中小企業診断士の過去問
平成30年度(2018年)
運営管理 問2
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
中小企業診断士試験 第1次試験 運営管理 平成30年度(2018年) 問2 (訂正依頼・報告はこちら)
加工方法が多様で、需要が安定していない寿命の短い製品の多品種少量生産に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 加工品の流れが一定ではないので、機能別レイアウトを導入した。
- 需要の動向にあわせて頻繁に生産計画を変更することが必要なので、MRPを導入した。
- 需要変動に対応するためには、生産量の変動で対応するより完成品在庫で対応することが効果的である。
- スループットタイムを短くし、コストダウンを図るために専用ラインを導入することが効果的である。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (2件)
01
1→製品の種類が多く、加工品の流れが一定ではない多品種少量生産には、機能別レイアウトが適しています。よって正解です。
2→狭義のMRPは生産計画情報、部品構成表情報および在庫情報に基づいて、資材の必要量と時期を求める生産管理体系を指します。基準生産計画に対し、必要な資材所要量を計算する考え方であり、同じ製品を長期間生産する際に有効とされています。よって誤りです。
3→需要が安定していない製品では完成品在庫ではなく、生産量の変動で対応する必要があります。完成品在庫で対応すると余分な在庫等を抱えやすくなります。よって誤りです。
4→加工方法が多様な多品種少量生産に効果的なのは専用ラインではなく、機能別レイアウトです。よって誤りです。
スループットタイムは投入材料が製品へと変換されるのに要する時間です。
参考になった数13
この解説の修正を提案する
02
【基礎知識】
従前の少品種大量生産の時代から、ニーズの多様化等に伴い多品種少量生産の時代に移っています。結果、同じものを大量に作るのではなく、異なるものを少しずつ作りますので、生産性が低下します。
当問題は多品種少量生産で所与の条件を踏まえ、いかにして効率を上げていくか、その取り組みの基本的な知識を問うています。
製品のQCD(品質、コスト、納期)を高めていくためには、以下の点を考慮していくことが必要です。
・工場のムダの廃除:工場のスペースも限られています。また色んな商品を作っていく必要がある中で、機械設備をどのように配置して、どのように製品を作っていくかを検討していく必要があります。→工場レイアウトの問題
・納期の短縮:どの部品や仕掛品は事前にどこまで準備しておくのがいいのかなどを検討していく必要があります。在庫を持ちすぎるとムダなスペースが生じますし、部品が陳腐化していくものも在庫しておくことは望ましくありません。一方で大量購買はディスカウトを引き出したりできます。MRPとJITがあります。
それぞれ説明します。
〇工場レイアウト
生産量と製品の種類の量の2項目から、適切なレイアウトが異なります。
・製品別レイアウト:生産量が非常に多く、専門のラインを設けて生産する方が効率的な場合のレイアウトです。少品種大量生産に向いているレイアウトです。例えば生活に使われる消費財など、大量に作るものは製品別にラインが設けられたりします。
・固定式レイアウト:生産量は少ないものの種類も少ない製品(例えば大型船舶など)で、製品を動かしにくいので製品を中心としたレイアウトになります。
・機能別レイアウト:例えばボール盤、フライス盤など類似の設備ごとにまとめてレイアウトする方式です。商品の生産フローが異なる場合、製品別レイアウトのようにラインを固定できませんので、必要作業の場所に仕掛品を持って行って加工していきます。よって多品種少量生産に向いています。
・グループ別レイアウト:グループテクノロジーという方法論を活用する方式です。使用する設備や工程が似ている複数の製品を一つのグループとしてラインを作ります。機能別、製品別の間に位置するイメージです。
〇MRP、JIT
MRPとは、資材所要量計画と言われ、メインの生産計画をもとに、どういった部品が必要なのかをまとめた「部品構成表」、在庫情報や発注情報、リードタイムなど全体の計画を最適化させる考え方です。3か月後に○○製品を1万個作るから、材料はいつまでにいくつ買って、仕掛品はいつまでにいくつ作ってといったことをきっちりと計画し、それ通りに進めていく方法です。当初計画に基づいて最適化されますが、急な変更などへの柔軟性が低いといったことがあります。
その欠点を補うのが、トヨタ自動車で有名なJIT(ジャストインタイム方式)です。こちらは、生産計画ではなく、需要側の情報を中心に生産を行っていきます。3か月後に1万個必要になったから、仕掛品をいつまでに〇個作る必要があって、そのためにはその前の工程がいつまでにどれだけ準備するといったように、需要発信で決めていくことになります。
MRPとJITは逆の考え方としてとらえられており、MRPは計画主導型の生産管理方式(プッシュ型管理方式)であり、JITは後工程引取型の生産管理方式(プル型管理方式)である「トヨタ生産方式」「ジャスト・イン・タイム」となります。
今回の問題における生産に関する情報を整理すると、
・ 加工方法が多様 → 統一の生産ラインは困難
・ 需要が安定しておらず、寿命が短命 → 生産計画が立てにくい
・ 多品種少量生産
となり、これをもとに解答を考えます。
多品種少量生産なので、機能別レイアウトが適します。正しい。
頻繁に生産計画を変更する必要がある部分は正しいですが、MRPは逆に生産計画の変更に合わせていくことは難しい方法ですので誤り。
変動に対応するためには在庫するのも一つの方法ですが、寿命が短いことなどから在庫を持ちすぎるのは適切ではありません。誤り。
多品種ですので、専用ラインを設けることは困難です。誤り。
参考になった数3
この解説の修正を提案する
前の問題(問1)へ
平成30年度(2018年)問題一覧
次の問題(問3)へ