宅地建物取引士の過去問
令和2年度12月実施分(2020年)
宅建業法 問43
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問題
宅建試験 令和2年度12月実施分(2020年) 宅建業法 問43 (訂正依頼・報告はこちら)
宅地建物取引業法に規定する宅地建物取引士及びその登録(以下この問において「登録」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 登録を受けている者が精神の機能の障害により宅地建物取引士の事務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者となった場合、本人がその旨を登録をしている都道府県知事に届け出ることはできない。
- 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引土が乙県知事に登録の移転の申請を行うとともに宅地建物取引土証の交付の申請を行う場合、交付の申請前6月以内に行われる乙県知事が指定した講習を受講しなければならない。
- 宅地建物取引士が、事務禁止処分を受け、宅地建物取引土証をその交付を受けた都道府県知事に速やかに提出しなかったときは、50万円以下の罰金に処せられることがある。
- 宅地建物取引士が、刑法第222条(脅迫)の罪により、罰金の刑に処せられ、登録が消除された場合、刑の執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過するまでは、新たな登録を受けることができない。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は4です。
宅建業法18条1項七号に同様の記述があるため、この選択肢は正しいです。
前科が宅建士登録の支障となりうる規定として、禁錮刑以上の犯罪について定められた六号と上述した罰金刑以上の犯罪について定めた七号とがあるのですが、どのような犯罪の場合に六号または七号が問題となるのか、区別がややこしいかと思います。
そこで、どのような犯罪が六号で、どのような犯罪が七号かの大まかな傾向を説明します。
宅建士登録ができない場合について定めた18条1項各号を見ていると、たびたび暴力団員とか、暴力行為なんて単語が出てくると思います。
ここから読み取れるのは、宅建業法は暴力団員やそれと関係の疑われる人間を宅地・建物の取引に関わらせない姿勢を示しているということです(同様の規定は、宅建業者の免許基準にもあります)。
従って、脅迫や暴行、傷害など暴力を用いた犯罪で罰金刑がありうる犯罪は、罰金刑以上からでも登録の基準に引っかかるという厳しい基準を用い(六号)、そうでないものは禁錮刑以上ならアウトという緩い基準を用いている(七号、殺人や恐喝なども暴力を用いていますが、そのような凶悪な犯罪は罰金刑はあり得ないので七号です)という大まかな傾向が読み取れます。
唯一例外として、背任罪は暴力を用いないのに六号ですが、このような行為をする者は取引に関わる宅建士として信用できないため、特に厳しくしたものといえるでしょう。
1:心身の故障により宅地建物取引士の事務を適正に行うことができない者またはその法定代理人若しくは同居の親族は、30日以内にその旨を当該登録をしている都道府県知事に届け出なければならない(宅建業法21条柱書および三号)と定められているため、本人が届け出ることができないとしている点で誤りです。
常識的に考えて、宅建士としての欠格事由に該当しているのに、本人がそれを自己申告できないのでは、欠格事由に該当した宅建士の登録がいつまでも残り続けてしまいかねず、制度上問題があります。
2:誤りです。
この場合、既に宅建士証の交付時点で法定講習は既に受けている(若しくは免除されている)わけですから、改めて講習を受ける必要はありません。
3:50万円以下の罰金ではなく、10万円以下の過料(宅建業法86条)となっている点で誤りです。
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02
【問4.〇】
暴力的な犯罪や背任罪、宅建業法違反については、罰金刑より厳しい刑を受けた場合
その刑の執行を終わり、又執行を受けることがなくなった日から5年を
経過するまでは宅地建物取引士の登録を受けることができません。
※注意点としては、
執行猶予が付いた場合、については
執行猶予期間が満了すれば直ちに免許の登録を
受けることが可能です。併せて覚えておきましょう。
1.×
登録を受けている宅地建物取引士が、精神の機能の障害等によって
必要な認知、判断および意思疎通を行うことができなくなった場合については
その事実を知った日から30日以内に
本人またはその法定代理人もしくは同居の親族が
届出を行わなければなりません。
本人に限られているわけではありません。
2.×
登録の移転をするからといって法定講習を受けなければいけない、
という規定はありません。
3.×
宅地建物取引士が事務禁止処分を受けた場合は速やかに、
登録を受けた宅地建物取引士に宅地建物取引士証を提出しなければなりません。
違反した場合は、10万円以下の過料に処する、とされています。
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03
正解は4です。
この問題は宅地建物取引業法に規定する宅地建物取引士及びその登録についてです。
宅建士は欠格事由に該当すると宅建士として従事することができません。
そしてすでに従事している場合は宅建士をやめなくてはなりません。
宅建士が詐欺や暴力、脅迫といった犯罪を犯し懲役や禁錮(罰金の場合もあり)を申し渡された場合、刑の執行(又は執行猶予)が終わってから5年経過するまでは欠格期間となります。
この期間が過ぎなければ、宅建士の免許を受けることができないのです。
選択肢のように脅迫罪で罰金刑となった場合、刑の執行が終わった又は執行猶予が終わってから5年経過しないと免許を受けられません。
よって4は正しい文章となります。
1誤り
宅建士の欠格要件として「心身の故障により宅地建物取引士の事務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの」というのがあります。
宅建士として必要な判断力がなければ、宅建士となることができないのです。
宅建士が亡くなった場合、その届出人は相続人が死亡を知った30日以内に届け出なくてはいけません。
そして心身の故障は本人・法定代理人・同居の親族が30日以内に届け出なくてはいけません。
届け出は法定代理人、同居の家族、そして本人も行うことができるので選択肢は誤りです。
なお、登録は都道府県知事に行います。
2誤り
宅建士証の交付を受けるには申請する前6か月以内に、登録をしている知事が指定する講習(法定講習)を受講しなくてはなりません。
ただしこの例外として
・宅建士試験合格日から1年以内に交付を受ける
・登録の移転により交付を受ける
場合は法定講習を受ける必要がありません。
今回は「甲県知事の登録を受けている宅地建物取引土が乙県知事に登録の移転の申請する」という場合に法定講習が必要かという問題です。
登録の移転という事で法定講習は不要であり、この選択肢は誤りです。
3誤り
宅建士が事務禁止処分(宅地建物取引士に対して出される、一定期間の間その事務を行なうことを禁止する命令)を受けた場合、宅建士証の交付を受けた知事に速やかに宅建士証を提出する義務があります。
この義務を怠った場合、10万円以下の過料に処せられることがあります。
過料とは行政義務違反に配する罰金のようなものです。
この選択肢では「50万円以下の罰金」となっているので誤りです。
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