宅地建物取引士の過去問
令和2年度12月実施分(2020年)
権利関係 問3
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問題
宅建試験 令和2年度12月実施分(2020年) 権利関係 問3 (訂正依頼・報告はこちら)
親族に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 姻族関係は、離婚した場合及び夫婦の一方が死亡した場合、当然に終了する。
- 離婚に当たり、相手方に有責不法の行為がなければ、他の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができない。
- 未成年者に対して親権を行う者がないときは、家庭裁判所は、検察官の請求によって、親族の中から未成年後見人を選任する。
- 夫婦間で婚姻の届出前に別段の契約をしなかった場合、夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定される。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は4です。
民法755条は、「夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、」次款に定めるところによるとしており、次款(法定財産制)の中にある民法762条2項が「夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する」としているため、この2つの条文を合わせると選択肢4の文章の通りになります。
よって、4は正しいです。
1:「姻族関係は、離婚によって終了する」(民法728条1項)ため、離婚の場合に当然に終了するとした部分は正しいです。
しかし、夫婦の一方が死亡した場合は、「生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したとき」に姻族関係が終了するため(民法728条2項)、夫婦の一方が死亡した場合も当然に終了するとしている点で、この選択肢は誤りです。
2:離婚の際に夫婦間でやりとりされるお金(離婚給付)としてよくあげられるものには、不貞行為やDVなどの不法行為をした配偶者から他方の配偶者への損害賠償の一種である慰謝料と、婚姻中に手に入れた夫婦の財産を清算したり、経済的に弱い立場の配偶者が離婚後の生活を送るのに必要なお金を支払う財産分与があります。
選択肢2の前半では有責不法の行為といっているので、これは不法行為の損害賠償としての慰謝料の話であり、財産分与について書かれた後半と話が噛み合いません。
よって、この選択肢は誤りです。
3:未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないときに未成年後見が開始するため(民法838条1号)、前半部分は正しいです。
しかし、民法の規定によれば、未成年後見人の選任について家庭裁判所に請求できるのは未成年被後見人自身やその親族その他の利害関係人(民法840条1項)、親権や管理権を行うことができなくなった父母(民法841条)であるため、検察官の請求としている点で誤りです。
また、後見人は法人であってもなれることから(たとえば民法840条3項かっこ書きなど)、親族の中から後見人を選任するとしている点でも誤りです。
なお、ややこしいのですが、成年後見人の後見開始の審判(民法7条)と、未成年後見人および成年後見人の解任(民法846条)については、検察官の請求が認められています。
ここらへんはややこしいので、不安ならば一度、表などを作って整理してみることをおすすめします。
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02
正解は4です。
婚姻届けを出して夫婦となる前に別段の契約をしない場合、夫婦のいずれに属するか明らかでないものは共有の財産となります。(民法755条、762条)
婚姻前からの財産・婚姻中自分の名義で得た財産は特有財産(単独で有するもの)、どちらかに属するか明らかでないものは夫婦共有のものとなります。
特有財産
・婚姻前から持っていた財産
・財産分与の対象外
・贈与や相続も特有財産に当たる
そのため、婚姻の届け出前に契約しておらず、夫婦のいずれのものか明らかでない財産は共有となり、4の選択肢は正しいとなります。
他の選択肢については以下の通りです。
1:誤り
婚姻関係は離婚によって終了します(民法728条1項)。
死別しても、生存配偶者(生きている方)が婚族関係を終了させる意思を表示しないと終了しません。
この生存配偶者の意思表示は届け出により終了することができます。
なので死別によって「当然に」終了するわけではありません。
2:誤り
離婚するとき、相手が有責でないと財産分与を請求できないのか?と言う問題です。
離婚に絡むお金と言えば慰謝料・財産分与です。
慰謝料は不法行為に対して求めます。
例えば不倫された時などですね。
これは不倫と言う行為に対する損害賠償であり、当然相手が不倫をしていなければ不倫に対する慰謝料を求めることはできません。
一方、財産分与は婚姻中に夫婦で築いた財産などに定めるものです。
これは相手が有責かどうかに関わらず、請求権(財産分与請求権)が発生します。
相手の不法行為がある時しか請求できない 慰謝料
相手の不法行為が無くても請求できる 財産分与
選択肢は慰謝料についての解説なので誤りです。
3:誤り
親権についての問題です。
未成年者の法定代理人(法律によって大知見を持つとされた人)は親権者と定められています(民法818条)。
もし、親権者がいなくなったらその場合は未成年後見人が法定代理人となります。
未成年後見人の選任方法は2つ
①遺言書で指定 指定未成年後見人
生前に親権者が遺言書によって指定
②家庭裁判所に請求 選定未成年後見人
未成年被後見人(未成年者本人)又はその親族その他の利害関係人の請求によって、家庭裁判所が選任します
選択肢の「検察の請求」は「未成年被後見人(未成年者本人)又はその親族その他の利害関係人の請求」になります。
また、必ず親族になるわけではありません。
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03
1.×
死別の場合、相手方の死亡により姻族関係は終了しません。
設問は「当然に」終了するとしているので誤りです。
2.×
財産分与については相手方の有責、無責を問わず請求することが可能です。
3.×
未成年後見人の選考方法は2つです。
①親権者の遺言について指定
②家庭裁判所が選任
↑が無い場合未成年者本人またはその親族、
その他利害関係人(児童相談所長や里親)が家庭裁判所に
請求することにより選任してもらう方法。
よって「検察官の請求によって」という点で誤りです。
4.〇
夫婦のいずれかに属するかあきらかでない財産はその共有に属するものと推定する。(民法762条2項)
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