中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
財務・会計 問7

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和4年度(2022年) 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

当社は資本金1億円以下の中小法人に該当する。当期400万円の繰越欠損金を計上した。そのときの仕訳として、最も適切なものはどれか(単位:万円)。なお、法人税の実効税率は30%とする。
  • (借)繰越利益剰余金 120  (貸)繰越欠損金 120
  • (借)繰越利益剰余金 400  (貸)繰越欠損金 400
  • (借)繰延税金資産 120   (貸)法人税等調整額 120
  • (借)法人税等調整額 120  (貸)繰延税金負債 120

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

欠損金に関する問題です。当社(中小法人)にて繰越欠損金が発生したという設定ですが、繰越欠損金は、法人税計算における所得の計算において、所得が赤字になる場合の金額です。この金額は最大10年間繰越が可能となります。特に中小法人の場合は赤字金額の全額を繰り越すことができます。

会計処理のほうですが、繰越欠損金が生じている当期に会計上の利益が生じている場合でも、税法上は繰越欠損金の制度を利用することで納税額をゼロにすることが可能です。この場合、会計上の税務処理と税法上の税務処理を調整する必要があります。そこで税効果会計の処理を用いて調整を行います。その内容に沿って選択肢を検討します。

選択肢1. (借)繰越利益剰余金 120  (貸)繰越欠損金 120

繰越欠損金の勘定処理は不要なので誤りです。

選択肢2. (借)繰越利益剰余金 400  (貸)繰越欠損金 400

繰越欠損金の勘定処理は不要なので誤りです。

選択肢3. (借)繰延税金資産 120   (貸)法人税等調整額 120

正解です。会計上は利益が出ているので税務上の処理との調整のために使用される勘定処理です。

選択肢4. (借)法人税等調整額 120  (貸)繰延税金負債 120

調整のための勘定処理の方法が誤っています。

まとめ

繰越欠損金に関する問題でした。税効果会計という考え方を伴うものなので少しわかりにくいかもしれません。その場合は参考書を読んで復習をお願いします。

参考になった数16

02

繰越欠損金とは、法人税を計算する際の所得計算において、所得が赤字である場合の金額のことで、将来発生する黒字所得と相殺できます。

(将来的には税務上の所得、つまり企業側の税引前当期純利益が黒字化することが前提の制度となっています。)

繰越欠損金のメリットは将来の所得と相殺することで、将来の所得税を軽減できることです。

勘定科目では借方に「繰延税金資産」、貸方に「法人税等調整額」を使用します。

繰延税金資産の算出方法は欠損金額×法人税率です。問題では400万円×30%=120万円となります。

選択肢1. (借)繰越利益剰余金 120  (貸)繰越欠損金 120

上記の説明より、(借)繰延税金資産 120  (貸)法人税等調整額 120 となります。

選択肢2. (借)繰越利益剰余金 400  (貸)繰越欠損金 400

上記の説明より、(借)繰延税金資産 120  (貸)法人税等調整額 120 となります。

選択肢3. (借)繰延税金資産 120   (貸)法人税等調整額 120

正解です。

選択肢4. (借)法人税等調整額 120  (貸)繰延税金負債 120

上記の説明より、(借)繰延税金資産 120  (貸)法人税等調整額 120 となります。

参考になった数13

03

繰越欠損金とは、税務上の赤字を翌年度以降10年の黒字と相殺することで節税効果を期待できるものです。

今回は400万円の繰越欠損金を計上しているため、期待できる節税効果は法人税の実効税率30%をかけた120万円です。

翌年度以降に120万円の節税効果を期待できるため、この金額を資産計上します。

また、欠損金の仕訳処理は不要ですので、選択肢の中から120万円を資産計上しているものを選びます。

よって、回答は

(借)繰延税金資産 120   (貸)法人税等調整額 120

となります。

参考になった数3