宅地建物取引士の過去問
令和4年度(2022年)
宅建業法 問18
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問題
宅建試験 令和4年度(2022年) 宅建業法 問18 (訂正依頼・報告はこちら)
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として行う売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、買主は宅地建物取引業者ではないものとする。
- Aが、宅地又は建物の売買契約に際して手付を受領した場合、その手付がいかなる性質のものであっても、Aが契約の履行に着手するまでの間、買主はその手付を放棄して契約の解除をすることができる。
- Aが、土地付建物の売買契約を締結する場合において、買主との間で、「売主は、売買物件の引渡しの日から1年間に限り当該物件の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保する責任を負う」とする旨の特約を設けることができる。
- 販売代金2,500万円の宅地について、Aが売買契約の締結を行い、損害賠償の額の予定及び違約金の定めをする場合、その合計額を500万円と設定することができる。
- Aが建物の割賦販売を行った場合、当該建物を買主に引き渡し、かつ、代金の額の10分の3を超える額の支払を受けた後は、担保の目的で当該建物を譲り受けてはならない。
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この過去問の解説 (3件)
01
公平な取引の実現のため宅建業者が自ら売主となり、宅建業者以外と取引するときは様々な規制があります。
テキストでしっかりと確認しましょう。
正しい
宅建業者が自ら売主となる取引態様の場合、手付金は買主にとって解約手付の性質を持つことになります。
これにより買主は手付金を放棄すること、売主は手付金の倍額を現実に提供することで契約を解除できることにしました。(ただし書きに注意)
(手付の額の制限等)
第三十九条 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない。
2 宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
誤り
「引渡しの日から1年間に限り」は、40条の例外「引渡しの日から二年以上」とはならず、期間の短縮は買主に不利なため無効です。
(担保責任についての特約の制限)
第四十条
宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、
民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
2 前項の規定に反する特約は、無効とする。
(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第566条
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、
買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
正しい
違約金の定めは、に損害賠償額を予定することで裁判をせず紛争の早期解決が実現できます。
しかし、過分な金額は買主に不利なので20%という制限を付けました。2500万円の20%は500万円なので業者はこの額を設定することができます。
(損害賠償額の予定等の制限)
第三十八条 宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、
これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。
2 前項の規定に反する特約は、代金の額の十分の二をこえる部分について、無効とする。
正しい
これはそのまま覚えましょう(所有権留保とは、いわゆる残クレともいわれる担保契約の一つです。権利関係で出題されることはまずないでしょうから8種規制の部分だけで十分です)
仮にこれを認めると、売主が未だ登記名義があることを奇貨として新たな他人に二重譲渡をした場合、買主は不利な立場になると思われるのでそれを禁止しています。
(所有権留保等の禁止)
第四十三条 宅地建物取引業者は、みずから売主として宅地又は建物の割賦販売を行なつた場合には、
当該割賦販売に係る宅地又は建物を買主に引き渡すまで(当該宅地又は建物を引き渡すまでに代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けていない場合にあつては、代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けるまで)に、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければならない。
ただし、買主が、当該宅地又は建物につき所有権の登記をした後の代金債務について、これを担保するための抵当権若しくは不動産売買の先取特権の登記を申請し、又はこれを保証する保証人を立てる見込みがないときは、この限りでない。
8種の規制は聞きなれない用語も出てきますが、その規制の内容を覚えれば点にできます。
しっかりと得点源にしましょう。
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02
「自ら売主」で「買主は宅地建物取引業者ではない」と問題にあれば、8種制限の問題です。
買主が宅地建物取引業者の場合も問題に出たりしますので、引っかからないようにしましょう。
書いている通りです。
契約の履行に着手するまでであれば、手付を放棄して解除することができます。
よって、この選択肢は正しいです。
民法では通知期間に関して、買主が事実を知った日から1年間、知った日から5年間、引渡しから10年間という決まりがあります。
「引渡しの日から1年間」という特約は、民法より不利となる特約なので無効です。
よって、この選択肢は誤りです。
宅建業法では、通知期間を引渡しから2年以上とするものは有効としています。
書いている通りです。
損害賠償の額の予定及び違約金の合計額の20%までとなります。
20%を超えることは禁止しています。
2,500万円×20% = 500万円
500万円なので、問題ありません。
よって、この選択肢は正しいです。
書いている通りです。
代金の30%超を受領するまでに登記を移転しなければなりません。
担保目的で譲り受けることも禁止です。
よって、この選択肢は正しいです。
8種制限は、1.他人物売買 2.クーリングオフ 3.損害賠償額 4.手付額・解除手付 5.手付保全措置 6.割賦販売 7.所有権留保 8.契約不適合と、覚えることがたくさんあります。
消費者保護のために、宅地建物取引業者へ規制をかけています。
そのことを念頭において問題を解くようにしましょう。
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03
してはいけないことなどのポイントをしっかり覚えてから問題に挑みましょう。
解約手付になります。
Aが、宅地又は建物の売買契約に際して手付を受領した場合、その手付がいかなる性質のものであっても、Aが契約の履行に着手するまでの間、買主はその手付を放棄して契約の解除をすることができます。
解約手付の場合、買主は手付の放棄をして、売主業者はその倍額を買主に提供して、解約ができます。
従って、正しいです。
担保責任を負う期間については不適合を知ってから5年または引渡しの日から10年、と民法では定められています。引渡しの日から1年とすることはできません。
従って、誤りです。
損害賠償の額の予定及び違約金は、代金の2割を超えてはいけません。
2,500万円の2割は500万円なので正しいです。
正しいです。
3割以下であれば、所有権移転登記を行う必要がありませんが、3割を超えた場合は所有権移転登記を行う必要があります。
2割、3割などの金額を問う問題も頻出します。
特徴をしっかり把握しましょう。
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