中小企業診断士の過去問
令和2年度(2020年)
企業経営理論 問33

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和2年度(2020年) 問33 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 文具の製造・販売を行う中小企業のA社は、従来、売上の多くを大手文具メーカー向けの多様なOEM製品からあげてきた。しかし社会のデジタル化が進む一方で、アナログな文具の人気が高まりつつある昨今の市場環境を鑑みて、A社では今後自社ブランドによる文具の製造・販売を拡大していくことを検討していた。
 A社では、働く若い女性や女子学生が、オフィスや自宅、学校で使用する文具が有望ではないかとかねてより考えており、このセグメントにおけるニーズを探り、確認するためのさまざまな調査を実施することを計画していた。
 またこれと並行して、同セグメントに向けて自社ブランドによる製品を発売する場合、どのような製品ミックスとすべきかについても、検討を重ねていた。

文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • オフィスで働く数名の若い女性を対象としたフォーカスグループ・インタビューを実施することにより、このセグメントのニーズに関する一般論を導き出すことができる。
  • オフィスや自宅、学校における文具の利用に関するエスノグラフィー調査を実施したところ、フォーカスグループ・インタビューとは異なる結果が得られた。そのため両者の結果を考慮して製品開発を進めることにした。
  • 調査には、質問票を用いる方法や機械装置を用いる方法などがある。後者には調査対象者の身体的反応を測定する方法なども含まれるが、これにより得られるデータは複雑であるため、データの分析や解釈、調査結果から導かれる戦略策定などは、リサーチャーに任せるべきである。
  • 調査を実施する前に、このようなニーズに関して社外ですでに行われた調査や報告などA社にとっての一次データを入手できないか、十分に検討する必要がある。

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この過去問の解説 (3件)

01

マーケティングの調査手法に関する出題です。
選択肢の中から「最も適切なもの」を選択します。

1.誤っている。
「フォーカスグループインタビュー」とはその名の通り、ある特定の目的に対する情報を収集するために行われるものであり、一般論を導き出すことがその目的ではありません。

2.正しい。
「エスノグラフィー調査(行動観察調査)」とは調査対象者と生活や行動を共にすることで、調査対象のことを深く理解し、潜在的なニーズや課題を発見するのに役立てる調査方法です。

3.誤っている。
データの調査、分析・解析をリサーチャーに任せること自体は問題ありませんが、戦略策定などの意思決定は事業者自身で行うべきです。

4.誤っている。
「社外ですでに行われた調査や報告など」はA社にとっては「二次データ」となります。

よって、選択肢2.が正答となります。

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02

市場調査の方法と対象に関する出題です。


各選択肢については、以下のとおりです。

1 :誤りです。

フォーカスグループ・インタビューは、セグメント内の特定のニーズ調査を目的としており、一般論を導き出すことはできません。

2 正解です。

複数調査の結果を考慮して製品開発を進めことが重要です。

3 :誤りです。

調査結果から導かれる戦略策定に関しては、事業者自身で行なう必要があります。

4 :誤りです。

社外ですでに行われた調査や報告は二次データになります。


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03

ニーズ探索に関する問題です。

 

各選択肢の記述から、正答を導き出すことは十分に可能な問題レベルです。

選択肢1. オフィスで働く数名の若い女性を対象としたフォーカスグループ・インタビューを実施することにより、このセグメントのニーズに関する一般論を導き出すことができる。

オフィスで働く数名の若い女性を対象としたフォーカスグループ・インタビューを実施しても、ニーズに関する一般論を導き出すことはできません

 

一般的なフォーカスグループ・インタビューでは、属性・ライフスタイルや商品の使用状況別に複数のグループを作り、インタビューを通して各グループの特性やグループ間の価値観・ニーズの違いを探ることになるため、数名程度では文具のニーズに関する一般論を導き出すことは難しいと思われます。

選択肢2. オフィスや自宅、学校における文具の利用に関するエスノグラフィー調査を実施したところ、フォーカスグループ・インタビューとは異なる結果が得られた。そのため両者の結果を考慮して製品開発を進めることにした。

正解の選択肢となります。

選択肢3. 調査には、質問票を用いる方法や機械装置を用いる方法などがある。後者には調査対象者の身体的反応を測定する方法なども含まれるが、これにより得られるデータは複雑であるため、データの分析や解釈、調査結果から導かれる戦略策定などは、リサーチャーに任せるべきである。

調査結果から導かれる戦略策定などはリサーチャーに任せるべきではなく、A社が主体的に行なうべきです。

選択肢4. 調査を実施する前に、このようなニーズに関して社外ですでに行われた調査や報告などA社にとっての一次データを入手できないか、十分に検討する必要がある。

社外ですでに行われた調査や報告などのデータは、二次データです。

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