宅地建物取引士の過去問
令和2年度12月実施分(2020年)
法令制限 問22

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問題

宅建試験 令和2年度12月実施分(2020年) 法令制限 問22 (訂正依頼・報告はこちら)

国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市にあってはその長をいうものとする。
  • 都道府県知事は、事後届出に係る土地の利用目的及び対価の額について、届出をした宅地建物取引業者に対し勧告することができ、都道府県知事から勧告を受けた当該業者が勧告に従わなかった場合、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。
  • 事後届出が必要な土地売買等の契約により権利取得者となった者が事後届出を行わなかった場合、都道府県知事から当該届出を行うよう勧告されるが、罰則の適用はない。
  • 国が所有する市街化区域内の一団の土地である1,500m2の土地と500m2の土地を個人Aが購入する契約を締結した場合、Aは事後屈出を行う必要がある。
  • 個人Bが所有する都市計画区域外の11,000m2の土地について、個人CがBとの間で対価を支払って地上権設定契約を締結した場合、Cは事後届出を行う必要がある。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

国土利用計画に関する問題です。

国土利用計画とは、国土を総合的かつ計画的に利用するための法律です。

ここで重要なのは「事後届出制」です。

事後届出制とは、権利取得者が事後に届出をすることです。

地上権とは他人の土地を使用できる権利です。

この地上権は、土地の所有者と「地上権設定契約」を結ぶ事で発生します。

地上権を結べば、土地の所有者の承諾なしに譲渡や転貸することが可能です。

今回、BとCの間には対価が発生しています。

対価が伴う地上権設定契約は、事後届出の対象です。

さらに今回、Bの土地はる都市計画区域外にある10,000㎡以上の土地です。

都市計画区域外では10,000㎡以上の場合に事後届出が必要なため、Cは事後届出をしなくてはなりません。

事後届出が不要

・都市計画区域

 市街化区域:2,000㎡未満

 市街化調整区域:5,000㎡未満

 非線引区域:5,000㎡未満

 準都市計画区域・それ以外の区域:10,000㎡未満

・権利性がない場合

・対価性がない場合

・契約性がない場合

・当事者の少なくとも一方が国や地方公共団体である場合

1誤り

事後届出は土地の利用目的や対価について知事に届け出ます。

利用目的は審査や勧告の対象となりますが、対価の額は勧告の対象ではありません。

事後届出は契約から2週間以内に行います。

2誤り

勧告は事後届け出が行われた後、土地の利用目的の変更を促すために行われます。

そのため、事後届出がされていなければ勧告することができません。

勧告に従はない場合は罰則があります。

3誤り

「当事者の少なくとも一方が国や地方公共団体である」は届出不要に該当します。

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02

【問4.〇】

対価を支払って行う地上権の設定契約は売買契約に該当します。

事後届出が必要になる面積要件は必ず覚えましょう。

都市計画区域外→10,000㎡以上 事後届出が必要です。

※権利性・対価性・契約性がある取引は事後届出が必要です。

よって設問は正しいです。

1.×

事後届出で届出る必要があるのは

→「土地の利用目的」「対価の額」です。

土地の利用目的については、勧告、助言の対象になりますが

対価の額」について都道府県知事が勧告することはできません。

勧告に従わなかった場合に勧告の内容を

公表することができる。という点は正しいです。

2.×

事後届出を怠った場合、罰則が適用されます。

(6か月以下の懲役または100万円以下の罰金)

よって設問は誤りです。

3.×

契約の相手方が、もしくは双方が国、地方公共団体等である場合

事後届出が不要です。

よって設問は誤りです。

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03

正解は4です。

国土利用計画法23条2項一号ハは、都市計画区域外または準都市計画区域内では、10000㎡未満の土地売買等の場合は事後届出の対象外としています(ついでに市街化区域の2000㎡未満、市街化調整区域および非線引き区域の5000㎡未満の数字も覚えてしまいましょう)。

選択肢4は11000㎡と、10000㎡を上回っていますので、事後届出の対象となるため、正しいことになります。

1:国土利用計画法26条より、公表自体はできることになっています。

もっとも、事後届出の段階では既に売買契約は成立しており、いまさら対価の額を変更したり、契約をなかったことにしたりできるわけでもないため、勧告の対象は勧告後であっても変更することが可能な土地の利用目的に対してのみとなっています(国土利用計画法24条1項)。

従って、対価の額も勧告の対象としている点でこの選択肢は誤りです。

蛇足ですが、勧告は文字通り相手に何かを勧めるにすぎず、勧めに従うか否かは相手の任意であるという建前のため、基本的に従わなくとも重い罰則や制裁はありません(せいぜい、「これは制裁ではなく、ただの情報公開である」という名目で相手の名前等を公表する程度)。

2:事後届出(国土利用計画法23条1項)をしなかった者には、「6月以下の懲役又は100万円以下の罰金」という罰則があるため(国土利用計画法47条一号および三号)、罰則がないとする点で誤りです。

また、上述の通り、勧告の場合は罰則等の適用がない場面を想定しているため、勧告によるとしている点でも誤りです。

3:市街化区域で2000㎡の土地取引を行っているため、国土利用計画法23条2項一号イの事後届出の例外には当たりません。

しかし、取引の当事者の一方または双方が国又は地方公共団体の場合は、国土利用計画法23条2項三号によって、事後届出の例外とされるため、事後届出が必要としている点で誤りです。

事後届出の制度が、役所が土地の取引価格を把握するためにあることを考えると、役所自ら取引の当事者となっている場合に届出が不要な点は納得がいくでしょう。

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