中小企業診断士の過去問
令和3年度(2021年)
財務・会計 問22(2)

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和3年度(2021年) 問22(2) (訂正依頼・報告はこちら)

企業価値評価に関する以下の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

企業価値評価の代表的な方法には、将来のフリー・キャッシュフローを( A )で割り引いた現在価値( 事業価値 )をベースに企業価値を算出する方法である( B )法や、会計利益を割り引いた現在価値をベースとして算出する収益還元法がある。
これらとは異なるアプローチとして、類似の企業の評価尺度を利用して評価対象企業を相対的に評価する方法がある。利用される評価尺度は( C )と総称され、例としては株価と1株当たり純利益の相対的な比率を示す( D )や、株価と1株当たり純資産の相対的な比率を示す( E )がある。

文中の空欄C~Eに入る語句および略語の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
  • C:ファンダメンタル  D:EPS  E:BPS
  • C:ファンダメンタル  D:PER  E:PBR
  • C:マルチプル     D:EPS  E:BPS
  • C:マルチプル     D:PER  E:PBR

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この過去問の解説 (3件)

01

企業価値評価方法についての問題です。

C:マルチプル

類似会社比較法(マルチプル)は、類似する企業を選んで株価や財務指標を参照しながら自社の企業価値を算出する方法です。

D:PER

一株あたり純利益の相対的な指標は、PER(株価収益率)となります。

PER=株価÷一株あたり当期純利益

E:PBR

一株あたり純資産の相対的な指標とありますので、PBR(株価純資産倍率)となります。

PBR=株価÷一株あたり純資産

よって、正解は4

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02

【基礎知識】

企業価値評価の算定アプローチには大きく3つあります。

①インカムアプローチ

企業が将来的に生み出す収益やキャッシュフローを現在価値に割り戻して算定する。

(主な方法)DCF法、収益還元法、リアルオプション法

②マーケットアプローチ

株式指標等を用いて市場での取引価額等をベースに算定する。

(主な方法)マルチプル法、類似企業比較法

③コストアプローチ

企業の資産をベースに算定する。

(主な方法)簿価純資産法、時価純資産法

この問いはマーケットアプローチになります。

マーケットアプローチでは類似企業等と比較をすることになりますが、そのときの尺度を何するかで手法がいくつかあります。

例えばA社があり、A社の企業価値が100、尺度となる指標が10とします。

A社の企業価値は指標の10倍(これをマルチプルと言います)になっていることがわかります。そして、企業価値を求めたい企業Bの指標に10をかけ、おおよその企業価値を算定します。

指標には、

PER Price Earnings Ratio の略で株価収益率と言います。式は株価/一株当り利益で求めます。

PBR Price Book-value Ratio の略で株価純資産倍率と言います。株価/一株当り純資産額で求めます。

EBITDA Earnings Before Interests,Tax,Depreciation and Amortization の略で利払前、税引前、償却前利益を意味します。

EBIT Earnings Before Interests and Taxの略で利払前、税引き前利益を意味します。

EPS(Earnings Per Share:一株当たり利益)は当期利益÷期末の発行済み株式数のことで、一株当たりの額面価格は会社によって違うので、単純に比較することはできません。

BPSは純資産(すべての資産から負債を差し引いたもの)÷ 発行済みの株式数で一株あたりの純資産のことです。一株あたりの価格はやはり企業によって異なります。

【選択肢評価】

C ファンダメンタルとは基礎的な数値のことで、PERなどの基礎的な数値を用いて投資判断を行うことをファンダメンタルズ分析といいます。ここは企業価値評価ですので、マルチプルが正解です。

D 株価/一株当り利益のことで、PERになります。

E 株価/一株当り純資産額でPBRのことです。

選択肢1. C:ファンダメンタル  D:EPS  E:BPS

上記説明より、不適切です。

選択肢2. C:ファンダメンタル  D:PER  E:PBR

上記説明より、不適切です。

選択肢3. C:マルチプル     D:EPS  E:BPS

上記説明より、不適切です。

選択肢4. C:マルチプル     D:PER  E:PBR

正解です。

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03

企業価値評価に関する問題です。空欄A~Eに入る語句および略語の組み合わせを、A及びB、CからEまでの2問に分けて問うています。

 

本問では、空欄DとEは計算式を覚えていないと対応が難しいです。1株当たり純利益(空欄D)と1株当たり純資産(空欄E)の違いで判断したいです。

 

空欄Cは、「相対的に評価する方法」という与件文の記述がヒントになります。

選択肢1. C:ファンダメンタル  D:EPS  E:BPS

不適切な選択肢です。

選択肢2. C:ファンダメンタル  D:PER  E:PBR

不適切な選択肢です。

選択肢3. C:マルチプル     D:EPS  E:BPS

不適切な選択肢です。

選択肢4. C:マルチプル     D:PER  E:PBR

正解の選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

「本問では、空欄DとEは計算式を覚えていないと対応が難しいです」と解説していますが、2次試験の事例Ⅳの第1問目では財務指標分析が出題され、確実に得点しなければならない項目であるため、1次試験の段階で計算式は覚えておくことが望ましいです。

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