宅地建物取引士の過去問
令和3年度(2021年)
権利関係 問4

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問題

宅建試験 令和3年度(2021年) 権利関係 問4 (訂正依頼・報告はこちら)

被相続人Aの配偶者Bが、A所有の建物に相続開始の時に居住していたため、遺産分割協議によって配偶者居住権を取得した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
  • 遺産分割協議でBの配偶者居住権の存続期間を20年と定めた場合、存続期間が満了した時点で配偶者居住権は消滅し、配偶者居住権の延長や更新はできない。
  • Bは、配偶者居住権の存続期間内であれば、居住している建物の所有者の承諾を得ることなく、第三者に当該建物を賃貸することができる。
  • 配偶者居住権の存続期間中にBが死亡した場合、Bの相続人CはBの有していた配偶者居住権を相続する。
  • Bが配偶者居住権に基づいて居住している建物が第三者Dに売却された場合、Bは、配偶者居住権の登記がなくてもDに対抗することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は、1です。

1、正しい

 配偶者居住権の存続期間原則配偶者の死亡までです。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによります。よって、遺産分割協議で20年と定めた場合、有効です。

 従って、本選択肢は正しいです。

2、誤り

 第三者に当該建物を賃貸するには所有者の承諾が、原則必要です。ただし、配偶者居住権を登記する際に、第三者の使用収益を許す旨の特約を登記しているなど、特別の定めがあれば承諾は不要です。本選択肢ではそのような特別な定めはありません。

 従って、本選択肢は誤りです。

3、誤り

 配偶者居住権は、一定の要件を満たした配偶者にのみ認められる権利です。そしてその配偶者の死亡により配偶者居住権は消滅します。 

 従って、本選択肢は誤りです。

4、誤り

 配偶者居住権は登記を申請することができるものです。そして、登記をしなければ第三者Dに対抗できません。居住しているだけではDに対抗することは出来ないのです。

 従って、本選択肢は誤りです。

参考になった数33

02

配偶者居住権」「遺産分割協議」と聞きなれない言葉が出てきたので、まずはそちらの意味から確認していきます。

・配偶者居住権

配偶者(夫または妻)が亡くなった場合、その配偶者は原則亡くなるまでその住宅に住み続けることができる権利。

例えば、夫所有の自宅に住んでいる妻は、夫が亡くなっても配偶者居住権を取得すれば住み続けることができます。

遺産分割協議

遺産分割協議とは、遺産を相続する権利がある人が集まり、相続の内容(誰が、何を、どのくらい相続する)を話うこと。

選択肢1. 遺産分割協議でBの配偶者居住権の存続期間を20年と定めた場合、存続期間が満了した時点で配偶者居住権は消滅し、配偶者居住権の延長や更新はできない。

<正しい>

配偶者居住権は原則として配偶者が亡くなるまで有効です。

ただし、遺産分割協議や遺言又は家庭裁判所による遺産分割審判などで決められた場合はそちらを優先します。

今回の選択肢は「遺産分割協議で配偶者居住権の存続期間を20年と定めた」ケースです。

そのため、20年たって存続期間が満了すると配偶者居住権は消滅します。

選択肢2. Bは、配偶者居住権の存続期間内であれば、居住している建物の所有者の承諾を得ることなく、第三者に当該建物を賃貸することができる。

<誤り>

配偶者居住権の存続期間内であれば、賃貸することができます。

ただし、所有者の承諾は必要です。

この選択肢では「居住している建物の所有者の承諾を得ることなく」としているため誤りです。

選択肢3. 配偶者居住権の存続期間中にBが死亡した場合、Bの相続人CはBの有していた配偶者居住権を相続する。

<誤り>

配偶者居住権はその配偶者が死亡した時点で消滅します。

相続できないので誤りです。

選択肢4. Bが配偶者居住権に基づいて居住している建物が第三者Dに売却された場合、Bは、配偶者居住権の登記がなくてもDに対抗することができる。

<誤り>

登記がなければ、権利を持つ第三者に対抗できないのでこの選択肢は誤りです。

参考になった数11

03

正解は、「遺産分割協議でBの配偶者居住権の存続期間を20年と定めた場合、存続期間が満了した時点で配偶者居住権は消滅し、配偶者居住権の延長や更新はできない。」になります。

配偶者居住権とは、例えば一つ屋根の下に夫婦と一人息子と住んでいたとします。

夫に先立たされ、遺産が家(2000万円)現金(2000万円)の場合、妻が家を相続してしまうと現金がなくなってしまい(息子は現金2000万円を相続)生活が苦しくなってしまいます。

配偶者居住権を行使すれば家の評価額も下がり、所有権は息子にはなりますが、居住権は妻という形になります。

例えば家の評価額が1000万円まで下がるとすれば、息子は現金1000万円+所有権(1000万円)、妻も住居+1000万円は現金が手元に残ることになります。

残された妻にとっては、高齢ということもあり今後の生活が不安になりますが、この権利を活用する事で不安が解消されるのではないでしょうか。

選択肢1. 遺産分割協議でBの配偶者居住権の存続期間を20年と定めた場合、存続期間が満了した時点で配偶者居住権は消滅し、配偶者居住権の延長や更新はできない。

正しい。

配偶者居住権は遺言または遺産分割協議で決定するもので、その際に期間を定めた場合はその一定期間となります。

選択肢2. Bは、配偶者居住権の存続期間内であれば、居住している建物の所有者の承諾を得ることなく、第三者に当該建物を賃貸することができる。

誤り。

無償で今まで通り住む事は出来ますが、第三者に賃貸したり、増改築をするには所有者の権利になりますので承諾が必要になります。

選択肢3. 配偶者居住権の存続期間中にBが死亡した場合、Bの相続人CはBの有していた配偶者居住権を相続する。

誤り。

配偶者の終身の間となっておりますので別段の定めがない限り、相続はしませんので誤りとなります。

選択肢4. Bが配偶者居住権に基づいて居住している建物が第三者Dに売却された場合、Bは、配偶者居住権の登記がなくてもDに対抗することができる。

誤り。

居住権がある事を第三者に対抗する為には登記が必要になりますので、登記がなくてもという箇所が誤りとなります。

参考になった数10