中小企業診断士の過去問
平成29年度(2017年)
企業経営理論 問31
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 平成29年度(2017年) 問31 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
マーケターがその活動の場として選択する市場は、ターゲット・マーケット・セグメントあるいは対象市場、標的市場などと呼ばれる。どのような市場セグメントをターゲットとするかは、企業の戦略や資源・能力の多様性に関連している。また、ターゲットとする市場セグメントの選択パターンは、マーケターが対象とする製品と市場、あるいはそのいずれかの選択に依存する。
文中の下線部に関する記述として、最も適切なものはどれか。
マーケターがその活動の場として選択する市場は、ターゲット・マーケット・セグメントあるいは対象市場、標的市場などと呼ばれる。どのような市場セグメントをターゲットとするかは、企業の戦略や資源・能力の多様性に関連している。また、ターゲットとする市場セグメントの選択パターンは、マーケターが対象とする製品と市場、あるいはそのいずれかの選択に依存する。
文中の下線部に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- A社は、面や胴、小手、剣道着、はかまといった剣道用品を総合的に企画・生産するメーカーである。同社は、幼児・小学生、中高生、大学生・一般といった年齢を変数とした市場セグメントのそれぞれに適した製品群を生産している。これは、選択的専門化によるターゲティングの代表例である。
- 老舗の豆腐製造業者B社は4代にわたって、家族従業者だけで豆腐の生産に携わっている。豆腐の販売先は、大都市に立地する日本酒バー数店舗のみである。これは、製品専門化によるターゲティングの典型例である。
- タオルメーカーのC社は、同社のランドマーク商品である、手触りのよいハンドタオルシリーズのブランドによって、高級ホテルやレストラン、スポーツジム、贈答品専門店など幅広いターゲットに対する働きかけを行っている。これは市場専門化によるターゲティング・アプローチである。
- ハンドメイドのスポーツ自転車を製造・小売するD社は、小さな製造小売事業所2店舗を通じて、ファッション性と堅牢度の高い製品を提供している。製品は洗練されたデザインを持つが、競技指向や機能性指向とは対照的な、ファッション性を求める市場セグメントがターゲットである。これは、集中によるターゲティングである。
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この過去問の解説 (2件)
01
ターゲット・マーケティングのエーベルの5分類に関する問題です。製品と市場の組み合わせ方で、「全市場浸透型(多様な市場×多様な製品)」「単一セグメント集中型(特定の市場×特定の製品)」「選択的専門型(絞ったいくつかの市場×絞ったいつくかの製品)」「製品専門型(多様な市場×特定の製品)」
「市場専門型(特定の市場×多様な製品)」に分類されます。
各選択肢については、以下の通りです。
1→剣道をする人向けの年齢を変数とした多様な市場セグメントを志向しており、特定の市場向けではありません。製品は特定カテゴリーである剣道用品です。よって「多様な市場×特定の製品」である製品専門型になります。
2→日本酒バー数店舗は特定の市場です。豆腐は特定の製品です。よって単一セグメント集中型です。
3→幅広いターゲットなので多様な市場向けです。ランドマーク商品と言う事で特定の商品です。よって製品専門型になります。
4→適切です。ファッション性を求める市場セグメントという特定の市場向けです。ハンドメイドのスポーツ自転車は特定の商品です。よって単一セグメント集中型になります。
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02
【基礎知識】
正解は「ハンドメイドのスポーツ自転車を製造・小売するD社は、小さな製造小売事業所2店舗を通じて、ファッション性と堅牢度の高い製品を提供している。製品は洗練されたデザインを持つが、競技指向や機能性指向とは対照的な、ファッション性を求める市場セグメントがターゲットである。これは、集中によるターゲティングである。」です。
コトラーによるマーケティング戦略、エイベルによるターゲティングの問題です。
どちらも、販売先(市場)は一つか、複数か、全部か、製品は一つか、複数か、全部かの軸で戦略を区分している点は同じです。
コトラーはマーケティング戦略を次の3つに分類しています。
① 非差別化マーケティング
一つのマーケティングミックスを全市場に適用していく手法。
② 差別化マーケティング
セグメントごとに適したマーケティングミックスを適用していく手法。フルラインの戦略となる。
③ 集中マーケティング
セグメントを絞り込み、マーケティングミックスも絞り込む手法。
エイベルはターゲティングのパターンを次の5つに分けています。
販売先(市場)と販売する製品の2軸でパターンを整理することができます。
① 単一セグメント集中型(市場:1、製品:1)
一つの市場、一つの製品に絞り込む。経営資源の少ない中小企業等でとられるケースがある。
② 製品専門型(市場;多、製品:1)
一つの製品を複数のセグメントに投入する手法。製品特化型ともいう。
③ 市場専門型(市場:1、製品:多)
一つの市場に複数の製品を投入する方法。特定の市場に多様な製品を投入するため、顧客からの満足度は高いが、顧客の状況に左右されるリスクも。
④ 選択的専門型(市場:複数、製品:複数)→全市場ではないところが⑤と異なる。
複数のセグメントに製品を投入する方法。セグメント間のシナジーは余りないが、一つの市場がだめになった場合などリスク分散を図ることができる。
⑤ 全市場浸透型(市場:全、製品:全)
巨大企業。全市場に複数の製品を投入していく。
誤りです。
年齢をキーにした多数の市場に、剣道用品という1種類の製品を投入しています。これは製品専門(特化)型となります。選択的専門型となっているため誤りです。少し誤りと導くには中途半端な選択肢です。
誤りです。
1製品(豆腐)を1市場(日本酒バー)に提供しているため、単一セグメント集中型です。
誤りです。
一つの製品(手触りのいいタオル)を複数の市場に投入している製品専門型です。選択肢では市場専門型となっているため誤りです。
正解です。
一つの製品を市場セグメントを限定してターゲティングしています。コトラーの集中マーケティングになります。
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