中小企業診断士の過去問
令和2年度(2020年)
企業経営理論 問13
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和2年度(2020年) 問13 (訂正依頼・報告はこちら)
デファクト・スタンダードやネットワーク外部性に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- デファクト・スタンダードの確立には、ISOのような国際的な標準化機関が重要な役割を果たすことから、これらの機関での調整や協議を進めることが、デファクト・スタンダードの獲得に向けた中心的な方策となる。
- デファクト・スタンダードは、パーソナルコンピュータやスマートフォンのOS(基本ソフト)のようなソフトウェアにおいて重要な役割を果たすものであり、情報技術が関わらない領域では生じない。
- デファクト・スタンダードは製品市場における顧客の選択を通じて確立するために、競合する製品や規格の中で、基本性能が最も高いものが、デファクト・スタンダードとしての地位を獲得する。
- 当該製品のユーザー数の増加に伴って、当該製品において補完財の多様性が増大したり価格が低下したりすることで得られる便益は、ネットワーク外部性の直接的効果と呼ばれ、間接的効果と区分される。
- ネットワーク外部性を利用して競争優位を獲得するためには、ユーザー数を競合する製品や規格よりも早期に増やすことが、有効な方策となる。
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この過去問の解説 (2件)
01
デファクト・スタンダード
公的な認証された標準規格などではなく、市場競争において、業界の標準として認められるようになったものです。
古い事例では、ビデオのVHSとベータの争いが有名です。
ネットワークの外部性
同じ財やサービスを利用する個人の数が増えれば増えるほど、その便益が増えることです。
FacebookやTwitterなどのSNSはその代表例です。
1 間違い
上の説明の通り、デファクト・スタンダードは企業間の競争の結果として受け入れられたものです。
2 間違い
デファクト・スタンダードは、情報技術の分野で起こりやすいとは言えますが、それ以外では起きないということはありません。
3 間違い
基本性能が高いということだけでは、デファクト・スタンダードを確立できません。上述のビデオの場合でも、性能はベータが優れていたと言われています。
4 間違い
補完製品の価格が下がったり、入手しやすくなるのはネットワーク外部性の間接効果です。直接効果は、それを利用する顧客の利便性が上がることを指します。
5 正しい
早期にユーザー数を獲得することは、デファクト・スタンダードを確立するためには非常に重要です。
よって、正解は5です。
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02
平易なレベルで対応し易いので、是非とも得点源としたい問題です。
デファクト・スタンダードとは、多くのユーザーに採用された結果、その製品やサービスが事実上の標準規格と受け入れられていることを指します。身近な例では、コンピュータのOSとしてのWindowsが挙げられます。
ネットワーク外部性は、その製品やサービスを利用すればするほど、便益(メリット)が増えることを指します。身近な例では、amazonのようなECサイトが挙げられます。amazonで買物をする消費者が増えれば、amazonに出品すれば売れるので供給業者はamazonにより多くの商品を供給するようになります。商品の種類や量が増えれば消費者の選択肢が増えるため、ますますamazonで買物をする消費者が増えます。(消費者、供給業者双方の便益が増えます)
デファクト・スタンダードは国際認証ではないので、ISOのような国際的な標準化機関が重要な役割を果たすわけではありません。
冒頭の解説にあるように、「パーソナルコンピュータやスマートフォンのOS(基本ソフト)のようなソフトウェアにおいて重要な役割を果たす」ことは正しいですが、情報技術が関わらない領域では生じないわけではありません。
「デファクト・スタンダードは製品市場における顧客の選択を通じて確立する」ことは正しいですが、基本性能が最も高いものが、デファクト・スタンダードとしての地位を獲得するわけではありません。
高性能な製品は価格が高くなるため、購入できるユーザーの数が限られてしまう可能性があります。それよりも、性能は基本的なレベルに留めて価格を抑えて、多くのユーザーを獲得する戦略を採用した方がデファクト・スタンダードを確立しやすくなると考えられます。
補完財の多様性が増大したり価格が低下したりすることで得られる便益は、間接的効果です。
正解の選択肢となります。他の選択肢の解説で述べた通りとなります。
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