中小企業診断士の過去問
令和3年度(2021年)
財務・会計 問11
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和3年度(2021年) 問11 (訂正依頼・報告はこちら)
建築物の設計・監理を請け負っている当社では、顧客から依頼のあった案件について建物の設計を行っている途中で、給料100,000円および出張旅費30,000円が当該案件のために費やされた。
この取引を仕訳する場合、借方科目として、最も適切なものはどれか。
この取引を仕訳する場合、借方科目として、最も適切なものはどれか。
- 役務原価
- 役務収益
- 仕入
- 仕掛品
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この過去問の解説 (3件)
01
建物の設計を行っている途中で完成していない場合においての仕訳です。
完了していない(収益が認識されていない)費用となりますので、製造業においては仕入れとなりますが、設計業においての人件費や旅費はサービス業と同じ仕訳となりますので、4の仕掛品となります。
収益として認識されると、役務原価となります。
よって、正解は4
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02
【基礎知識】
サービス業においては、小売、製造業と異なる仕訳が行われます。
特にサービスの提供により計上される売上を役務収益、その役務収益を上げるために対応する費用を役務費用と言います。サービスは即時的なものであり、売上(役務収益)の認識はサービスが提供されたときにされます。よって、サービスが提供されていない段階で発生する費用については、役務原価に入れるわけにはいきません。
この時に使われるのが、仕掛品勘定になります。サービスが提供され、役務収益が認識されるまで仕掛品勘定に計上し、役務収益が認識された段階で、仕掛品から役務費用に振り替えることになります。
当事例を順をおって仕訳していきます。
①建物設計の業務受注 → 仕訳なし
(仮に一部手付金などが支払われた場合は現金 ○○ 前受金 ○○として、前受金勘定に計上します)
②給料、旅費の支出
仕掛品 130,000 現金 130,000
③サービス提供完了
現金 ○○ 役務収益 ○○
役務費用130,000 仕掛品 130,000
サービス提供前なので、役務原価としては認識しません。
サービス提供前、かつ収益ではないため、誤り。
仕入は原価を算定する勘定科目であるが、小売等に利用するため、誤り。
正しい。収益認識前のサービスにかかる費用は仕掛品に計上します。
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03
仕訳に関する問題です。
日商簿記の知識があれば分かりますが、30,000円は出張旅費に費やされていることから、選択肢を消去法で絞り込むことでも正答することは可能です。
不適切な選択肢です。
不適切な選択肢です。
不適切な選択肢です。
正解の選択肢となります。
【補足】
「日商簿記の知識があれば分かります」と解説しているので、日商簿記を取得しなければいけないのか?と思われるかも知れませんが、その必要はありません。
本問では、少なくとも日本語の表現から出張旅費30,000円が「役務収益」や「仕入」ではないことはお分かりいただけると思いますので、2択までは容易に絞り込むことができます。
財務会計の試験で簿記関係の出題は2~3問ありますが、例年25マーク出題されることから、簿記関係の出題は15%と考えられます。
日商簿記試験のボリュームは非常に多いため、労力も非常に大きくなります。
原価計算の領域でも日商簿記試験(工業簿記)の知識は役に立ちますが、過去問題を繰り返し解いて、仕訳や工業簿記の仕組みを理解するだけで十分です(それらを理解するだけでも、財務会計に苦手意識のある方は相当な労力をかけなければならないと思います)。
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