中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
財務・会計 問13(2)

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和4年度(2022年) 問13(2) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

A社では、X1年4月末に以下のような資金繰り表(一部抜粋)を作成した(表中のカッコ内は各自推測すること)。

また、条件は以下のとおりである。
①売上代金の20%は現金で受け取り、残額は翌月末に受け取る。
②仕入高は翌月予想売上高の60%とする。仕入代金は全額現金で支払う。
③すべての収入、支出は月末時点で発生するものとする。
④5月末に事務用備品の購入支出が300万円予定されているが、それを除き、経常収支以外の収支はゼロである。
⑤A社では、月末時点で資金残高が200万円を下回らないようにすることを、資金管理の方針としている。

中小企業診断士であるあなたは、A社の経営者から、当座の資金繰り対策として銀行借り入れ以外の手段がないか、アドバイスを求められた。6月末の時点で資金残高が200万円を下回らないようにするための手段として、最も適切なものはどれか。
問題文の画像
  • 5月に予定されている事務用備品の購入支出のうち半額を現金払いとし、残額の支払いは7月に延期する。
  • 6月に予定されている諸費用支払のうち400万円を現金払いとし、残額の支払いは7月に延期する。
  • 仕入先と交渉して、6月の仕入代金のうち半額を現金払いとし、残額を買掛金(翌月末払い)とする。
  • 得意先と交渉して、5月の売上代金のうち半額を現金で受け取り、残額を売掛金(翌月末回収)とする。

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この過去問の解説 (3件)

01

資金繰りの助言をする問題です。

キャッシュフローを改善する基本方針は、売上などのキャッシュインを早く回収し、仕入などのキャッシュアウトを延ばすことです。

基本方針を念頭に、各選択肢を判断していきます。

選択肢1. 5月に予定されている事務用備品の購入支出のうち半額を現金払いとし、残額の支払いは7月に延期する。

誤り

5月の備品購入支出の支払いを半額とし、残り半額の支払いを7月に延期します。

5月の備品購入支出=150万円

5月末残高=470万円+150万円=620万円

6月の収支過不足=△460万円

6月末残高=620万円-460万円=160万円

よって、200万円を下回るので不適切です。

選択肢2. 6月に予定されている諸費用支払のうち400万円を現金払いとし、残額の支払いは7月に延期する。

誤り

諸費用支払540万円から400万円を引くと、140万円です。

この140万円分キャッシュアウトが減るので、

6月末残高=10万円+140万円=150万円

よって、200万円を下回るので不適切です。

選択肢3. 仕入先と交渉して、6月の仕入代金のうち半額を現金払いとし、残額を買掛金(翌月末払い)とする。

正しい

条件②より、6月の仕入高は1,600万円×60%=960万円です。

この半額を翌月払いの掛けとするので、

960万円÷2=480万円 キャッシュアウトが減ります。

6月末残高=10万円+480万円=490万円

よって、200万円を上回りますので、助言として適切です。

選択肢4. 得意先と交渉して、5月の売上代金のうち半額を現金で受け取り、残額を売掛金(翌月末回収)とする。

誤り

条件①より、売上代金の20%は現金、80%は翌月での回収となります。

5月の売上代金を50%現金で受け取ると、6月の回収は50%となり、売掛金回収額が減ってしまいます。この助言はキャッシュインを減らし、資金ショートとなってしまうため不適切です。

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02

資金繰りの改善に関する問題です。キャッシュの有高をできるだけ減らさないようにする(回収を早め、支払を遅らす)のが基本的な考え方です。

選択肢毎に正誤を判定します。

選択肢1. 5月に予定されている事務用備品の購入支出のうち半額を現金払いとし、残額の支払いは7月に延期する。

事務用備品の購入金額は300万円ですから、半額を先延ばしにしても改善効果は150万円しかありません。したがって誤りです。

選択肢2. 6月に予定されている諸費用支払のうち400万円を現金払いとし、残額の支払いは7月に延期する。

6月の諸費用支払額は540万円ですから、そのうちの400万円のみを現金払いにしても改善効果は140万円のみですので誤りです。

選択肢3. 仕入先と交渉して、6月の仕入代金のうち半額を現金払いとし、残額を買掛金(翌月末払い)とする。

6月の現金仕入高は前問より960万円です。この半額を買掛金にすると480万円の改善効果があり6月末の現金有高が200万円を超えますから正解です。

選択肢4. 得意先と交渉して、5月の売上代金のうち半額を現金で受け取り、残額を売掛金(翌月末回収)とする。

5月の売上代金の半額を受け取ると、5月末の現金有高が300万円増えますが、6月の売掛金回収額が同額減りますので、6月末の現金有高への改善効果はありません。したがって誤りです。

まとめ

資金繰り改善に関する問題でした。選択肢毎に丁寧に確認していけば平易な問題ですので落ち着いて解答しましょう。

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03

6月末の時点で資金残高が200万円を下回らないようにするための手段について検討します。

6月末の時点で190万円足りませんので、その金額を補える選択肢を考えます。

選択肢1. 5月に予定されている事務用備品の購入支出のうち半額を現金払いとし、残額の支払いは7月に延期する。

不適切です。

事務用備品の購入支出は300万円で、半額を7月に延期しても150万円しか6月末の時点で資金残高は増えませんので、資金残高が200万円を下回ります。

選択肢2. 6月に予定されている諸費用支払のうち400万円を現金払いとし、残額の支払いは7月に延期する。

不適切です。

諸費用支払は540万円で、7月に140万円の支払いを延期しても、6月末の時点で資金残高は140万円しか増えませんので、資金残高が200万円を下回ります。

選択肢3. 仕入先と交渉して、6月の仕入代金のうち半額を現金払いとし、残額を買掛金(翌月末払い)とする。

適切です。

6月の仕入代金は960万円で、6月の支払いを半額の480万円、残額480万円を7月払いにすれば資金残高が200万円を上回ります。

選択肢4. 得意先と交渉して、5月の売上代金のうち半額を現金で受け取り、残額を売掛金(翌月末回収)とする。

不適切です。

5月の売上代金のうち半額を現金で受け取っても、その分6月に回収できる売掛金が減りますので、6月末の資金残高に影響がありません。

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