宅地建物取引士の過去問
令和2年度12月実施分(2020年)
権利関係 問9
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問題
宅建試験 令和2年度12月実施分(2020年) 権利関係 問9 (訂正依頼・報告はこちら)
地役権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 地役権は、継続的に行使されるもの、又は外形上認識することができるものに限り、時効取得することができる。
- 地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、承役地を要役地の便益に供する権利を有する。
- 設定行為又は設定後の契約により、承役地の所有者が自己の費用で地役権の行使のために工作物を設け、又はその修繕をする義務を負担したときは、承役地の所有者の特定承継人もその義務を負担する。
- 要役地の所有権とともに地役権を取得した者が、所有権の取得を承役地の所有者に対抗し得るときは、地役権の取得についても承役地の所有者に対抗することができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は1です。
地役権とは、ある目的のために他人の土地を利用できるという権利のことです。
例えば駅へ行くのに誰かの土地が近道になる、という事があるでしょう。
このように他人の土地を自分の土地を便利にするために使える、という権利を地役権と言います。
例えばAが駅に行くにはBの土地を通ると行きやすいとします。
AとBが話し合い、お互いが納得すればAはBの土地を通ることができます。
これをAはBの土地を便益(便利にすること)のために使っている状態で、便益が必要なAの土地は要役地、便益を与えているBの土地は承役地となります。
地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限って、時効取得の対象になります。
継続的な行使と外見上認識できることの両方が満たされている必要があり、選択肢は「又は」となっているので誤りです。
2正しい
地役権者(A)は、設定行為で定めた目的に従い、承役地(Bの土地)を要役地(Aの土地)の便益に供する権利を持っています。
3正しい
承役地の所有者(B)がこの土地を売ったとします。
設定行為又は設定後の契約により、承役地の所有者(B)が自己の費用で地役権の行使のために工作物を設け、又はその修繕をする義務を負担したときは、承役地を買った人もこの義務を負担します。
4正しい
要役地(Aの土地)の所有権とともに地役権を取得した者が、所有権の取得を承役地の所有者(B)に対抗し得るときは、地役権の取得についても承役地の所有者に対抗することができます。
地役権は要役地の所有権とともに移転し、これを地役権の付従性といいます。
Aから土地の所有権を取得すれば地役権も移転するのですね。
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02
正解は1です。
「地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、」時効によって取得できます(民法283条)。
つまり、「継続的な行使」と「外形上認識ができること」の両方を満たしていないといけないのです。
選択肢は「又は」となっているため、条文の文言と異なり、誤りです。
2:「地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、」承役地を要役地の便益に供する権利を有するため(民法280条)、条文の文言通りとなり、この選択肢は正しいものとなります。
3:民法286条の文言通りです。
「契約」という言葉から、契約の当事者でない特定承継人は義務を負わないものと勘違いしそうになるので、注意してください。
4:地役権は所有権に従たる権利として、所有権と共に移転しますので、所有権を対抗できる場合は、地役権も対抗できることになります(民法281条1項)。
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03
【問1.×】
地役権は継続的に行使され、かつ、外見上認識できることが
できるものに限り時効によって取得することができる。(283条)
よって設問は誤りです。
2.〇
「地役権」とは他人の土地を自分の土地のために利用する権利のことです。
承役地→地役権者に便宜を提供し利用される土地(他人の土地)
要役地→地役権者が所有し利用する土地(自己の土地)
よって設問にある「承役地(他人の土地)を要役地(自己の土地)の
便宜に供する権利を有する」
その通りなので設問は正しいです。
3.〇
設定行為又は設定後の契約により、承役地の所有者が自己の費用で
地役権の行使のために工作物を設け又はその修繕をする義務を負担したときは、
承役地の所有者の特定承継人も、その義務を負担する。(286条)
承役地の所有者の特定承継人→承役地を購入した人など
よって設問は正しいです。
4.〇
①地役権は、要役地の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときはこの限りではない。
②地役権は要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることはできない(281条)
地役権には付従性があるため、特段の定めがない限り
所有権の移転に伴って移転しますので所有権が対抗要件を備えていれば
地役権の取得についても対抗することが可能です。
そして、地役権のみを譲渡することもできません。
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