宅地建物取引士の過去問
令和4年度(2022年)
法令制限 問7

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問題

宅建試験 令和4年度(2022年) 法令制限 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
  • 農地の賃貸借及び使用貸借は、その登記がなくても農地の引渡しがあったときは、これをもってその後にその農地について所有権を取得した第三者に対抗することができる。
  • 法第2条第3項の農地所有適格法人の要件を満たしていない株式会社は、耕作目的で農地を借り入れることはできない。
  • 法第4条第1項、第5条第1項の違反について原状回復等の措置に係る命令の対象となる者(違反転用者等)には、当該規定に違反した者又はその一般承継人は含まれるが、当該違反に係る土地について工事を請け負った者は含まれない。
  • 法の適用については、土地の面積は、登記簿の地積によることとしているが、登記簿の地積が著しく事実と相違する場合及び登記簿の地積がない場合には、実測に基づき農業委員会が認定したところによる。

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この過去問の解説 (3件)

01

農地法は転用という不動産業で関心の高い部分から出題されます。

3条から5条までは確実に押さえましょう。

選択肢1. 農地の賃貸借及び使用貸借は、その登記がなくても農地の引渡しがあったときは、これをもってその後にその農地について所有権を取得した第三者に対抗することができる。

誤り

通常、不動産賃貸借の登記はされませんので借主は弱い立場に立たされます。

民法では対抗力に登記を要求しますので、農地法や借地借家法などは、引き渡しでいいよと特別に借主を保護する規定を作っています。

しかし、借主でも使用貸借は無償で借りているため、貸主の権利も考慮して保護されていません。

(農地又は採草放牧地の賃貸借の対抗力)

第十六条 農地又は採草放牧地の賃貸借は、その登記がなくても、農地又は採草放牧地の引渡があつたときは、これをもつてその後その農地又は採草放牧地について物権を取得した第三者に対抗することができる。

(建物賃貸借の対抗力)

第三十一条 建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。

選択肢2. 法第2条第3項の農地所有適格法人の要件を満たしていない株式会社は、耕作目的で農地を借り入れることはできない。

誤り

農地所有適格法人(法2条3項)以外の法人は農地は取得できません(法3条2項2号)

しかし、農地の賃貸借、使用貸借は取得とは別扱いで上記の制限はありません(法3条3項)

選択肢3. 法第4条第1項、第5条第1項の違反について原状回復等の措置に係る命令の対象となる者(違反転用者等)には、当該規定に違反した者又はその一般承継人は含まれるが、当該違反に係る土地について工事を請け負った者は含まれない。

誤り

法51条は下記の者を違反転用者等と定めています。

一 4条、5条の違反者、及びその一般承継人(一般承継とは相続、会社合併とかです)

二 4条、5条の許可に付した条件の違反者

三 工事を請け負った者、及びその下請人

四 偽り、不正に許可を受けた者

工事請負人は三ですので、知事等は原状回復命令など措置に係る命令を発令できます。

選択肢4. 法の適用については、土地の面積は、登記簿の地積によることとしているが、登記簿の地積が著しく事実と相違する場合及び登記簿の地積がない場合には、実測に基づき農業委員会が認定したところによる。

正しい

記述の通りです。

現状と登記が著しく相違する場合は測りなおせば良いだけでこれを制限する理由がありません。

(土地の面積)

第五十六条 この法律の適用については、土地の面積は、登記簿の地積による。

ただし、登記簿の地積が著しく事実と相違する場合及び登記簿の地積がない場合には、実測に基づき、農業委員会が認定したところによる。

まとめ

農地法も繰り返し同じことがでますので過去問を繰り返しましょう。

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02

農地法の問題です。

農地法の問題は3条・4条・5条を一つ一つ確実に理解して問題に進みましょう。

選択肢1. 農地の賃貸借及び使用貸借は、その登記がなくても農地の引渡しがあったときは、これをもってその後にその農地について所有権を取得した第三者に対抗することができる。

賃借権の場合、農地法では農地を引き渡せば対抗できます。

一方、使用貸借の場合は、対抗できません。

従って、誤りです。

選択肢2. 法第2条第3項の農地所有適格法人の要件を満たしていない株式会社は、耕作目的で農地を借り入れることはできない。

3条の問題です。

農地所有適格法人でも農地を借り入れることはできます。

従って、誤りです。

選択肢3. 法第4条第1項、第5条第1項の違反について原状回復等の措置に係る命令の対象となる者(違反転用者等)には、当該規定に違反した者又はその一般承継人は含まれるが、当該違反に係る土地について工事を請け負った者は含まれない。

当該違反に係る土地について工事を請け負った者も含まれます。

従って、誤りです。

選択肢4. 法の適用については、土地の面積は、登記簿の地積によることとしているが、登記簿の地積が著しく事実と相違する場合及び登記簿の地積がない場合には、実測に基づき農業委員会が認定したところによる。

問題文の通りです。

条文がそのまま出題されました。

従って、正しいです。

まとめ

全く同じ問題もよく出題されています。必ず得点できるように復習しておきましょう。

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03

農地法でおさえておきたい条文は、3条(権利移動)4条(転用)5条(権利移動・転用)です。

選択肢1. 農地の賃貸借及び使用貸借は、その登記がなくても農地の引渡しがあったときは、これをもってその後にその農地について所有権を取得した第三者に対抗することができる。

「賃貸借」と「使用貸借」の違いは民法の問題でも出てきましたが、使用貸借には対抗要件がありません。

 

よって、この選択肢は誤りです。

選択肢2. 法第2条第3項の農地所有適格法人の要件を満たしていない株式会社は、耕作目的で農地を借り入れることはできない。

農地所有適格法人以外の法人は、所有することはできません。

しかし、賃借は可能です。

 

よって、この選択肢は誤りです。

選択肢3. 法第4条第1項、第5条第1項の違反について原状回復等の措置に係る命令の対象となる者(違反転用者等)には、当該規定に違反した者又はその一般承継人は含まれるが、当該違反に係る土地について工事を請け負った者は含まれない。

原状回復等の措置に係る命令の対象となる者に「工事を請け負った者」が含まれるかどうかです。

 

対象者は、①4条5条違反者またはその一般承継人②工事を請け負った者またはその下請け人③不正の手段により農地法の許可を受けた者です。

「工事を請け負った者」は対象者に含まれます。

 

よって、この選択肢は誤りです。

選択肢4. 法の適用については、土地の面積は、登記簿の地積によることとしているが、登記簿の地積が著しく事実と相違する場合及び登記簿の地積がない場合には、実測に基づき農業委員会が認定したところによる。

書いている通りです。

原則は、登記簿の地積です。

 

例外として、登記簿の地積がない場合や、実際と事実が相違している場合などは、実測に基づき農業委員会が認定した面積となります。

 

よって、この選択肢は正しいです。

まとめ

似たような問題が出ますので、しっかり過去問を周回するようにしましょう。

3条4条5条を区別出来るようにしておきましょう。

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