中小企業診断士の過去問
平成27年度(2015年)
経営法務 問15

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 平成27年度(2015年) 問15 (訂正依頼・報告はこちら)

中小企業診断士のあなたと顧客の経営者X氏との以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、実在するキャラクターや特産品を考慮する必要はない。

X氏:「当社の本社はC県のAB市にあり、私は地元の経済団体の役職にも就いているのですが、最近、AB市で盛り上がっているのが、AB市内の漁港で水揚げされた海老のすり身を煎餅の生地に練り込んで焼いた特産品の『ABせんべい』をもっと全国的に売り出そうという企画なんです。確か、地域の特産品の名称を保護するような商標がありましたよね。」

あなた:「地域団体商標のことですか。正確なことは専門家に聞いた方がいいと思いますが、地域団体商標が認められるには、結構要件が厳しかったはずですよ。権利の主体は、事業協同組合等のほか、平成26年に施行された法改正で新たにNPO法人や[ ① ]等にも広げられました。しかし、『ABせんべい』という名称を使用しているだけでは難しくて、例えば『ああ、あのAB市特産の、海老を原材料にした煎餅だなと消費者や事業者が広く認識する程度の周知性が必要です。」

X氏:「地域的にどの程度まで周知ならいいのですか。」

あなた:「一般的には、[ ② ]に及ぶ程度の周知性が必要とされています。」

X氏:「なるほど、そう簡単なわけでもなさそうですね。実は、AB市の公募で採用された『ABせん兵衛くん』という、いわゆるゆるキャラが『ABせんべい』の知名度向上に一役買っているのですが、最近、地元のイベントで『ABせん兵衛くん』の偽物が現れましてね。よく似た着ぐるみを着て、『海老みそブシューッ!』と叫びながらエビ反りになってのたうち回るなんてギャグをやったりして、子供にはうけますが、下品だと言って嫌う人もいます。こういったゆるキャラの権利を知的財産で守るような法的手段はないのでしょうか。」

あなた:「キャラクターのデザインや絵柄の創作を保護するなら、やはり[ ③ ]で守るというのが最も素直でしょう。広告宣伝用であれば、平面だけでなく立体的な構成も[ ④ ]、あるいは[ ⑤ ]で保護が可能ですが、広告宣伝の対象となる商品やサービスを特定する必要がありますし、[ ④ ]は登録の手続が、[ ⑤ ]は権利行使のために周知性の立証が必要です。また、ぬいぐるみの量産品であれば[ ⑥ ]で保護される可能性も出てきますが、一方でそのような物品が[ ③ ]による保護の対象になるか、という問題も出てきます。結局、場面に応じた個別的な法的保護の組み合わせでキャラクターの利益を守るしかないのが現状です。」

会話の中の空欄③〜⑥に入る語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
  • ③:商品化権  ④:不正競争防止法  ⑤:商標権      ⑥:意匠権
  • ③:著作権   ④:商標権      ⑤:景品表示法    ⑥:パブリシティ権
  • ③:著作権   ④:商標権      ⑤:不正競争防止法  ⑥:意匠権
  • ③:意匠権   ④:不正競争防止法  ⑤:商標権      ⑥:著作権

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

「あなた」が発言している内容から結びつく解答を選択します。

③:「絵柄の創作を保護」の記述から著作権

④:「平面だけでなく立体的な構成も」、「登録の手続き」等の記述から商標権

⑤:「広告宣伝の対象となる商品やサービスを特定する必要」、「権利行使のために周知性の立証が必要」等の記述から不正競争防止法

⑥:「ぬいぐるみの量産品」から意匠権

以上のことから、項番3が正解となります。

参考になった数20

02

【基礎知識】

製品デザイン保護というと、まずは意匠権が浮かびますが、他の権利でもデザイン保護につながることがあります。

 

まず、それぞれの権利がデザインの何を保護するのかを見ていきます。

 

著作権

工業デザイン(大量生産するようなもの)は原則保護されないが、商品に純粋芸術と同視できるようなデザインは著作権で保護できる。

 

商標権

文字、図形や記号を組み合わせたマークのついた商品やサービスのブランド価値を保護する商標権。

営業上の標識となるような立体的な形状も「立体商標」として登録可。

 

不正競争防止法

商品形態模倣行為(デザインの酷似したもの。デッドコピー)、周知表示混同惹起行為(広く知られた商品デザインの模倣)は規制できる。

 

意匠法

工業デザイン(意匠)の保護。

 

※商標権と意匠権の違い→存続期間

商標権:登録から10年。更新すれば半永久的に存続。

意匠権:最大25年。ただし、25年以降の更新不可。

 

「特許法等の一部を改正する法律」の施行に伴い、令和2年4月1日以降の意匠権の存続期間は「20年」から「25年」に延長されました。

参考:https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/kaisei/2020_ishoryokinkaisei.html

 

【選択肢評価】

③ 工業デザインではないため、意匠権ではありません。商品化権は商品化するための権利ですので、キャラクターを守ることには適していません。著作権が正解です。

④ 景品表示法は品質、内容などの表示もしくは過剰な景品を防止する法ですのでここには当てはまりません。よって商標権、もしくは不正競争防止法ですが、登録が必要とあるため、商標権であることがわかります。

⑤ ④と同様の考えで不正競争防止法が当てはまります。

⑥ 量産品とありますので、工業デザインの保護になります。意匠権が正解です。

選択肢3. ③:著作権   ④:商標権      ⑤:不正競争防止法  ⑥:意匠権

正解です。

参考になった数5

03

キャラクターのデザインや絵柄の創作保護に関する問題です。

③から⑥まで4つ対応しなければいけませんが、対応はしやすいと思われます。

例えば、③は「キャラクターのデザインや絵柄の創作を保護」とありますので、著作権が該当します。この時点で選択肢を2つに絞り込むことができます。

選択肢1. ③:商品化権  ④:不正競争防止法  ⑤:商標権      ⑥:意匠権

③~⑤が誤りです。

選択肢2. ③:著作権   ④:商標権      ⑤:景品表示法    ⑥:パブリシティ権

⑤⑥が誤りです。

選択肢3. ③:著作権   ④:商標権      ⑤:不正競争防止法  ⑥:意匠権

正解の選択肢となります。

選択肢4. ③:意匠権   ④:不正競争防止法  ⑤:商標権      ⑥:著作権

④~⑥が誤りです。

参考になった数2