中小企業診断士の過去問
平成27年度(2015年)
企業経営理論 問13

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 平成27年度(2015年) 問13 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

日本企業は、中国やアセアン諸国等の新興国に向けて、大企業のみならず中小中堅企業も数多く進出している。中小中堅企業は、大手取引先の海外生産拠点への部品供給や技術支援を目的に海外進出をする場合が多い。その一方で、近年、小売業やサービス業分野はもとより一部の製造業でも現地市場への浸透を目指す海外進出が増加しており、成功事例も多くなっている
他方、アジアでは自国の経済が発展するにつれて現地の有力企業が台頭し、海外企業と激しく競争する例がみられるようになった。わが国の多くの企業では高所得層のハイエンド市場に現地市場戦略の重心をシフトする例が少なくない。しかし、人口が多く、将来的に大きく成長する可能性のある中所得層や低所得層の潜在的な市場への浸透を図ることも重要であることを看過してはならない。

文中の下線部②で指摘するような市場への浸透について注意すべきことに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 現地の大衆市場でコモディティ化が進行する製品分野では、改良型製品を次々に市場に投入するスピードを発揮できれば、価格競争を回避し得る。
  • 現地の大衆市場では低価格を武器とする現地企業と競合して不採算に陥りやすいので、現地対応の低価格製品を日本国内の生産で供給する体制をとる。
  • 現地の大衆市場では薄利多売が有効であるが、損益分岐点が押し上げられるため、営業費用等の変動費を下げる必要がある。
  • 現地の低所得層の市場では、商品配送に支障をもたらす道路事情や商品知識に乏しい顧客が散在しているなどのため、濃密でコストのかかる人的接触重視によるアプローチも求められることに注意しなければならない。

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この過去問の解説 (2件)

01

1:不適切です。
現地でコモディティ化が進行する製品分野においては価格競争が激化していることが考えられるため、改良型製品の投入だけでは価格競争の回避は難しい可能性が高いといえます。
「価格競争を回避し得る」という表現が曖昧なため判断に迷いますが他の選択肢の方が正しい可能性から誤りと判断します。

2:不適切です。
現地での競合を日本国内の生産体制で戦おうとするのはコスト等の観点からあまり意味をなさなくなるため困難であると考えられます。

3:不適切です。
薄利多売をすることによって利益確保が難しくなるため有効とは言えません。後半の薄利多売の状況に対する変動費対策は誤りではありませんが薄利多売の状況そのものを避ける必要があります。

4:適切です。
海外の低所得層の市場においては、商品配送に支障をもたらす道路事情や商品知識に乏しい顧客の存在は十分に考えられます。それを克服するためには効率化よりも現地での人的接触重視によるアプローチが求められることには注意が必要であると言えます。

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02

市場への浸透について注意すべきことに関する問題です。

選択肢1. 現地の大衆市場でコモディティ化が進行する製品分野では、改良型製品を次々に市場に投入するスピードを発揮できれば、価格競争を回避し得る。

不適切です。

現地の大衆市場でコモディティ化が進行する製品分野では、価格競争が激しくなっていることが想定されます。そのため改良製品での差別化は困難と考えられます。

選択肢2. 現地の大衆市場では低価格を武器とする現地企業と競合して不採算に陥りやすいので、現地対応の低価格製品を日本国内の生産で供給する体制をとる。

不適切です。

現地対応の低価格製品を日本国内の生産とする場合、輸送費などのコストが発生しますので、低価格への対抗としては現地生産が適しています。

選択肢3. 現地の大衆市場では薄利多売が有効であるが、損益分岐点が押し上げられるため、営業費用等の変動費を下げる必要がある。

不適切です。

営業費用は固定費と考えられます。

選択肢4. 現地の低所得層の市場では、商品配送に支障をもたらす道路事情や商品知識に乏しい顧客が散在しているなどのため、濃密でコストのかかる人的接触重視によるアプローチも求められることに注意しなければならない。

適切です。

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