中小企業診断士の過去問
平成28年度(2016年)
企業経営理論 問26
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 平成28年度(2016年) 問26 (訂正依頼・報告はこちら)
X社では、営業所員の雇用管理について、営業所長に一定の権限を委ねている。以下は、人事部が複数の営業所長から報告を受けた案件処理である。労働法規上、最も不適切なものはどれか。
- 営業所で新たにアルバイトを採用することにしたが、人件費予算も限られているため、日本よりも物価水準の低い国から来日している留学生を採用することにし、時給は600円と定めた。
- 営業所では、繁忙期の業務処理をパートタイマーやアルバイトで賄っているが、所定労働時間1日8時間、所定労働日数週5日勤務を契約内容とするアルバイト(変形労働時間制、変形休日制はいずれも採用していないものとする)を、1日8時間、週6日間働かせた場合、所定労働日数を超えた日の労働時間について割増賃金を支払った。
- 月末退職予定の営業所員が、「引継ぎ等があるために、有給休暇を消化できないから、残存有給休暇を買い上げてほしい」と言ってきた。実際、この者の業務引継ぎは営業所としても重要であり、この期間に休まれては困るので、この申し出には応じることにした。
- 先日、地元のハローワークに同業種の営業職経験者の求人を出したが、同業種経験者は採用できず、異業種の若手営業経験者を採用内定した。その者が勤務開始後に、「内定時に示された給与額が求人票の額を下回っているのは違法だ」と言ってきたが、本人に提示額の根拠説明をし、求人票の額を下回る給与を支払った。
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この過去問の解説 (2件)
01
日本より物価水準の低い国から来日している留学生であっても日本の最低賃金を下回る時給600円で労働をさせることは許されません。本問は全国での最低賃金を覚えていなかったとしても時給600円が感覚的に安いと捉えることができればすぐに不適切と判断できる問題です。
項番2:適切です。
正しい対応と言えます。
項番3:適切です。
通常有給休暇の買取はできませんが、解雇や退職によって消化しきれずに消滅する有給休暇は買い取ることができます。
項番4:適切です。
①X社が求めているのは同業種営業経験者の求人でありながら、実際に採用されたのは異業種の営業経験者であった。
②求人票記載の労働条件は見込みのものであって確定条件ではない。
特に②が重要となりますが、以上の根拠を説明したうえで求人票の額を下回る給与を支払っていることは企業として適切な対応となります。
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02
正解は「営業所で新たにアルバイトを採用することにしたが、人件費予算も限られているため、日本よりも物価水準の低い国から来日している留学生を採用することにし、時給は600円と定めた。」です。
【基礎知識】
各営業所員の雇用管理が労働法上の基準に引っかかっていないかを問う問題です。
以下に関係する法律とポイントを解説します。
どれも基本的な内容になりますので、原則を押さえ、選択肢でイレギュラーケースを押さえていただくのがいいと思います。
〇最低賃金法
時給の都道府県ごとの最低ラインの設定。
毎年10月改定。
政府は物価水準上昇や賃金上昇を目指しており、年々上昇傾向。
23年度で最低は岩手県の893円
〇労働基準法
・働ける時間は1日8時間、週40時間が最長(一部事業を除く)。それを超える場合は、労使協定(36協定)が必要。また、超える場合は25%増しの時間外手当を支払う必要がある。
・週に1日休日が必要。
・勤務日の8割以上勤務した場合、勤続年月に応じた有給休暇の付与が必要。
・労働契約締結時には、特定の労働条件について明示義務がある。
誤り。
最低賃金法は日本で働くすべての労働者に適用されます。
600円では下回っているため、誤り。
正しい。
1日8時間で6日勤務していますので、週40時間を8時間超過しています。
この場合は、8時間分に割増賃金(25%)を支払う必要があります。1日休日はとれていますので、休日の割増は不要です。
正しい。
原則、有給休暇の買い取りはできません。
問いのように、退職時に使いきれない場合など、限定的に買い取りが認められています。
正しい。
求人票の条件はあくまで見込みとなります。
労働契約の労働条件と求人票の条件が異なるケースはあり得ます。
ただし、労働契約の労働条件と実際に勤務した場合の労働条件が異なる場合は違法となります。
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