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中小企業診断士の過去問 平成30年度(2018年) 経営法務 問6

問題

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以下の会話は、中小企業診断士であるあなたと、ベンチャー企業であるX株式会社の普通株主であり、かつ、代表取締役である、甲氏との間で行われたものである。会話の中の空欄に入る記述として、最も適切なものを下記から選べ。

甲氏:「今、あるベンチャーキャピタルが当社に対して優先株式による出資をしてくれるという話がありまして、その交渉をしています。ベンチャーキャピタル側からいろいろと条件を提示されているのですが、耳慣れない用語が多くて困っています。この条件は私にとって有利なのでしょうか。」

あなた:「[   ]。これは、甲さんにとって有利です。」

甲氏:「なるほど。具体的にどういうことですか。」

あなた:「概要なら私から説明できますが、契約交渉は投資契約の実務に詳しい弁護士のアドバイスを受けた方がよいと思います。ちょうど知っている方がいますから、紹介しますよ。」

甲氏:「ぜひお願いします。」
   1 .
株主間契約において、みなし清算条項を定めるという条件ですね
   2 .
投資契約において、優先株主にドラッグ・アロング・ライトを認めるという条件ですね
   3 .
優先株式の配当方式を参加型にするという条件ですね
   4 .
優先株式の配当方式を非累積型にするという条件ですね
( 中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 平成30年度(2018年) 問6 )
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この過去問の解説 (2件)

8

正解は「優先株式の配当方式を非累積型にするという条件ですね」です。

優先株式による出資に関する問題です。優先株式は普通の株式に比べて配当など有利な条件がある株式の事です。X社の甲さんにとって有利な方法が本問の正解になります。

各選択肢については、以下の通りです。

選択肢1. 株主間契約において、みなし清算条項を定めるという条件ですね

みなし精算条項は将来合併などがあった時に一度精算したものと見做して優先株主に優先的に分配するものです。こればベンチャーキャピタルの方が有利になります。

選択肢2. 投資契約において、優先株主にドラッグ・アロング・ライトを認めるという条件ですね

ドラッグ・アロング・ライトとは、優先株主が一定の場合に株式を売り渡すことを応じるよう請求できるものです。これはX社の甲さんにとって不利です。

選択肢3. 優先株式の配当方式を参加型にするという条件ですね

配当株式の配当方式を参加型にするとは、優先株主の配当のあと、残りの配当にも加わることができるものです。これはX社の甲さんにとって受け取り配当が減る可能性があり不利です。

選択肢4. 優先株式の配当方式を非累積型にするという条件ですね

最も適切です。配当株式の非累積型とは、配当が不足した時に翌期に不足した配当を繰り越せないものです。これはX社の甲さんにとって有利です。

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【基礎知識】

当問題のポイントは、

・ 優先株式による出資の話であること

・ 甲さん(創業者)にとって有利な条件であること

がわかります。それを踏まえて、解答を検討していきます。

株主の構成を創業者と投資家の2つに分けて考え、優先株を投資家が引き取るケースをお考え下さい。

ベンチャー企業の投資を回収するには、第三者に売却、IPO(株式公開)の2つが考えられます。IPOの場合はキャピタルゲインを得ることができるため、創業者、投資家ともに儲けることができますが、第三者に売却する際には創業者と投資家の間で取り合いが起こります。

優先株では、一定の優先権を投資家に付与することで、ベンチャー企業には困難な資金調達を可能にする側面がありますが、一方で資金調達を人質に不利な条件、つまり、第三者売却や配当金の支払い等の際にいかに投資家にお金を持っていかれないようにするかが、当問題のポイントです。

まず「優先株とは」についてです。

一般の株式と比較して、配当が高かったり、解散時に優先的に資産を受け取れるといったメリットがある反面、議決権に一定の制限があったり、株価が高めに設定されている株式になります。議決権制限を行いながら、高額の資金調達が可能であるため、スタートアップ期の企業などでよく使われます。

与える優先事項は会社法で以下の内容と定められています。この中から優先事項を設定し、優先株の内容を決定します。

① 剰余金の配当

② 残余財産の分配

③ 議決権制限株式

④ 譲渡制限

⑤ 転換請求権

⑥ 一斉(強制)転換条項

⑦ 全部取得条項

⑧ 拒否権条項

⑨ 役員選解任権

優先株には大きく2つの分類の考え方があります。

・ 参加型 or 非参加型

・ 累積型 or 非累積型

〇参加型 or 非参加型

剰余金の配当において、優先株があれば、優先株分をまずは分配します。そして残分について普通株で分配を行います。

参加型はこの普通株の分配についても保有株式相当分が分配される株式です。つまり、優先株式分の配当+普通株式分の配当が分配されます。当然株価は高いのですが、投資家には大きなメリットがあります。

一方、非参加型は優先株式分の配当のみが支払われるものになります。当然株価は参加型と比べて安くなります。

また、参加型と非参加型の間、つまり普通株式の分配分に一定の上限が定められた制限参加型があります。

参加型は投資家に有利、非参加型は企業(創業者)に有利になります。

〇累積型 or 非累積型

累積型はある年の優先株の配当金が少なかった場合に、そのマイナス分を翌年度以降に持ち越せる優先株です。非累積型は持ち越すことができません。当然累積型は投資家に有利、非累積型は企業側に有利ということになります。

選択肢1. 株主間契約において、みなし清算条項を定めるという条件ですね

みなし清算条項とは、通常清算した場合、優先株主は清算した企業の資産を優先的に分配を受けることができます。しかし、企業買収等の場合、得られた対価を株式数で分配することになり、高い価格で買い取っていた優先株だったとしても、無駄になってしまいます。そこで、みなし清算条項を加え、売却後に得た対価を清算したとみなして、優先株分の分配を得る条項です。企業側には不利になる条項です。よって誤り。

選択肢2. 投資契約において、優先株主にドラッグ・アロング・ライトを認めるという条件ですね

ドラッグ・アロング・ライトとは、一定の株主が企業を第三者に売却することを決定した場合、他の株主も売却に従わなければならないという取り決めになります。投資家が危うい場合に逃げる(売却してお金を得る)のが目的であることが多く、投資家に有利になる条件です。よって誤り。

選択肢3. 優先株式の配当方式を参加型にするという条件ですね

参加型ですので、投資家に有利です。よって誤り。

選択肢4. 優先株式の配当方式を非累積型にするという条件ですね

非累積型は企業側に有利、つまり甲さんに有利になります。正しい。

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