中小企業診断士の過去問
令和3年度(2021年)
経済学・経済政策 問5(1)

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 令和3年度(2021年) 問5(1) (訂正依頼・報告はこちら)

生産物市場の均衡条件は、総需要=総供給である。総需要ADと総供給ASが以下のように表されるとき、下記の設問に答えよ。

AD = C + I + G
C = C0 + c( Y − T )
AS = Y

ここで、Cは消費、Iは投資、Gは政府支出、C0は基礎消費、cは限界消費性向( 0 < c < 1 )、Yは所得、Tは租税である。

乗数に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。
問題文の画像
  • aとb
  • aとc
  • bとc
  • bとd
  • cとd

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この過去問の解説 (3件)

01

均衡予算乗数の定理についての出題です。

a 間違い

均衡予算乗数の定理は、政府支出乗数+租税乗数=1となります。

b 正しい

問題文の通りです。

c 間違い

租税乗数は、-c/1-cです。

d 正しい

問題文の通りです。

よって、正解は、4

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02

【基礎知識】

素直に当てはめていけば解けます。

乗数とは、何かを1単位増やしたときにどれぐらい所得が増加するかを見るものです。投資乗数であれば、投資Iを1単位増やしたときに何単位所得Yが増えるかを見ます。

ADの式にCの式を当てはめます。

AD=C0+c(Y-T)+I+G

均衡条件はAD=ASですので、

Y=C0+c(Y-T)+I+G

これをYについて解いていくと

(1-c)Y=C0-cT+I+G

Y=1/(1-c)・C0-c/(1-c)・T+1/(1-c)・(I+G)

それぞれの項目が増えたときの所得への影響を考えます。

投資と政府支出については1単位増えたときには1/(1-c)増えることがわかります。

Tについては増税しますと、c/(1-c)減ることがわかります。

均衡予算乗数は少し特殊な概念になります。これは政府投資Gの増加をTの増加で賄うためにはどれだけ必要かというものになります。

今、GをΔG増やした場合、Yは乗数効果で1/(1-c)・ΔG増えます。このΔGをTの増加ΔTで賄う場合、つまりΔG=ΔTとなる場合の乗数になります。この時Yの増加分をΔYとすると、

Y+ΔY=1/(1-c)・C0-c/(1-c)・T-c/(1-c)・ΔT+1/(1-c)・(I+G)+1/(1-c)・ΔG

増分だけを見ると(Y=1/(1-c)・C0-c/(1-c)・T+1/(1-c)・(I+G)を両辺から引くと)

ΔY=-c/(1-c)・ΔT+1/(1-c)・ΔG

ΔT=ΔGより

ΔY=-c/(1-c)・ΔG+1/(1-c)・ΔG

ΔY=ΔG

で乗数は1となります。

【選択肢評価】

基礎知識より、bとdが正解です。

選択肢1. aとb

上記説明より、不適切です。

選択肢2. aとc

上記説明より、不適切です。

選択肢3. bとc

上記説明より、不適切です。

選択肢4. bとd

正解です。

選択肢5. cとd

上記説明より、不適切です。

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03

生産物市場の均衡条件は、総需要=総供給ですので、

AD=AS

C + I + G=Y となります。

C = C0 + c( Y − T )を代入すると、

Y=C0 + c( Y − T )+I + G となり、

Y=1/(1-c)×(C0 -cT+I + G) となります。

 

よって、それぞれの乗数は、

Tが-c/(1-c)

IとGが1/(1-c)となりますので、

1/(1-c)を乗数とするのは、投資と政府支出です。

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