中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
経済学・経済政策 問20
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 令和4年度(2022年) 問20 (訂正依頼・報告はこちら)
世界経済が低迷する中、国際的な政策協調が必要とされている。
いま、隣り合うA国とB国が「環境保護」と「経済成長」を目的とする政策を選択する。下表は、両国の利得表であり、カッコ内の左側がA国の利得、右側がB国の利得を示している。
このゲームに関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
いま、隣り合うA国とB国が「環境保護」と「経済成長」を目的とする政策を選択する。下表は、両国の利得表であり、カッコ内の左側がA国の利得、右側がB国の利得を示している。
このゲームに関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
- このゲームでは、A国が「環境保護」を優先させる政策を選べば、B国は「経済成長」を優先させる政策を選ぶ方がよい。
- このゲームでは、両国が協調して「環境保護」を優先させる政策を選べば、利得をさらに高めるために、戦略を変える必要はない。
- このゲームにおけるA国の最適反応は、「環境保護」を優先させる政策を選ぶ場合である。
- このゲームのナッシュ均衡は、両国が「環境保護」を優先させる政策をとる組み合わせと、両国が「経済成長」を優先させる政策をとる組み合わせの2つである。
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この過去問の解説 (3件)
01
(基礎知識)
ゲーム理論の問題です。
お互いの手の内がわからずに、協調していない場合、各国は自社の利得を何とか最大化しようとします。A国が環境保護を取った場合、B国は経済成長の方が利得が大きくなります。次にA国が経済成長を取った場合、B国も経済成長の方が利得が大きくなります。よって、B国はA国の選択に関わらず、経済成長を取る方が利得が高くなります。
一方、A国も同様に考えると、経済成長を取る方が利得が高くなります。
よって、A国、B国ともに経済成長を選択し、どちらも経済成長から環境保護に切り替えると利得が下がりますので、経済成長の選択を変えることがありません。この状態をナッシュ均衡と言います。
B国が環境保護の場合は利得は500、経済成長の場合は利得は1000となるため、高い経済成長を選びます。よって正しいです。
どちらかが裏切り、経済成長を選ぶと利得が増えるため、戦略が変わります。よって誤りです。
経済成長を選ぶ方が相手の戦略に関わらず高い利得を得ることができるため、誤りです。
環境保護では均衡にならないため、誤りです(経済成長の方が利得が大きい)。
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02
ゲーム理論に関する問題です。
ナッシュ均衡が問われていますので説明しておきます。
ナッシュ均衡とは、相手がある戦略を採っている場合、自らの利得をそれ以上高くできないような戦略を採る場合のことを言います。
選択肢の内容を検討しながら解説します。
A国が環境保護を優先させる政策を選ぶ場合、B国は環境保護を優先させると500の利得を獲得しますが、経済成長を優先させると1000の利得を獲得することができますので、B国は経済成長を優先させる政策を選ぶ方がよいことになります。したがって正解です。
両国が協調して環境保護を優先させる政策を選ぶ場合、A国、B国とも500の利得を獲得することができますが、一方で両国とも経済成長を優先させる政策を選べば利得をさらに増やすことができる(利得を1000にすることができる)ことになります。したがって誤りです。
A国にとっては、環境保護を優先させる政策を選ぶと利得は500、経済成長を優先させる政策を選ぶと利得は1000になりますので、経済成長を優先させる政策を選ぶほうが最適反応となることから誤りです。
この表を見てわかるように、両国とも協調して環境保護を優先させる政策をとる場合よりも、各国が経済成長を優先させる政策を選ぶほうがより高い利得を獲得することができますので、両国が環境保護を優先させる政策を選ぶことはナッシュ均衡ではありません。したがって誤りです。
ゲーム理論に関する問題でした。この理論ではナッシュ均衡や支配戦略等のキーワードが出てきますのでよく覚えておきましょう。
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03
ゲーム理論に関する問題です。
適切です。
A国が「環境保護」を優先させる政策を選ぶとき、B国は「環境保護」を優先させたときの利得が500、「経済成長」を優先させたときの利得が1000となりますので、B国は「経済成長」を優先させます。
不適切です。
両国が協調して「環境保護」を優先させる場合よりも、それぞれの国は裏切って、「経済成長」を優先させたときに利得が高まりますので、戦略を変える可能性があります。
不適切です。
A国は「環境保護」を優先させる場合よりも、「経済成長」を優先させたときの方が、B国の戦略にかかわらず利得が高まります。
不適切です。
両国が「環境保護」を優先させる政策をとる組み合わせよりも、両国が「経済成長」を優先させる政策をとる組み合わせの方が、両国にとって利得が高まりますので、両国が「環境保護」を優先させる政策はナッシュ均衡ではありません。
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