中小企業診断士の過去問
平成29年度(2017年)
企業経営理論 問2

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 平成29年度(2017年) 問2 (訂正依頼・報告はこちら)

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 衰退期に入った業界の「金のなる木」事業と「負け犬」事業は可及的速やかに撤退し、成長率の鈍化した業界の「花形商品」事業の再活性化に多くのキャッシュを投入することが重要である。
  • 成長市場で競争優位の実現を期待できる「問題児」の選択と、競争優位性を期待できないが資金流出の小さい「負け犬」事業の中で市場成長率が低くとも高収益事業を選別することは重要である。
  • プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの考え方では、資金の流入は自社事業の成長率と市場の成長率、資金の流出は自社事業の競争上の地位(相対的な市場シェア)で決まる。
  • プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの考え方は、事業間のマーケティングや技術に関するシナジーを考慮して、複数事業に対して財務面を重視した資金の再配分のガイドラインとなる。
  • プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの考え方は、自社技術開発、外部技術の導入、外部資金の再配分により、範囲の経済を達成して競争優位性を構築する業界に適用できる。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は2です。

PPMの問題です。有名な4つの事業のだけでなく、横軸に「市場占有率」縦軸に「市場成長率」の図を描くことがポイントです。
「金のなる木は市場成長率が低いが、市場占有率は高い」と覚えておけば試験本番でも位置関係が整理しやすいです。

各選択肢については、以下の通りです。

1→「金のなる木」は市場成長率が低いことは正しいですが、市場占有率が高く資金流入がある事業です。直ちに撤退するものではありません。次の「成長率の鈍化した花形商品」はPPMの花形は成長率の高い事業であるため誤りです。

2→「問題児」は成長市場であり、これからの市場占有率が期待できます。「負け犬」は市場成長率が低いので市場占有率も期待できませんが、資金の流出も少ないので高収益事業の可能性があります。市場成長率・市場占有率両方が低くても直ちに撤退でなく、事業の選別が重要です。

3→資金の流入は「自社事業の成長率」には関係なく、「市場の成長率」によって決まります。「成長率」という言葉だけで丸暗記しないよう注意してください。

4→知識問題です。PPMは「問題児→花形→金のなる木→負け犬」の変遷であり、事業間のシナジーや複数事業を考慮していません。

5→知識問題です。PPMは事業の変遷であり、外部技術や外部資金の再配分といったような範囲の経済を考慮していません。

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02

PPMは市場占有率と市場成長率で4つのカテゴリーに分類されます。

市場占有率高、市場成長率高→花形

市場占有率高、市場成長率低→金のなる木

市場占有率低、市場成長率高→問題児

市場占有率低、市場成長率低→負け犬

選択肢1. 衰退期に入った業界の「金のなる木」事業と「負け犬」事業は可及的速やかに撤退し、成長率の鈍化した業界の「花形商品」事業の再活性化に多くのキャッシュを投入することが重要である。

不適切です。「金のなる木」事業と「負け犬」事業は速やかに撤退する必要はありません。「金のなる木」では市場シェアが高く利益を創出できる可能性があり、「負け犬」事業も小さな利益を生み出している可能性があります。

選択肢2. 成長市場で競争優位の実現を期待できる「問題児」の選択と、競争優位性を期待できないが資金流出の小さい「負け犬」事業の中で市場成長率が低くとも高収益事業を選別することは重要である。

適切です。

選択肢3. プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの考え方では、資金の流入は自社事業の成長率と市場の成長率、資金の流出は自社事業の競争上の地位(相対的な市場シェア)で決まる。

不適切です。資金の流入、流出ともに市場占有率と市場成長率で決まります。

選択肢4. プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの考え方は、事業間のマーケティングや技術に関するシナジーを考慮して、複数事業に対して財務面を重視した資金の再配分のガイドラインとなる。

不適切です。PPMではシナジー効果や、財務面の再分配のガイドラインとはなりません。

選択肢5. プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの考え方は、自社技術開発、外部技術の導入、外部資金の再配分により、範囲の経済を達成して競争優位性を構築する業界に適用できる。

不適切です。PPMでは複数事業による範囲の経済などは考慮されていません。

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