中小企業診断士の過去問
平成28年度(2016年)
財務・会計 問23
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 平成28年度(2016年) 問23 (訂正依頼・報告はこちら)
現在、3つのプロジェクト(プロジェクト①〜プロジェクト③)の採否について検討している。各プロジェクトの初期投資額、第1期末から第3期末に生じるキャッシュフロー、および内部収益率(IRR)は以下の表のとおり予測されている。いずれのプロジェクトも、経済命数は3年である。初期投資は第1期首に行われる。なお、法人税は存在しないと仮定する。
- プロジェクト① > プロジェクト② > プロジェクト③
- プロジェクト① > プロジェクト③ > プロジェクト②
- プロジェクト② > プロジェクト① > プロジェクト③
- プロジェクト② > プロジェクト③ > プロジェクト①
- プロジェクト③ > プロジェクト① > プロジェクト②
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この過去問の解説 (2件)
01
①>③であることはすぐにわかります。
②は、第1期~第3期のキャッシュフローの合計こそ、①と同じ600ですが、
第1期のキャッシュフローは①より大きいです。
これは、より早い段階で利益回収を行えており、
現価係数による割引の影響が低くなるため、
IRRの関係は、②>①になります。
よって、②>①>③となり、3.が正解です。
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02
正解は「プロジェクト② > プロジェクト① > プロジェクト③」です。
【基礎知識】
この問題ではIRRの知識、考え方、活用の仕方が求められています。
〇IRRとは
IRRとは内部収益率のことで、投資によるキャッシュフローの現在価値の合計が0になる資本コストを表しています。
つまり、IRR以上の資本コストがかかる場合は、
”投資額” > ”投資から得られるリターンの現在価値”
となってしまうため、投資するに値しないと判断する数値になります。
IRRが高いほど資本コストが高くてもいい、つまり、投資として良案件と考えることができます。
(この時点でIRRが①より低い③が高く評価されている4,5の選択肢は外れます)
単純に選択肢のキャッシュフローを足すと、①600、②600、③560となります。
キャッシュを1年目に100得ることができるのと、3年目に100を得ることができるのでは、IRRは1年目に得ることができる案件の方がIRRが高くなります(後ほど、計算もしておりますのでご確認ください)。
①と③はすでに①>③が判明しています。
同キャッシュを得ることができる①、②を比較した場合、前半で多くのキャッシュを得ることができる②の方がIRRが高い=投資案件として優れていることがわかります。
〇IRRの算出方法
②のIRRを求めます。
法人税を考える必要はありませんので、まず、キャッシュフローの現在価値を求めます。ここで資本コストはrとします。
1年目のキャッシュフローの現在価値は
200/(1+r)
となります。
2年目、3年目も同様に
2年目:200/(1+r)2
3年目:200/(1+r)3
となります。
よって、②の投資案件のキャッシュフローの現在価値は
-500 + 200/(1+r) + 200/(1+r)2 + 200/(1+r)3
となります。
IRRはこの式が0になるときですので、
0=-500 + 200/(1+r) + 200/(1+r)2 + 200/(1+r)3
となります。
今回、複利現価係数と年金現価係数が与えられていますので、これを使います。
複利現価係数とは、1/(1+r)を計算した値になります。今回3年の複利現価係数となっていますので、1/(1+r)3 のrが何%の時にどの値になるかを示しています。
つまり、200/(1+r)3 でrが6%のとき、複利現価係数は0.840となっていますので、
200 × 0.840 となります。
ただ、これでは1年目、2年目のキャッシュフローを計算する必要があり、先ほどのIRRを求めることは困難です。
CFが同額の場合、年金現価係数を使うとお考え下さい。
年金現価係数とは(例えば3年のもの)、
1/(1+r) + 1/(1+r)2 + 1/(1+r)3 の値になります。
先ほどのIRRの式は
0=-500 + 200/(1+r) + 200/(1+r)2 + 200/(1+r)3
=-500 + 200(1/(1+r) + 1/(1+r)2 + 1/(1+r)3)
となります。
よって、3年目の年金現価係数を用いて
0=-500 + 200 × 年金現価係数
となる資本コスト(%)を探します。
500 = 200 × 年金現価係数
となりますので、年金現価係数は2.5となります。
問題の表を見ると、9%~10%の間に2.5がありますので、その間がIRRとなります。
①の投資のIRRは8.5%ですので、②の投資案の方が優れていることがわかります。
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