宅地建物取引士の過去問
令和4年度(2022年)
宅建業法 問2
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問題
宅建試験 令和4年度(2022年) 宅建業法 問2 (訂正依頼・報告はこちら)
宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が受け取ることができる報酬についての次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- Aが、Bから売買の媒介を依頼され、Bからの特別の依頼に基づき、遠隔地への現地調査を実施した。その際、当該調査に要する特別の費用について、Bが負担することを事前に承諾していたので、Aは媒介報酬とは別に、当該調査に要した特別の費用相当額を受領することができる。
- Aが、居住用建物について、貸主Bから貸借の媒介を依頼され、この媒介が使用貸借に係るものである場合は、当該建物の通常の借賃をもとに報酬の限度額が定まるが、その算定に当たっては、不動産鑑定業者の鑑定評価を求めなければならない。
- Aが居住用建物の貸主B及び借主Cの双方から媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、借賃の1か月分の0.55倍に相当する金額以内である。ただし、媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者から承諾を得ている場合はこの限りではなく、双方から受けることのできる報酬の合計額は借賃の1か月分の1.1倍に相当する金額を超えてもよい。
- Aは、土地付建物について、売主Bから媒介を依頼され、代金300万円(消費税等相当額を含み、土地代金は80万円である。)で契約を成立させた。現地調査等の費用については、通常の売買の媒介に比べ5万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する旨、Bに対して説明し、合意の上、媒介契約を締結した。この場合、AがBから受領できる報酬の限度額は20万200円である。
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この過去問の解説 (3件)
01
報酬計算は義務だと思って黙々と計算できるようにしましょう。
それだけという単純な問題は、今となっては出題されなそうですが基礎ができなければ足をすくわれます。
正しい
問題文の通りです。
報酬規制も取引の公平さの実現を目指すものです。
依頼者の要望をかなえるために支出した金額まで規制する必要はなく、委任(媒介契約は準委任)と同じように処理するのが合理的です。
宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方
https://www.mlit.go.jp/common/001229686.pdf
(8) 告示第九(告示第二から第八までの規定によらない報酬の受領の禁止)関係
① 宅地建物取引業者は、告示第二から第八までの規定によるほかは依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額を除き報酬を受けることはできない。
したがって、告示第二から第八までの規定による報酬及び依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額以外にいわゆる案内料、申込料や依頼者の依頼によらずに行う広告の料金に相当する額の報酬を受領することはできない。
② この規定には、宅地建物取引業者が依頼者の特別の依頼により行う遠隔地における現地調査や空家の特別な調査等に要する実費の費用に相当する額の金銭を依頼者から提供された場合に
これを受領すること等依頼者の特別の依頼により支出を要する特別の費用に相当する額の金銭で、その負担について事前に依頼者の承諾があるものを別途受領することまでも禁止する趣旨は含まれていない。
誤り
使用貸借は無償性がポイントなので賃料がありません。しかしそれでは業者が得る正当な報酬もゼロになるため、賃貸借契約をしたときに算定される適正な賃料を基にしていいことになっています。
その算定にあたり不動産鑑定業者の鑑定を求めることもできるというだけで、必ずしも鑑定が必要というわけではありません(そもそも鑑定料はなかなかお高いのでお互い損をするだけです)
宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方
② 「宅地又は建物の通常の借賃」とは、当該宅地又は建物が賃貸借される場合に通常定められる適正かつ客観的な賃料を指すものであり、
その算定に当たっては、必要に応じて不動産鑑定業者の鑑定評価を求めることとする。
誤り
設問前段分が原則です。この借賃の1か月分の0.55倍に相当する金額という負担割合は特約で変更できますが、その合計額には規制が入ります。
一般的に借主が100%負担しますがその額は家賃1か月を超えることはできません。
告示第四(宅地建物取引業者が賃借の媒介に関して受け取ることのできる報酬の額)
宅地建物取引業者が宅地又は建物の賃借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、当該宅地又は建物の賃借(・・・中略)の一月分の1.05倍に相当する金額以内とする。
この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるにあたって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の0.525倍に相当する金額以内とする。
誤り
合計300万(土地80万)から建物価格を算出します。
300万-80万=220万 建物には消費税10%が加算されるので220万÷1.1=200万が本体価格です。
建物200万に土地80万の合計280万が報酬算定の基礎となる価額です。
報酬計算速算式400万以下の式を当てはめて、
280万円×4%+2万=11.2万+2万=13.2万円
設問のケースは、その取引額が400万以下なので空き家等(400万以下の取引を指します)の低廉取引に該当し、調査費用等も依頼者に費用がかかる旨を事前説明し内容に合意すれば報酬に組み込むことが許されます。
調査費用5万を加算し、13.2万+5万=18.2万が報酬額です。
しかし低廉な取引における媒介の報酬限度額は18万円なので、2000円ほどオーバーです。
消費税課税業者として10%を加算しても19.8万が限度額なので「報酬の限度額は20万200円である」は誤りとなります(ちなみに18.2万に消費税10%を加算すると20.02万という数字が出てきます)
報酬規制の細かい部分は仕方がないですがテキストにある範囲は必須なので押さえましょう。
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02
報酬についての問題です。
報酬の上限の定義を一つ一つ理解してから問題を解いていきましょう。
事前に承諾を受けていた場合は、当該調査に要した特別の費用相当額を受領することができます。
従って、正しいです。
不動産鑑定業者の鑑定評価を求めなければならない。という箇所が誤っています。
必要があれば不動産鑑定業者の鑑定評価を求めることができます。必要がなければ求める必要がありません。
従って、誤りです。
最後の部分、双方から受けることのできる報酬の合計額は借賃の1か月分の1.1倍に相当する金額を超えてもよい。という箇所が誤っています。
双方から受けることのできる報酬の合計額は借賃の1か月分の1.1倍に相当する金額を超えてはいけません。
従って、誤りです。
代金が400万円以下なので
報酬額の計算は
280万円×4%+2万円×消費税10%=145,200円
現地調査費用は消費税を含めて55,000円
145,200円+55,000円=200,200円
が報酬額となります。
しかし、現地調査等の費用については
180,000円×消費税10%=198,000円が限度となります。
受領できる報酬額+現地調査等の費用の上限が198,000円になるということです。
従って、200,200円はというのは誤りです。
難しく感じるかもしれませんが、何回も問題を解いてパターンを覚えて得点できるようにしましょう。
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03
報酬の問題です。
今回の問題は計算が必要ない問題ですので、正解できるようにしておきましょう。
遠隔地への現地調査というBからの特別な依頼で、費用について事前に承諾があれば、報酬とは別に受領することができます。
よって、この選択肢は正しいです。
使用貸借に係るものとありますが、通常の賃料をもとに報酬を計算します。
通常定められる適正かつ客観的な賃料を算定して決定しますが、必要に応じて不動産鑑定業者の鑑定評価を求めることとしています。
「不動産鑑定業者の鑑定評価を求めなければならない。」となっていますので、この部分が誤りです。
よって、この選択肢は誤りです。
居住用建物の媒介報酬は、原則1か月分(貸主・借主から0.5か月分 税別)です。
依頼者からの承諾を得た場合でも、双方から受けることのできる報酬合計は1か月分です。
承諾した側から1か月分受け取ることができます。
よって、この選択肢は誤りです。
400万円以下の土地・建物については、現地調査等の費用について5万円受け取れたとしても、上限は19万8,000円(税込み)です。
よって、この選択肢は誤りです。
速算式は覚えましょう。
200万以下:5%
200万超~400万以下:4%+2万円
400万超:3%+6万円
※200万以下(200万含む)、200万超(200万含まない)
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