中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
経済学・経済政策 問4
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 令和4年度(2022年) 問4 (訂正依頼・報告はこちら)
絶対所得仮説によって所得と消費の関係を述べた記述として、最も適切なものはどれか。
- 今月は職場で臨時の特別手当が支給されたので、自分へのご褒美として、外食の回数を増やすことにした。
- 将来の年金が不安なので、節約して消費を抑制することにした。
- 職場の同僚が旅行に行くことに影響を受けて、自分も旅行に行くことにした。
- 新型コロナウイルスの影響で今年の所得は減りそうだが、これまでの消費習慣を変更することは困難なので、これまでどおりの消費を続けることにした。
- 賃上げによって給料が増えることになったが、不景気が当分続きそうなので、消費は増やさないことにした。
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この過去問の解説 (3件)
01
(基本知識)
消費関数論争というものがあります。
ケインズ型の消費関数と実証研究との間にずれが生じたことについて、色んな論が展開されていったことを指します。
具体的にどういったずれが生じたのかです。
ケインズ型の消費関数はCt=C0+cYtで表されます。Ctはt期の消費で、C0は基礎消費と呼ばれ、所得に関係なく支出されるものです。Ytはt期の可処分所得になり、そのうちの一定割合(c:消費性向)を消費に回すというものです。この式が示しているのは、「基本的に所得が増加すると消費は増加するが、その増加は所得の伸びほど消費は伸びない」ということであり、この考え方を絶対所得仮説と言います。消費は絶対的にその時の所得に関連して増減するというものです。
しかし、クズネッツらの実証実験によると、長期の消費動向は、所得に完全比例(つまり、C=cYとなる)するとの結果が出ました。一方で短期的にはケインズ型(基礎消費と所得の一定割合が消費に回る)が当てはまるということも確認されました。この短期と長期の消費関数の違いをどのように説明していくかが消費関数論争になります。
この論争は重要な仮説として、相対所得仮説、恒常所得仮説、ライフサイクル仮説というものがあります。
相対所得仮説:消費は相対的な所得水準によって決まるとするもの。具体的には過去の消費習慣や他人の消費習慣を参考に相対的に消費水準が決まるとしています。デューゼンベリー等が提唱しました。ですので、一時的な所得の減少は短期的な消費の減少につながらない(歯止め効果:ラチェット効果)と言われています。また他人の消費に影響を受けることをデモンストレーション効果と言います。いつも高級スーパーで買い物している人が、所得が減っても周りの目があるのですぐに格安スーパーに移れないようなケースです。
恒常所得仮説:所得を今後も安定的に獲得できると考えられる恒常所得により消費が決まるというものです。よって、一時的に所得が増えたとしても消費に与える影響は限定的であるという考えになります。
ライフサイクル仮説:生涯を通じて得られると見込まれる生涯所得を生涯を通じて使い切るという考え方です。よって、一時的な所得が増えてもただちに消費に影響しないというものです。
他にも流動資産仮説などありますが、元々は上記の短期、長期の消費関数の違いをどのように説明するかという問題点が起点となっています。
当問題は絶対所得仮説に関するものです。「消費は所得水準による」とされるものです。所得が増えたので外食の消費が増えたという内容で正しい記述です。
当問題は絶対所得仮説に関するものです。「消費は所得水準による」とされるものです。所得に関係なく消費が変動しているので、絶対所得仮説は関係ありません。ライフサイクル仮説になります。
当問題は絶対所得仮説に関するものです。「消費は所得水準による」とされるものです。所得関係なく、消費が決まっており、絶対所得費仮説は関係ありません。デモンストレーション効果になります。
当問題は絶対所得仮説に関するものです。「消費は所得水準による」とされるものです。ラチェット効果の説明になりますので、絶対所得仮説は関係ありません。
当問題は絶対所得仮説に関するものです。「消費は所得水準による」とされるものです。絶対所得仮説では所得が増えると消費は増えるので誤りです。
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02
絶対所得仮説は、ケインズの消費関数に関するものです。具体的には、消費は現在の所得水準に応じて決まるが、所得の絶対水準が増加するにつれて所得に対する支出の割合は減少するという内容です。
この内容にしたがって選択肢を見ていきましょう。
特別手当という所得の増加に応じて外食の回数増加という消費が増えるので、適切な内容です。
正解です。
将来の年金という、現在の所得水準でないものに基づく判断ですので、適切な内容ではありません。
所得水準以外の要因に基づいて旅行という消費を行いますので、適切な内容ではありません。
現在の所得水準に基づく判断ですが、所得の減少に対して消費の維持をしようとするので、適切な内容ではありません。
所得水準の増加に対して消費を増やさないという考え方ですので、適切な内容ではありません。
ケインズの絶対所得仮説に関する問題でした。数年前にも出題実績がありますので、内容をよく理解しておきましょう。
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03
絶対所得仮説に関する問題です。
絶対所得仮説とは、所得の増加とともに消費が増加することです。
適切です。
特別手当の支給(所得の増加)により、外食(消費)を増やしています。
不適切です。
現在の所得に関係なく、消費を減らしています。
不適切です。
現在の所得の増減に関係なく、消費を増やしています。
不適切です。
所得が減少するが、消費を維持しています。
不適切です。
所得が増加しますが、消費を増やしていません。
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