中小企業診断士の過去問
令和3年度(2021年)
企業経営理論 問35(2)
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和3年度(2021年) 問35(2) (訂正依頼・報告はこちら)
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
現代社会には、①さまざまな広告が存在する。企業は、現代の消費者に有効な広告戦略を立案するために、②広告が消費者の心理や行動に及ぼす影響を理解する必要がある。
文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。
現代社会には、①さまざまな広告が存在する。企業は、現代の消費者に有効な広告戦略を立案するために、②広告が消費者の心理や行動に及ぼす影響を理解する必要がある。
文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 飲酒運転禁止を説得テーマとして、恐怖感情とユーモア感情とを生起させる2つの広告を作成した場合、テーマに対して高関与な消費者はユーモア感情の広告に接する方が、テーマに対して低関与な消費者は恐怖感情の広告に接する方が、それぞれ即時的に説得に賛成する態度を示す。
- 企業からの説得意図を強く感じる広告に対して、メッセージの唱導方向と同一方向の態度を有している消費者は、その態度をさらに強化する傾向がある一方、製品への態度が曖昧な消費者は、説得意図を強く感じる内容に対して心理的リアクタンスが生じ、逆方向の態度変化を起こしやすい。
- 高価な製品を購入してしまい後ろめたさを感じる場合、消費者は当該ブランドの広告ばかり見たり、他ブランドの広告は見ないようにしたりして、自分の選択を正当化することが多い。「自分へのご褒美」という広告主によるメッセージは、こうした消費者が自己の購買を正当化し、認知的不協和を軽減する効果がある。
- 製品のポジティブ要因とネガティブ要因の両方を提示することによって、製品の信憑性を高めようとする両面提示広告では、消費者にとって低関与の製品の場合には最初にポジティブ情報を提示し、高関与の製品の場合には最後にポジティブ情報を提示した方が、それぞれ製品評価を高めることができる。
- テレビ広告は、消費者が意識的に接触している感覚は低くても、自分にとって関心が低いブランドの広告に関しては、単純接触の回数が増えるほど、ブランドへの態度が直線的にネガティブになっていく。
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この過去問の解説 (3件)
01
「広告が消費者の心理や行動に及ぼす影響」に関する問題です。
正解は3です。
1.× 関与とは、消費者と製品やサービスとの結びつきの強さです。消費者の感情や感覚による即時的な説得は、通常低関与な消費者に対して有効です。
2.× 企業からの説得意図を強く感じる広告に対して、その態度をさらに説得意図と逆の方向に強化する傾向を、ブーメラン効果といいます。
ブーメラン効果は、説得される人が説得内容と同じ考えを持っているときに生じやすい現象です。
3.〇 問題文の通りです。
4.× 両面提示広告は、最初にネガティブ情報を提示し、後からポジティブ情報を提示するほうが、ポジティブ情報が印象づけられ評価を高められます。
5.× 単純接触効果は、複数回接触を繰り返すことで、興味を持つようになる心理的現象ですが
評価が低い対象には、接触回数が増えるほど、ネガティブな印象が強くなるという逆効果があります。
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02
1.誤り。精緻化見込モデルでは、説得テーマに対して高関与な消費者は情報を得て、検討することによって長期的な態度の変化が生じます。低関与な消費者はイメージ広告や周囲の言動によって短期的な態度の変化が生じます。
2.誤り。ブーメラン効果は説得される人が説得内容と同じ考えを持っているときに生じることが多いです。
3.正しい。
4.誤り。両面提示広告では、初めにデメリットを伝え、メリットを後で出す方がメリットの印象が残りやすく、低関与の消費者とも信頼関係が築きやすいと言えます。
5.誤り。ブランドへの態度は直線的に変化するのではなく、接触回数を増やすと効果が徐々に減っていきます。
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03
広告の効果を消費者行動理論から分析した問題です。
各選択肢をそれぞれ解説します。
テーマに対して高関与な消費者はユーモア感情の広告に接する方が即時的に説得に賛成する態度を示すとしている点が誤っています。
恐怖感情の広告に接する方が即時的には説得に賛成しやすいためです。
そのため本選択肢は不正解です。
心理的リアクタンスとは、自分には選択や行動の自由があるという意識から、外部からの働きかけに対して抵抗する現象のことです。
メッセージの唱導方向と同一方向の態度を有していても、説得意図を強く感じたために広告の唱導方向とは逆方向への態度変化を起こすことがあります。
そのため本選択肢は不正解です。
認知的不協和を軽減する行動の一つして適切な内容であるため、本選択肢が正解です。
提示する情報の順番が逆です。
消費者にとって低関与の製品の場合には最後にポジティブ情報を提示し、高関与の製品の場合には最初にポジティブ情報を提示した方が製品評価を高めることができます。
そのため本選択肢は不正解です。
単純接触の回数が多いとその対象への態度がポジティブになることを単純接触効果と呼びます。
単純接触の回数が増えるほど、ブランドへの態度が直線的にネガティブになっていくという点が誤っています。
そのため本選択肢は不正解です。
心理学の内容も踏まえた問題であるため難問でした。
正解である認知的不協和を解消する方法は学習していた可能性があるため、その点に気づければ正答も可能でした。
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