中小企業診断士の過去問
令和3年度（2021年）
経営法務 問20（2）

・会社や個人事業主は商人にあたります。従って、C：は「商人間の売買」になります。

・また、商法526条②に「前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することのできない場合において、買主が６カ月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。」とあることから、D：は、「もう6か月経過しているので、Y社がその不良につき悪意でない限り、Y社に対する請求は困難です」、となります。

従って、2.が正解です。

商法526条が適用されるのは商人間の売買の時になります（よって３，４は誤り）。

商法526号では、「商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない」と定められております。つまり、売買が行われた後、買主には、検査し、問題があれば売主に通知するという義務が課せられているのです。原則は「遅滞なく検査し、問題があれば通知せよ」ですが、当然わかりにくい場合もありますので、一定の期間猶予が設けられています。この猶予は6か月と定められており、その期間を超えると契約不適合責任が追及できなくなります（よって１，３は誤り）。

よって正解は2となります。

目的物の検査及び通知義務に関する問題です。

空欄Dは、空欄Cを知っていないと選択を誤る可能性があります。

また、空欄Cが「商人間の売買」「少なくとも当事者の一方のために商行為となる行為」と紛らわしいため、空欄Cも選択を誤る可能性があります。

【空欄C】

記述が「商人間」「個人間」という比較であれば逆に分かりやすくなってしまうため、「少なくとも当事者の一方のために商行為となる行為」という記述にしたのかも知れませんが、X社とY社の組織形態を見ることで判断することができます。

X社は株式会社であるため、営利企業＝商人です。Y社は卸売業者とあり個人事業主の可能性も考えられますが、「商売を業とする者」（商売をメインの仕事としている者）と判断することができます。

【空欄D】

空欄Cから、もし商人であれば一日の大半は商売に携わっていると考えられます。そうであれば、商品をやり取りする量も頻度も多いはずです。

そのため、腕時計が動かなくなるという不良が直ちに発見できないものだったとしても、その不良には短い期間で気付かなければならないはずです。