宅地建物取引士の過去問
令和4年度(2022年)
権利関係 問3
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問題
宅建試験 令和4年度(2022年) 権利関係 問3 (訂正依頼・報告はこちら)
制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 成年後見人は、後見監督人がいる場合には、後見監督人の同意を得なければ、成年被後見人の法律行為を取り消すことができない。
- 相続の放棄は相手方のない単独行為であるから、成年後見人が成年被後見人に代わってこれを行っても、利益相反行為となることはない。
- 成年後見人は成年被後見人の法定代理人である一方、保佐人は被保佐人の行為に対する同意権と取消権を有するが、代理権が付与されることはない。
- 令和4年4月1日からは、成年年齢が18歳となったため、18歳の者は、年齢を理由とする後見人の欠格事由に該当しない。
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この過去問の解説 (3件)
01
この問題で覚えておくべきポイントは制限行為能力者とその保護者についての権限をしっかり理解することです。
取り消すことができます。
後見監督人がいる場合に同意が必要なのは不動産売買などの重要行為のときです。
従って、誤りです。
場合によって利益相反行為になる可能性があります。一方が利益を得る一方で、他方が損をするような行為のときは利益相反行為になります。
従って、誤りです。
成年後見人は成年被後見人の法定代理人です。
保佐人は被保佐人の行為に対する同意権をもち、必要に応じて取消をすることができます。
また、保佐人には代理権もあります。代理権とは被保佐人が行う必要のある法的行為を代わりに行う権利です。
従って、誤りです。
民法によると未成年者は後見人になることはできません。
一方、日本の成年年齢は18歳です。従って、18歳以上の者は成年年齢になるので年齢を理由に欠格事由には該当しません。
従って、正しいです。
制限行為能力者の問題は2年に1回程、出題されます。
制限行為能力者の種類と意味、保護者の種類と意味を一つ一つ覚えて対策しましょう。
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02
制限行為能力者についての問題です。
暗記に頼る面が強い項目ですので重要度は低いと思います。
制度、用語だけは把握しておきましょう。
(後見監督人の同意を要する行為)
第八百六十四条 後見人が、被後見人に代わって営業若しくは第十三条第一項各号(不動産売買などの影響力が大きい法律行為が列挙されています)に掲げる行為をし、
又は未成年被後見人がこれをすることに同意するには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。ただし、同項第一号に掲げる元本の領収については、この限りでない。
後見人を監督する必要があると思われるときに選ばれるのが後見監督人です。
後見人には親族も選任されますが、後見監督人は弁護士等専門家が選ばれます。財産管理の透明化円滑化や後見人と被後見人との利益が衝突する可能性の考慮などトラブル防止の意味があります。
しかし通常取り消しにも監督人の同意が必要では後見人の意義が薄れます。
この肢は問題文が難しいので一応解説をいれますが忘れていい内容です。
法律行為とは法律効果(権利の発生、移転、消滅など)を発生させる行為(「おにぎりをください(申し込み)」「ありがとうございます(承諾)」等)の一種の事。
単独行為とは通常契約など双方の意思表示が必要なところ、一方の意思表示のみで完結する法律行為の事です(相手方のある単独行為は解除などがあります)
講学上重要な概念ですが宅建試験では覚える必要のない問い方だと思います。
利益相反とはある行為により一方が利益を得て一方の不利益となる状態を表現します。
例えば後見人と被後見人が兄弟の場合、後見人が行う被後見人の相続放棄は=後見人の利益であり被後見人の不利益となるケースなどが考えられます。
利益相反は宅建試験で正面切って問われることは少ないでしょうが、代理などさまざま場面で問題になるケースが多く実務でも注意が必要です。
余談ですが、宅建業法による媒介契約において業者はあくまでも顧客個人の契約のサポート役であり、顧客の代理ではないという理屈でいわゆる両手媒介も認められています。
(保佐人に代理権を付与する旨の審判)
第八百七十六条の四 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
原則は同意する権利、又は取り消しをする権利であり代理権は付与されていません。
しかし後見人制度全般は被後見人等の生活を手助けする制度です。必要があれば特定の法律行為について付与されるのは当然の結論です。
(後見人の欠格事由)
第八百四十七条 次に掲げる者は、後見人となることができない。
一 未成年者
略
未成年者は後見人になることができません。通常未成年に財産管理がうまくできるとは考えにくいからです(今は中高生社長(会社取締役には年齢制限がありません)もいますし一概には言い切れませんが)
今では18歳は成人ですから、18歳の者は、年齢を理由とする後見人の欠格事由に該当しないことになります。
この問題の細かい部分まで覚えてもきりがないですが、テキストにある違いは押さえておいた方がよいかもしれません。
本問は知識で解くより問題文をよく読んで18歳が成人に気が付けるかどうかがポイントだったのではと思います。
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03
この問題のポイントは、成年後見人です。
成年後見人とは、判断能力が不十分な方(成年被後見人)に代わって法律行為をおこなう人のことです。
成年後見人は、成年被後見人の法律行為を取り消すことができます。
後見監督人とは、成年後見人を監督するために選任された人です。(家庭裁判所が必要と認めた場合)
後見監督人の同意がいる行為とは、営業または重要な財産行為(不動産の取引や債務保証など)を行う場合です。
法律行為を取り消すことに、後見監督人の同意は必要ありません。
よって、この選択肢は誤りです。
利益相反行為とは、一方の立場では利益になるが、他の立場では不利益になることです。
例えば、成年後見人と成年被後見人が相続人だった場合、成年被後見人が不利益になります。
よって、この選択肢は誤りです。
保佐人は被保佐人の同意見、取消権、追認権をもっています。
代理権に関しては、家庭裁判所の審判があれば与えられることもあります。
よって、この選択肢は誤りです。
未成年者は、成年後見人になることができません。
成年年齢が18歳になったことにより、成年後見人になることができます。
よって、この選択肢は正しいです。
令和4年4月1日に、成年年齢が変わったことを知らなければ解けない問題です。
法改正があった場合は、問題に出る可能性が高いのでおさえておきましょう。
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