中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
経済学・経済政策 問19
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 令和4年度(2022年) 問19 (訂正依頼・報告はこちら)
下図によって、資本移動の自由化の効果を考える。最も単純なケースを想定して、世界にはⅠ国とⅡ国があり、両国とも生産要素として資本と労働を利用して同一財を生産しており、労働投入量は一定であるとする。下図で、MPKⅠとMPKⅡは、Ⅰ国とⅡ国の資本の限界生産物曲線であり、いずれも資本の限界生産物は逓減すると仮定している(財の国内価格は、いずれも1とする)。資本市場を開放しない場合、Ⅰ国とⅡ国の保有する資本量はそれぞれOⅠCとOⅡCであり、このときの資本のレンタル料はそれぞれrⅠとrⅡである。
資本移動の自由化の効果に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 資本移動の自由化によって、Ⅰ国からⅡ国への資本移動が生じ、資本のレンタル料はⅠ国が r*Ⅰ、Ⅱ国が r*Ⅱになる。
b 資本移動の結果、労働者の賃金所得は、Ⅰ国では四角形OⅠr*ⅠHCに増加し、Ⅱ国では四角形OⅡr*ⅡHCに減少する。
c 資本移動の結果、資本所有者のレンタル所得は、Ⅰ国では三角形AEr*Ⅰに減少し、Ⅱ国では三角形BEr*Ⅱに増加する。
d 資本移動の自由化によって、世界全体で三角形EFGの所得が増加する。
資本移動の自由化の効果に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 資本移動の自由化によって、Ⅰ国からⅡ国への資本移動が生じ、資本のレンタル料はⅠ国が r*Ⅰ、Ⅱ国が r*Ⅱになる。
b 資本移動の結果、労働者の賃金所得は、Ⅰ国では四角形OⅠr*ⅠHCに増加し、Ⅱ国では四角形OⅡr*ⅡHCに減少する。
c 資本移動の結果、資本所有者のレンタル所得は、Ⅰ国では三角形AEr*Ⅰに減少し、Ⅱ国では三角形BEr*Ⅱに増加する。
d 資本移動の自由化によって、世界全体で三角形EFGの所得が増加する。
- aとb
- aとc
- aとd
- bとd
- cとd
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この過去問の解説 (3件)
01
資本移動に関する問題です。
選択肢の内容を検討しながら解説します。
a:資本移動が自由化されると、レンタル料の低いⅠ国からレンタル料の高いⅡ国へ資本が移動します。これによりⅠ国でもレンタル料が上がり、やがて点EにおいてⅠ国ではr*Ⅰ、Ⅱ国ではr*Ⅱのレンタル料で均衡します。したがって正しい。
b:資本移動の結果として、労働者の賃金所得はⅠ国では三角形AEr*Ⅰとなり、Ⅱ国では三角形BEr*Ⅱとなります。したがって誤りです。
c:資本移動の結果として、資本所有者のレンタル所得はⅠ国では四角形r*ⅠEDOⅠとなり、Ⅱ国では四角形r*ⅡEDOⅡとなります。したがって誤りです。
d:資本移動前のⅠ国の所得はAGCOⅠであり、Ⅱ国の所得はBFCOⅡとなります。これらの合計と、資本移動後のⅠ国、Ⅱ国それぞれの労働者の賃金所得とレンタル所得を合計したものの合計を比較すると、三角形EFGだけ差ができることが分かります。したがって正しい。
以上から、正解は「aとd」になります。
正解は「aとd」になりますので誤りです。
正解は「aとd」になりますので誤りです。
正解です。
正解は「aとd」になりますので誤りです。
正解は「aとd」になりますので誤りです。
資本移動に関する出題でした。図を見て内容を読み解くことで正解を導くことが出来ると思いますので、問題演習を繰り返して解き方に慣れましょう。
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02
(基本知識)
まず、資本移動が自由でない場合を考えます。MPKは資本を1単位増減させたときにどれぐらい生産量が増減するかを示したものです。資本のレンタル料が下がれば資本量が増え、レンタル料が上がれば、資本量が減少します。
仮にCの資本量でMPKⅠを考えると、生産から見たGDPを考えると、三面等価の原則から生産面=所得面になることから、生産量AGCOⅠがGDP=所得となります。生産要素は資本と労働しかありませんので、GDPのうち、資本のレンタル料はrⅠGCOⅠになり、残り、つまりAgrⅠの三角形は労働による所得になります。
次に資本移動が自由な場合です。資本移動が起こると、現状のCでは、Ⅰ国の資本の値段(レンタル料)はrⅠで、Ⅱ国の資本の値段はrⅡでⅠ国の資本の方が安くなっています。また、Ⅰ国で資本を持っている人もⅠ国の生産に資本を使うよりも、Ⅱ国でレンタルに出した方が高くレンタル料を得ることができ、Ⅱ国でレンタルしようとして、Ⅰ国で利用する資本の量が減少します。
そして、レンタル料率は調整され、最終的にはレンタル料が一致する資本量Dで落ち着くことになります。この辺りは需要曲線と供給曲線の価格決定メカニズムと同様です。
このとき、両国の所得合計を資本移動自由化前、自由化後で見ます。
自由化前はⅠ国の所得はAGCOⅠ、Ⅱ国の所得はBFCOⅡとなります。
自由化後はAEDOⅠとBEDOⅡとなり、前後で三角形EFG分の所得が増加していることがわかるかと思います。
所得の内訳を見ると、
資本所有者のレンタル所得はⅠ国では、rⅠGCOⅠ⇒r*ⅠHCOⅠに増加。Ⅱ国ではrⅡFCOⅡで変化なし。労働者の賃金はⅠ国では、AGrⅠ⇒AEr*Ⅰに減少、Ⅱ国では、BFrⅡ⇒BEr*Ⅱに増加となります。
(選択肢評価)
a 正しい
b 労働者所得はⅠ国ではAEr*Ⅰに減少し、Ⅱ国ではBer*Ⅱに増加するため、誤り。
c 資本所有者のレンタル所得はⅠ国では、rⅠGCOⅠ⇒r*ⅠHCOⅠに増加、Ⅱ国ではrⅡFCOⅡで変化なしで誤り。
d 正しい
上記説明より、bは不適切です。
上記説明より、cは不適切です。
正解です。
上記説明より、bは不適切です。
上記説明より、cは不適切です。
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03
資本移動の自由化の効果に関する問題です。
a:適切です。資本移動の自由化によってレンタル料の高いⅠ国から低いⅡ国への資本移動が生じ、資本のレンタル料はⅠ国が r*Ⅰ、Ⅱ国が r*Ⅱになります。
b:不適切です。資本移動によりⅠ国の労働者の賃金所得は、AGrⅠからAEr*Ⅰとなり、Ⅱ国の労働者の賃金所得は、BFrⅡからBEr*Ⅱとなります。
c:不適切です。資本移動によりⅠ国の資本所有者のレンタル所得は、rⅠGCOⅠからr*ⅠEDOⅠとなり、Ⅱ国の資本所有者のレンタル所得はrⅡFCOⅡからr*ⅡEDOⅡとなります。
d:適切です。労働者の賃金所得の合計と資本所有者のレンタル所得の合計は、EFGの分だけ資本移動の自由化により増加しています。
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