中小企業診断士の過去問
平成30年度(2018年)
経済学・経済政策 問4

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 平成30年度(2018年) 問4 (訂正依頼・報告はこちら)

経済を時系列で捉えるときには、名目値と実質値の区別が大切である。これらの関係を理解するために、次のような設例を考える。この設例では、商品Aと商品Bの2つがあり、それぞれの価格と生産量は下表のようになる。基準年を2015年とするとき、この設例に関する記述として、最も適切なものを下記から選べ。
問題文の画像
  • 2017年の実質GDPは、1,980円である。
  • 2017年の物価指数(パーシェ型)は、100になる。
  • 2017年の物価指数(ラスパイレス型)は、100になる。
  • 2017年の名目GDPは、2,000円である。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は3です。

まず、選択肢にある用語の意味を説明します。

実質GDPとは、モノやサービスの付加価値を表す国内総生産(GDP)から物価の変動による影響を取り除いたものです。生産された財の価格が2倍になった場合でも、経済の規模が同じく2倍になるわけではないため、物価の変動による影響を取り除いた実質GDPは経済の現状を知る上で重要なものです。一方で名目GDPは生産された財の価格が2倍になると、同じく2倍になります。

物価指数とは、基準となる年を決めて、その年の物価の大きさを100としたとき基準年以外の年の数値と比較して、上昇下降の変動比率を見る指標のことです。代表的な物価指数には、パーシェ指数ラスパイレス指数があり、パーシェ指数はGDPデフレーターとして、ラスパイレス指数は消費者物価指数や企業物価指数に使われます。それぞれ計算式が異なりますので、設問を解答するには計算式を暗記する必要があります。

パーシェ型は品目の数量を比較年に揃えて計算する物価指数で、下記の式で表されます。

パーシェ指数=(比較年の各品目の数量×比較年の各品目の市場価格)の合計 /(比較年の各品目の数量×基準年の各品目の市場価格)の合計

ラスパイレス型は品目の数量を基準年に揃えて計算する物価指数で、下記の式で表されます。

ラスパイレス指数=(基準年の各品目の数量×比較年の各品目の市場価格)の合計 /(基準年の各品目の数量×基準年の各品目の市場価格)の合計

設問には、基準年を2015年にするとありますので、上記式に当てはめて計算します。

パーシェ指数={(9×110)+(11×90)}/{(9×100)+(11×100)}×100=1,980/2,000=0.99

ラスパイレス指数={(10×110)+(10×90)}/{(10×100)+(10×100)}×100=2,000/2,000=1

よって、基準年(2015年)の物価指数を100とした場合、比較年(2017年)のパーシェ指数は99、ラスパイレス指数は100となります。

各選択肢の解説は次の通りです。

1→誤りです。2017年の実質GDPを求められています。実質GDPの算出方法は、実質GDP=名目GDP÷GDPデフレーターです。名目GDPは、各品目の価格×生産量の合計で算出できます。よって、2017年の名目GDPは、119×9+90×11=1,980となります。GDPデフレーターとして使われるのはパーシェ指数なので、上記で計算した99を使います。

これらを用いると、2017年の実質GDPは、1,980÷0.99=2,000と算出できます。つまり、1,980円ではなく、正しくは2,000円です。


2→誤りです。2017年の物価指数(パーシェ型)は上記解説のとおり、99となります。

3→正解です。上記解説のとおり、2017年の物価指数(ラスパイレス型)は、100になります。

4→誤りです。2017年の名目GDPは、上記解説のとおり、1,980円です。

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02

物価指数に関する問題です。

本問で出題されている各物価指数を以下に解説します。

・ラスパイレス型

基準時点の財の数量をウィエトにして算出される物価指数のことです。

計算式は以下のようになります。

ラスパイレス型物価指数 = 比較時点の財の価格 × 基準時点の財の数量 ÷ 基準時点の財の価格 × 基準時点の財の数量 × 100

本問に当てはめて計算します。

( 110 × 10 + 90 × 11 ) ÷ ( 100 × 10 + 100 × 10 ) × 100 = 100

2017年のラスパイレス型物価指数は100と計算できます。

・パーシェ型

比較時点の財の数量をウェイトにして算出される物価指数のことです。

計算式は以下のようになります。

パーシェ型物価指数 = 比較時点の財の価格 × 比較時点の財の数量 ÷ 基準時点の財の価格 × 比較時点の財の数量 × 100

本問に当てはめて計算します。

( 110 × 9 + 90 × 11 ) ÷ ( 100 × 9 + 100 × 11 ) × 100 = 99

2017年のパーシェ型物価指数は99と計算できます。

・名目GDP

名目GDPとは、当該年に国内で新たに生み出された付加価値の時価総額のことです。

2017年の名目GDPを計算します。

110 × 9 + 90 × 11 = 1,980円

2017年の名目GDPは1,980円です。

・実質GDP

実質GDPとは、 名目GDPから物価変動を取り除いたものです。

実質GDPは名目GDPをGDPデフレーターで除して求めることができます。GDPデフレーターとはパーシェ型物価指数のことです。

計算式に表すと以下のようになります。

実質GDP = 名目GDP ÷ GDPデフレーター × 100

本問の実質GDPを計算します。

1,980 ÷ 99 × 100 = 2,000

2017年の実質GDPは2,000円です。

以上をふまえて各選択肢をみていきます。

選択肢1. 2017年の実質GDPは、1,980円である。
  • 実質GDP2,000円であるため、本選択肢は不正解です。

選択肢2. 2017年の物価指数(パーシェ型)は、100になる。
  • パーシェ型物価指数は99であるため、本選択肢は不正解です。

選択肢3. 2017年の物価指数(ラスパイレス型)は、100になる。
  • 本選択肢が正解です。

選択肢4. 2017年の名目GDPは、2,000円である。
  • 名目GDPは1,980円であるため、本選択肢は不正解です。

まとめ

パーシェ指数の代表的なものは本問に出てきたGDPデフレーターです。

ラスパイレス指数の場合は、消費者物価指数や企業物価指数が挙げられます。

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