な不利益を被ることになります。
そこで、このような場合であっても解除等を行うには、30日以上の相当の期間を定めた上での催告が求められていますから(宅建業法42条1項)、この選択肢は誤りです。
4:完了前の建物について、手付金等保全措置が求められるのは、代金額の5%を超え、または1000万円を超える場合のみのところ、本件の手付金は200万円であり、5%の250万円に足らず、もちろん1000万円を超えてもいません(宅建業法41条1項柱書)。
参考になった数6
この解説の修正を提案する
前の問題(問31)へ
令和2年度10月実施分(2020年)問題一覧
次の問題(問33)へ